新収 東洋史研究 ほか2011/07/21 22:27

『東洋史研究』第70巻1号、2011年6月。
 鈴木宏節、唐代漠南における突厥可汗国の復興と展開

『史学雑誌』第120編第6号、2011年6月。
 伊藤一馬、北宋における将兵制成立と陝西地域―対外情勢をめぐって
 河内春人、(書評)中野高行著『日本古代の外交制度史』

 河内書評からは史料を用いて制度や「国家」を概念として論じることの難しさをあらためて考えさせられた。
 鈴木論文は突厥可汗国の拠点のひとつである「黒い沙漠」遺迹の比定と突厥碑文の解釈によって漢文史料には記されない突厥側の対唐動向をみいだし、伊藤論文は北宋の軍事単位である「将」の編成と設置の分析からその対外政策をよみとろうとする。実証しようとする内容だけでなくベクトルも逆だが、所謂中国王朝(論じられているのは唐と北宋)がユーラシア東部全域の動向と密接に関わっている(その一部である)とみる点では通底するようである。