新収 有林福田方2007/03/03 01:11

正宗敦夫編纂校訂『有林福田方』上・中・下(日本古典全集刊行会、1936、<覆刻版>現代思潮社、1979)。

日本の南北朝あるいは室町末期の医書。著者は有林(または有隣)なる人物。『福田方』とも。日本古典全集刊行会本は宮内庁書陵部写本の影印。ネタの仕込み中ということで購入。
 ずいぶんと今までの題材と離れているではないかって?
 いやいや、一貫したテーマを追っているつもりですが、なにか?

新収 家族の古代史2007/03/03 01:32

梅村恵子『家族の古代史-恋愛・結婚・子育て』(吉川弘文館、2007年3月)
http://www.bk1.co.jp/product/2758919

「家父長的」「母権制的」のいずれの言葉でもくくることのできない具体的な古代の家族像を史料にさぐったもの。ある意味、“忘れられた日本人”を読んだ気分になった。目次は以下の通り。

家族のかたち―プロローグ
敦煌の女たち※
奈良時代の家族と婚姻
さまざまな家族―平安貴族を中心に
正妻制の成立
女性にとって家族とは―エピローグ

※以下に「敦煌の女たち」部分の細目と、言及される敦煌文献(文献番号)をあわせて紹介。

敦煌の女たち

 敦煌の離縁状
敦煌文書の発見/「放妻書」を読む(P.3730)/中国の離縁と再婚(P.3536v-6,C.441,P.4001)/江戸の三くだり半と届出離婚/古代の結婚は届出婚?(S.6537,P.4001)

 敦煌文書から女性の暮らしを読み解く
ウイグルの花嫁/女たちの結社(S.0527,S6537,P.3489)/尼寺の生活(S.1536,S2851,P.5579-11,P.3753)/出挙銭を借りるおんな(S.1946)

 中国の結婚と家族
四世同堂の家/儀礼書にみる婚礼/同姓不婚/ヨメの役割/正妻と祖先祭祀/理想とかけ離れた家族/小説や詩が描く「姦」

新収 つまずきの中の哲学2007/03/05 01:49

山内志朗 「<つまずき>のなかの哲学」日本放送出版協会、2007年1月。

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現在、新潟大学人文学部に所属する山内志朗先生の著書。生協で購入。
 本書は高校生や大学生に向けて書かれたのだと思うが、おじさんになった自分の心にも響くものがあった。
また大学院で論文を書く心持ちとして教わったものに近いくだりがある。
「いつ人生の結論を書けばよいのか。常に「今・ここ」で書くしかないのだ」

 ともかくためこんでしまった構想を、どんどん表現しようとあらためて勇気づけられた。

新収 日本における書籍蒐蔵の歴史2007/03/08 03:25

川瀬一馬『日本における書籍蒐蔵の歴史』(ぺりかん社、1999年2月)。
http://www.bk1.co.jp/product/1665992

著名な書誌学者による概説書。金沢文庫をめぐる日本の本の歴史や江戸・明治期の蔵書家について書かれている。著者は善本をみている量が桁違いなので、ほかの研究者には気づかないことまで目がいきとどくようだ。その成果が気軽によめる感じがよい。
 ただ、内容はそういった部分が半分、裏話(人間関係とか)が半分、のような気がする。裏話的なところをどう評価するかで印象はわかれるだろう。
 すこし私が関心ある記述(数頁)があるということを耳にしたので購入。

目次はこちらにある。
http://d.hatena.ne.jp/okjm/20060217

拝受 近代ドイツの市民層と市民社会-最近の研究動向-2007/03/08 17:55

森田直子「近代ドイツの市民層と市民社会-最近の研究動向-」『史学雑誌』110-1,2001年。

森田さんからいただいた。ありがとうございました。
ここ15~20年ほどのドイツにおける市民層研究および社会史的研究に関する動向を整理したもの。

※脱線するが、同号には佐川英治先生の論文が載っている偶然にきづいた。

新収 「上杉家御譲本」の所在調査とその史的研究2007/03/12 17:57

東海林静男(研究代表者)『「上杉家御譲本」の所在調査とその史的研究』昭和61-63年度科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書。

「置賜地域の文化財および郷土資料の所在調査を行なうこととし、調査を開始した。その過程で、旧林泉文庫は、上杉家から譲られた市立米沢図書館で所蔵するものがすべてであるとされていた従来の考えが誤まりであるということが判明してきた。・・・」(はしがきより)

江戸時代(本ですが)というのは意外にしられずひっそりと身近に残っているのだなと実感した。

入手にあたっては阿部哲人さんの手を煩わせた。ありがとうございました。

新収 日本後紀 上・中・下2007/03/13 19:56

森田悌『日本後紀』上・中・下 講談社学術文庫(上、2006年10月、中、2006年10月、下、2007年2月)。

六国史のひとつ。792-833年の歴史を記している。全現代語訳。
パラパラとひらいてみる(そういう余裕しかない)。渤海使や遣唐使の時代です。全訳は便利。

新収 東方学 第百十三輯2007/03/16 18:58

『東方学』第百十三輯、東方学会、2007年1月。

数日前に届いた。
以下の論文、報告に特に関心を持った。

佐藤賢、もう一つの漢魏交替-北魏道武帝期における「魏」号制定問題をめぐって
石川巌、敦煌出土チベット語予言書『衰退期』の宗教史的意義

丸山宏、ヨーロッパにおける道教研究の成果
石見清裕、内蒙古・山西・寧夏・陝西・甘粛調査(二〇〇五-〇六年)

石見先生の報告の一部にもある「北魏の六鎮」に関しては山下将司、平田陽一郎氏から報告を聴かせていただいたことがある。科研費基盤研究A「シルクロード東部地域における貿易と文化交流の諸相」(代表:森安孝夫)の一環だという。ソグド人や北朝史が気になる人は必見の内容である。

新収 古代東アジアの出土資料と情報伝達2007/03/16 19:19

藤田勝久(代表)『古代東アジアの出土資料と情報伝達』、特別推進研究プロジェクトの概要―平成18年度・愛媛大学研究開発支援経費、愛媛大学法文学部、2007年3月。

松原弘宣、古代における情報伝達と交通
小林昌二、日本古代における『私信』の情報伝達
藤田勝久、張家山漢簡『津関令』と詔書の伝達
關尾史郎、トゥルファン出土文書よりみた麹氏高昌国の行政システムと上奏文書
大平聡、日本古代の文書行政と音声言語
加藤友康、古代文書にみえる情報伝達
藤田高夫、公開シンポジウム「古代東アジアの社会と情報伝達」へのコメント
市大樹、コメント:藤原京左京七条一坊西南坪出土の門牓木簡の紹介
江嶋俊也、公開シンポジウム「古代東アジアの社会と情報伝達」に参加して

ここにも名前のあがっている関尾先生が複数おもちとかで、一部いただいた。とくに興味深い内容なので目次をあげて紹介。しかし、市販されていないし、雜誌でもないので国会図書館や大学図書館経由でも入手困難かもしれない。

3/19
「入手困難かもしれない」と書いてしまったのはもうしわけないというか、どうしようかという感じなのだが、藤田先生から『古代東アジアの出土資料と情報伝達』をいただいた。ありがとうございました。と、いうことなので、今度研究会か学会のおりに関連分野のどなたかに1冊をお譲りしようと思ってます。

宣伝 敦煌本『新修本草』校注初稿2007/03/16 19:41

岩本篤志「敦煌本『新修本草』校注初稿」、資料学研究、第4号、99~125頁、2007年3月。

「すでに『新修本草』については仁和寺の残巻や敦煌文献などの釈文が作成・公表され、中国と日本でそれぞれ復原本が出版されている。しかし、敦煌文献『新修本草』残巻にかぎっては十分に研究されてきたとは言えない。・・・・・・実際の写本は白黒写真やマイクロフィルムと異なり、墨跡が鮮明である。気づいたのは、広く流通している釈文には誤脱、誤読、行数の数え間違いなどがみられるということであった。・・・」(はじめにより抜粋)

資料学研究、第4号の目次はこちら。
http://sekio516.exblog.jp/5340376

さて次は「越後文書宝翰集 古文書学入門」を紹介の予定だがちょっと一息。