天聖令2006/11/27 00:00

今、唐代史・宋代史の研究者の間で注目されているのが、天聖令である。

 天聖令は北宋の天聖7年(1029)に制定・頒布された。唐令を参考に挙げ、そして新条文をあげるという体例をとっていたとされる。もはや完全に散佚したとおもわれていたが、近年、天一閣所蔵の「官品令」がその明代鈔本の一部であると証明された。しかも、従来知られていない唐令の条文が多数含まれていることがわかった。

 戴建国「天一閣蔵明抄本〈官品令〉考」『歴史研究』1999年第3期
 この論文にその経緯が書かれているようであるが、私はまだ未見である。
上の文は下に挙げた黄先生の一文や東方書店の書籍案内、知り合いの先生方の話を仄聞して要約したものである。
 日本の律令は唐の律令と深い関係にある。そのため日本史の研究者の間でもおおいに注目を集めつつあり、すでにこれをテーマに開講されている先生方もおおいようだ。
 
 今もそうだが、ここ20年ちかく中国古代法制史で注目を集めてきたのは秦漢期だったようにおもう。次々と出土資料から法制史料が発見され、公開されてきたからである。おもえば私が大学院で読むことになった最初の史料も秦律だった。一方、唐代の律令については1990年頃にはすでにがっちり研究がでそろっており、新参者にはなかなか参入しにくい分野になっていた。しかし、この史料によって唐の律令に関する周辺はまた賑やかになるだろう。
 まだ戴氏の論文は見てないが、今月、録文集がでたとのことである。録文集が出る前ながら、すでに日中の研究者はいくつも論文を書いている。法制史を専攻せずとも、その時代の法律を知ることは歴史研究には不可欠である。

医疾令もふくまれているようなので私にとってもこれは見逃せない。ネットで知る限りでは医疾令は35条で唐代の史料中にないものが17条あるという。

黄正建「天一閣蔵『天聖令(附唐令)的発見と整理』」(中文)
http://www.chinanbsk.com/index.php?categoryid=38&p51_articleid=1096

程錦「唐代女医選取之制考釈」(中文)
http://theory.people.com.cn/BIG5/49157/49163/5023500.html

『天一閣蔵明鈔本天聖令校証』中華書局、2006.11

12/6
上掲の書籍を入手。またこの文を少々改文した。

コメント

トラックバック