新収 特別展 上杉謙信2007/05/01 03:09

伝国の杜・米沢市上杉博物館で「特別展 直江兼続」をみてきた。
 予想以上に注目を浴びる状況となったが、ともかく見事な展示だった。企画した博物館と学芸員の努力をあげてよいとおもうが、このような貴重な品々を護ってきた人々あってのものといってもよいだろう。
 実は前日には春日山城址と与板城址を一挙にめぐってきた。城址はあれど残されたものは少なく、多くはそっくり米沢に引き継がれたことがわかる。その意味で米沢は新潟の歴史の一部でもあるし、上杉家によってつながっているわけだ。

博物館で『特別展 上杉謙信』、2005年4月初刷、2006年7月二刷
を購入した。さきに通例、図録は再版されないと書いたが、かりに直江兼続の図録の初版がなくなっても、誤字・誤記(数カ所見つかっている)など修正の上で増刷されるかもしれない。

 ちなみに『特別展 上杉謙信』の編集も阿部哲人さんによるもので、直江兼続同様、力が入っている。テレビがどうのということに関わらず、持続的に丹念な仕事をされてきたことがうかがえる。
 ただ、図録『特別展 上杉景勝』も存在するはずなのだが、博物館のショップにはならんでいなかった。

新収 北朝研究存稿2007/05/01 20:29

李憑『北朝研究存稿』(浙江大学求是史学叢書)、商務印書館、2006年12月。
 上編に北朝に関する研究論文、下編に魏晋南北朝全体に関する論文、書評や明清期の学者、僧侶に関する論考をおさめる。ここでは上編の論文名をあげておく。

 北朝発展的軌跡
 論北魏遷都事件
 20世紀洛陽地区北魏考古与北魏洛陽時代研究
 北魏天興元年的高句麗移民及其状況
 魏燕戦争前後的北魏与高句麗
 魏燕戦争以後的北魏与高句麗
 北朝与高句麗
 北魏文成帝初年的三後之争
 北魏両位高氏皇后族属考
 劉淵与石勒

新収 敦煌仏儒道相関医書釈要他2007/05/02 19:00

李応存・史正剛『敦煌仏儒道相関医書釈要』<敦煌学研究文庫>、民族出版社、2006年12月。
金身佳『敦煌写本宅経葬書校注』<敦煌学研究文庫>、民族出版社、2007年1月。

 ともに<敦煌学研究文庫>の1冊。さきに紹介した陳于柱『敦煌写本宅経研究』、鄭炳林『解夢書校録研究』、も同じシリーズ。釈文を主体とする。4冊とも鄭炳林先生のご高論に沿った資料選択にも思える。
 敦煌文献といってもこの分野の文書は釈文がそろっていないので、利便性は高い。また、このようにまとまっていると見通しが利きやすいことは確かである。ただ、釈文については検討の余地があるようだし、ひとつひとつの文献につけられた解説についても今後、考察の余地がある。
 とりあえず敦煌文献をつかって風水、占筮、医書の研究をしているなら、必携の4冊。

http://iwamoto.asablo.jp/blog/2005/08/11/44126
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/04/19/1439234

拝受 図録 上杉景勝2007/05/07 20:03

米沢市上杉博物館(編集・阿部哲人)図録『上杉景勝-転換の時代を生き抜いた人生』米沢市上杉博物館、2006。

矢田俊文先生よりお譲りいただいた。
 同書中に矢田俊文「上杉景勝・定勝期の史料と女性」が掲載される。直江兼続を取り巻く女性(おせんのかた等)に関する史料に言及されている。
 また図録中には直江兼続に関する史料の写真・解説も載せられている。しかもそれらのうちいくつかは現在行われている直江兼続展では展示されていない。また力のこもった解説がついている。

 明が上杉景勝に「都督同知」の官職をあたえたことをしめす「箚付」などもあり、東アジア史の観点から見てもなかなかおもしろい。
 現在、上杉博物館では版切れのようだが、年内に再版される予定だときいている。

拝受 大乗起信論2007/05/07 20:24

『大乗起信論』(日本古写経善本叢刊第二輯)国際仏教学大学院大学学術フロンティア実行委員会、2007。

落合俊典先生、国際仏教学大学院大学学術フロンティア実行委員会よりいただいた。ありがとうございました。

日本に所蔵される『大乗起信論』五種のテキストをもちいた影印、解題、翻字、釈文、考異などからなる。総388頁の大冊。

私があつかっている資料は仏教経典ではないが、寺院が所蔵していた(とみられる)文献がおおい。この点から、経典類がそれぞれどのような関係にあるかということにも常々関心は向けておくべきだと思っており、じっくりみていくとなにか得ることがあるような気がしている。

また以前に
『玄応撰一切経音義二五卷』(日本古写経善本叢刊第一輯)国際仏教学大学院大学学術フロンティア実行委員会、2006。
もいただいた。これもまた同趣旨の構成であり、さらに巨冊である。
ここに紹介しておく。

なお、あわせていただいた
学術フロンティア「奈良平安古写経研究拠点の形成」ニュースレター
『いとくら』(現在、第2号が最新号)は写経だけでなく敦煌文書や平安期以前の写本類を研究している人や博物館や図書館でこうした資料を扱う人にひろく有用な内容である。

『いとくら』は全ページフルカラーでネット上に公開されている。
http://www.icabs.ac.jp/frontia/pub/itokura01.html

新収 知識と学問をになう人びと2007/05/15 18:17

横田和彦編『知識と学問をになう人びと』(身分的周縁と近世社会)、吉川弘文館、2007年4月。

儒者、講釈師、神学者、俳諧師、都市文人、本屋など、日本近世の書物にかかわる様々な人々についてあつかう。

新収 中華医史雑誌37-22007/05/16 23:43

『中華医史雑誌』37-2、中華医学会。

関心があったのは以下の1点。

高暁山、『千金翼方』作者質疑

今本『千金翼方』の作者は『備急千金要方』の作者とは異なることをのべている。そこから今本『千金翼方』の作者は孫思邈ではないとする。
 たしか通説ではどうなっていたんだったか。記憶容量の少ない脳みそでは思い出せない。この辺ハンディなまとめ本でもあるとよいのだが・・・。

新収 歴史評論ほか2007/05/17 17:48

『歴史評論』No.686、2007年6月。
 廣瀬憲雄「古代東アジア地域の外交秩序と書状」

以下の敦煌文献を用いている。
P.2646、P.2992v、P.2155v、P.2703v、P.3442、P.3633、P.4065

『史学雑誌』116編3号、2007年3月。
 廣瀬憲雄「日本の対新羅・渤海名分関係の検討」

以下の敦煌文献を用いている。
P.2992、P.4065

新収 典籍箚記2007/05/17 21:09

神田喜一郎『典籍箚記』高桐書院、1947。

関心のあったのは以下の三篇。図書館になかったが、どうしてもすぐによみたかったので購入。

 欧州訪書記の中から
   (四)仏京国民図書館の敦煌写経
 遠東博古学院観書記
 妙覚寺常住日典

最後の一篇で日典は直江兼続と関わりがあるのではないか、と神田氏は論じている。ただ、あったとしても、「米澤藏書」の構成にそれほど影響を与えているとはおもえないが、気にとめておく必要はあろう。

再購入 図録『特別展 直江兼続』2007/05/20 15:41

図録『特別展 直江兼続』、米沢市上杉博物館、2007年4月。総頁数127頁。

以前、紹介したが今回は追加で3冊購入(公費)。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/04/26/1467888

再度、米沢にいったのは講演会があったからである。無事終了した。
今回の講演にあたって準備していただいた米沢市立上杉博物館の
皆様に感謝したい。

http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/041kanetsugu.htm

「直江兼続と漢籍-東アジアにおける「米澤蔵書」」
講師:岩本 篤志 氏(新潟大学大学院 現代社会文化研究科助教)
期日:5月19日(土)14:00~16:00
場所:伝国の杜大会議室
入場無料

120人も聴きにきてくれたとのこと。一般向けには難しい話をしてるという実感が自分にはあったのだが、発表後にいただいたお二方の質問は当方の発表が到達できていない先を見事にとらえたもので、驚いた。
 あとできけばお二人とも専門家といってよい様な人たちで、どうりでツボをついているわけだと思った。あらためて勉強させていただくことにしたい。