敦煌の典籍と古文書2010/04/27 00:12

『第54回 杏雨書屋特別展示会「敦煌の典籍と古文書」』。武田科学振興財団、2010年。
 杏雨書屋「敦煌秘笈」の展示会図録。

 さて、先日展示会が開かれた杏雨書屋の「敦煌の典籍と古文書」については是非とも記録にとどめておかねばとおもっていたのだが、同時期に重厚な著書をいくつかいただいてしまい、しかもこれらがなかなかおもしろいので、あまり時間がとれずにいた。
 また講演会当日は午前は展示をみて、昼抜きのまま講演を聴講、その後も実に勉強することが多い一日で、低血糖からか頭痛がして、しばらくフラフラだったこともある。

 これほど新資料満載の展示会はそうそうないだろうし、資料のセレクトも目が利いている。解説は簡にして要を得ている感じで、拙稿を何点も引用いただいて光栄かつ励みになった。ただ他資料については拙稿以外であげてほしい論文もあるので、どこかで紹介しようと思っている。ちなみに後で羽田先生の論文集を見た限りでは景教経典の所蔵先を取り違えているようである。

天漢日乗さんの観察がおもしろい。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2010/04/419424424-12301.html

 知人の敦煌学研究者もチベット文字をよんでリサンサンかなといっていた気がします。
 低迷する業界のためにちょっと煽っておきます。展示されていたものの一部には解説に書いてなくても先行研究がある場合があります。別途、古写真が公開されていたからです。
 ただ画指については仁井田先生等の業績がありますが、リサンサンに関する文書については外に出たのが初めてのはず。古写真も先行研究もありません。贋物かどうか読み込んで読み込んで何度も疑って見ればよいかと思います。千載一遇とはまさにこのことです。
 おまえが論文書けといえば書かぬでもありませんが、当面、手が回りそうにありません。