拝受 比較儀礼論 ほか2011/09/20 19:25

榎本淳一、比較儀礼論、石井正敏他(編)『日本の対外関係2 律令国家と東アジア』、吉川弘文館、2011年5月。
榎本淳一、藤原仲麻呂と女楽、武光誠(編)『古代国家と天皇』同成社、2010年11月。
榎本淳一、『隋書』倭国伝について、大山誠一(編)『日本書紀の謎と聖徳太子』平凡社、2011年6月。
ENOMOTO Jun'ichi,Japan's Ritsuryo System in the "East Asian World",ACTA ASIATICA 99,2010.

榎本先生からいただいた。ありがとうございました。
 「比較儀礼論」は推古朝の迎賓儀礼に当時の隋唐的要素より南朝的要素をみいだすことができることを論じる。「藤原仲麻呂と女楽」は日本古代において女楽の下賜(献上)が伎女の演舞を見ることであったのか、人そのものを下賜したのか、東アジアの状況を踏まえて、その解釈を問い直したもの。「『隋書』倭国伝について」は『隋書』倭国伝の史料的な性格を論じたもので、その記事内容の分析から、史料批判の際に留意すべきことを指摘する。Japan's Ritsuryo System・・は、日本における律令の受容、運用を当時の国際間において中心的な役割を担っていた中国を中心とした東アジアの事象と比較しながら、またその関係を論じたもの。
 いずれも東アジア諸国の制度、文化から古代日本のそれをみるという視点がつらぬかれている。

拝受 古ウイグル語文献にみえる「寧戎」とベゼクリク2011/09/20 20:13

松井太、古ウイグル語文献にみえる「寧戎」とベゼクリク、『内陸アジア言語の研究』第26号、2011年。
松井太、敦煌出土のウイグル語暦占文書、『人文社會論叢』(弘前大学)第26号、2011年8月。

海外調査中の松井先生から、関連分野の研究者宛の添付ファイルとしていただく。ありがとうございました。
 前者は現在、ベゼクリクと呼ばれる地が古ウイグル語文献においてベゼクリクに近い音で呼ばれていた明証がなく、漢語の「寧戎」の音写転記とみられる表記がもちいられていたことを論じ、それを手がかりにそれら表記が用いられているウイグル語文書の歴史地理学的な考察をおこなったもの。後者はモンゴル期の暦占文書断片群(背面、西夏語経典)の内容を,とくに明清以降に中国で流行することになった通書『玉匣記』に比定したもの。

新収 唐代史研究 第14号2011/09/20 20:45

唐代史研究会(編)『唐代史研究』第14号、2011年8月。

巻頭言(佐藤智水)

○“敦煌の社会と文化”2010年度夏期シンポジウム特集
山口正晃、敦煌学百年 
岩本篤志、敦煌秘笈「雑字一本」考-「雑字」からみた帰義軍期の社会-
伊藤美重子、敦煌の学郎題記にみる学校と学生
荒川正晴、唐の西北軍事支配と敦煌社会

○書評・新刊紹介
津田資久、渡邊義浩著『西晋「儒教国家」と貴族制』
森部豊、荒川正晴著『ユーラシアの交通・交易と唐帝国』
村井恭子、森部 豊著 『ソグド人の束方活動と東ユーラシア世界の歴史的展開』

○国外学会参加報告.
佐川英治、中古時代的礼儀、 宗教与制度学術研討会
關尾史郎、「高台魏晋墓与河西歴史文化国際学術研討会」 参加記

○2010年唐代史研究会会員成果目録
○会員近況報告
○彙報

以上、全目次。
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以下、拙稿「敦煌秘笈「雑字一本」考」の反省点。
 敦煌秘笈のうち、内容、年代不明の一点を歴史空間の中に位置づけ、それを史料として敦煌社会を論じようとしたもの(一次利用面:894-905年頃の敦煌の官吏用識字手本またはその書写、二次利用面:965年9,10月分と978年2月から数ヶ月分の具注暦日の下書きと比定)。単純な内容のはずなのに、構成も文章もいまひとつなめらかでない。少々熟成不足の感はある。またP.30にあげた「衙前子弟」については、荒川正晴著『ユーラシアの交通・交易と唐帝国』のなかに有益な指摘がある(旧稿は未確認)のだが、最近まで気づかなかった。総じて語彙分析には不十分な点を多々残したので、今後も検討を続けていくことにしたい。
 書き落としてしまったが、拙稿は科研費・若手研究(B) 「唐五代期における実用典籍の読者層の研究ー中国西北出土古文献を中心に」(研究課題番号:21720257)の成果の一部である。