ソグド人墓の石牀2023/05/17 02:08

ARTnews日本版によれば、「5月9日、ニューヨーク・マンハッタン地方検察庁は、350万ドル(約4800万円)相当の略奪由来の石棺の彫刻2点を中国に返還したとプレスリリースで発表した」という。

写っているのは中国のゾロアスター教に関係するものであることはあきらかで、唐代のソグド人墓の石牀の一部であろう。

ARTnews日本版が「1900年代初頭に中国から略奪され、密輸されたものであることを突き止めた」としているのは誤訳だろう。他の記事(英文)を読むと、「1990年代初頭に」と書いてあるからだ。


https://artnewsjapan.com/article/1023 (ARTnews日本版 日本語)

https://www.rte.ie/news/newslens/2023/0510/1382752-stolen-artefacts/ (RTÉ 英語)

https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3220169/looted-relics-loan-new-yorks-met-museum-returned-china
(South China Morning Post 英語)

エジプト古代寺院から釈迦像出土2023/04/28 19:07

紅海に面する古代の港湾都市ベレニケで釈迦像出土。

これはガンダーラ美術を考える重要な手がかりでは。ただこの「エジプト古代寺院」は、仏教寺院ではないはずで、何の宗教の寺院なのかそれも問題だ。ARAB Newsによると、この場所からはサンスクリットの銘文もでているようだ。

AFPBB Newsより
https://onl.sc/dQ9dUKz

egypt-museum.com
https://egypt-museum.com/statue-of-buddha-unearthed-at-temple-in-berenice/

ARAB News
https://www.arabnews.com/node/2294041/middle-east

EURO-NARAASIA Q2023/04/18 23:55

『EURO-NARASIA Q』第23号

西ウイグル王国とシルクロードの繁栄---森安孝夫
飛鳥奈良と『汎ユーラシアのイラン文化』(19)---青木健
ほか

某研究会の会場で、森安孝夫先生からいただいた。
奈良県立大学で発行されている雑誌。現在は24号まで出ている。オンライン上でバックナンバーも読める。

https://www.narapu.ac.jp/eurasia-center/publication/vol23-84817/

新収 法国敦煌学精粋 ほか2012/09/11 13:36

内容紹介はともかくとして最近購入したものを記録。

 この3月から9月までにいただいたものや購入した書籍の整理はこれから。この間、二度、中国を訪れていることもあって、いただきものがとても多い。書くべき原稿や雑用は昨年度までと比較できないほど多いので、記録の遅延は確実。順を追って記録していくことにしたい。ただ、そういっているうちにどんどん時間が過ぎてしまうので、とりあえず新しく購入したばかりの書籍を記録した。抜き刷り、著書をいただいた先生方、すいません。

【敦煌学】
郝春文主編『2011敦煌学国際聯絡委員会通迅』、上海古籍出版社、2011年8月。
鄭炳林主編、耿昇訳『法国敦煌学精粋』1~3、甘粛人民出版社、2011年4月。

【東西交渉史】
張緒山著『中国与占庭帝国関係研究』、中華書局、2012年4月。
王媛媛著『従波斯到中国:摩尼教在中亜和中国的伝播』、中華書局、2012年5月。
毛陽光・石濤・李婉婷著『唐宋時期黄河流域的外来文明』、科学出版社、2010年3月。
上海博物館編『絲綢之路古国銭幣曁絲綢文化国際学術研討会論文集』、上海書画出版社、2011年12月。

【東アジア交流史】
梁明院校注『唐大和上東征伝校注』、広陵書社、2010年10月。

【医学史】
林富士著『中国中古時期的宗教与医療』、中華書局、2012年7月。

新収 新しい世界史へ ほか2012/02/13 02:48

羽田正(著)『新しい世界史へ-地球市民のための構想』(岩波新書)、岩波書店、2011年11月。
杉山正明(著)『遊牧民から見た世界史 増補版』(日経ビジネス文庫)、日本経済新聞出版社、2011年7月。

林俊雄(著)『スキタイと匈奴 遊牧の文明』(興亡の世界史02)、講談社、2007年6月
礪波護(著)『唐宋変革と官僚制』(中公文庫)、中央公論社、2011年12月。
飯島渉(著)『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』(中公新書)、中央公論社、2009年12月。

 いつか精読しようとおもって山積みになっていたものをリスト化しておく。
前二者は世界史を考える、東洋史を考えるうえで有効。杉山本は増補版ということであらためて購入。後三者はそれらと比すれば各論ではあるが、それぞれの分野の最新の成果がわかりやすくまとめられている。礪波先生の著書は以前、同文庫にはいった『唐の行政機構と官僚』と接続する内容でわかりやすく読めるように新稿がくわえられているが、本体は学術論文レベルの内容(卒論!も含まれる)。裏表紙に前著『唐の行政機構と官僚』への言及があるが、広告面にそれがないのは版切れになったのであろうか。

 ある中国人留学生が母国には文庫本というものがない、これいいですね、といってたが、彼がそういうのは価格もあろう。一方、自分は電車に乗らないとなかなか文庫本が精読できず、飛ばし読みをしがちである。どうやら電車によく乗る生活にあった形態なのだとおもう。
 明清期の考証モノや『唐鑑』や『郡斎読書志』の影印などまでそろった学術的すぎる台湾の人人文庫(新書サイズ)というのもあったが、その場合は省スペースで廉価、ということなのだろう。

拝受 ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」2012/02/13 01:11

ソグド人墓誌研究ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」、『史滴』第33号、2011年12月。

 ソグド人墓誌研究ゼミナールを主宰しておられる石見清裕先生からいただいた。ありがとうございました。隋代墓誌訳注といえども新しい北朝史研究がはじまった観がある一本。北朝史がユーラシア大陸の動きとつながっていることがくっきりとみえてくる。訳注作業に参加した院生は幸運だし、おおいに貢献もしたのであろうが、最終的にこれだけの精度のものをわずか数ヶ月で作られると、同分野で一人で研究を進める者は困惑するしかないであろう。
 おまえはなぜこれに取り組まなかったのかといわれているような気もする。この史料が出た頃、自分は敦煌医薬文献に飛び込もうとしつつあった。時間は巻き戻せないのでこれから取り組みたいとは思うけれどずいぶん高い壁である。
 これを例に挙げるまでもなく墓誌研究というのは相当なポテンシャルを持っているとおもうが、多くの場合、整理中心、正史の補助的利用になりがちであり、またその可能性ばかりを前面に出した研究費取得に重きがおかれすぎだと思うことがある。後世の歴史家にしかみえない事実とは丁寧にそして同時に視野を広くしながら史料を読んでいくことによってしかえられないことを再認識させられる。

新収 十世紀における九姓タタルとシルクロード交易 ほか2012/02/01 02:27

白玉冬、十世紀における九姓タタルとシルクロード交易、『史学雑誌』第120編第10号、2011年10月。

鄭炳林(編)『敦煌帰義軍史専題研究四編』陝西出版集団・三秦出版社、2009年9月。

ともに新収ではなく数ヶ月前に入手。敦煌文献を用いたかなり高度な研究と論文集。白論文の構想の大きさと使用した文献、言語の幅の広さは驚異的。阪大チームの仕事が凝縮されている観もある。
 四編は注文したのにいっこうに届かず、入手できたのは2011年の夏になっていて、必要な論文が参照できなかった。四編には35点の論文が載る。馮培紅論文、劉永明論文、沙武田論文、陳于柱論文とかなり精読を要する論文がならぶ。まだまだ、この分野、学ぶべきことが膨大にあるという印象。
 ともかく単純作業の積み重ねや借り物理論で装うのでなく、史料を地道に読んでいくしかないことを強く認識させられた。

新収 『史滴』第33号2012/01/31 00:32

『史滴』第33号、2011年12月。

紹介していないものがたくさんあるのだが、到着したばかりのものを。

小特集に6点、論説に3点、翻訳に2点、訳注が1点、そのほか藤家禮之助先生と佐藤次高先生への追悼文などが載る。

自分の興味の範囲にしぼると
論説に
 小幡みちる、『要修科儀戒律抄』にみえる書儀について
 林美希、唐・左右龍武軍の盛衰ー唐元功臣とその後の禁軍
翻訳に
 王明珂(柿沼陽平訳)中国漢代の羌(四)
訳注は
 ソグド人漢文墓誌ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」(隋・開皇十二年)

となっている。ソグド人漢文墓誌訳注は相変わらず精読レベルが高いものになっている。
小幡論文が敦煌文献に、ソグド人漢人墓誌ゼミナールが新出吐魯番文献に言及する。

Web版 吐魯番出土文物研究情報集録 1988-19962012/01/13 03:10

ここ数年で
荒川正晴(著)『ユーラシアの交通・交易と唐帝国』、名古屋大学出版会、2010年12月。 http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/12/20/ 
關尾史郎(著)『もうひとつの敦煌―鎮墓瓶と画像磚の世界』(新大人文叢書7)、高志書院、2011年3月。 http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/04/25/ 
といった成果が公刊されており、いずれにも『吐魯番出土文物研究情報集録』が引用されているか、その成果が基礎とされている部分が見受けられる。ただ紙媒体の『吐魯番出土文物研究情報集録』の入手はたいへん困難である。

2003年の前後数年、「新潟大学・人文・敦煌プロジェクト」サイトにて公開していたのだが、サーバの老朽化によりサイト自体が消滅、このたび別の検索エンジンをつかい、下記アドレスに復活させた。全文PDFで読むことができるほか記事作者名や記事題名で検索可能である。若干斜めにスキャンされているところもあるが、読めるということでご容赦願いたい。

吐魯番出土文物研究情報集録(No.1-108号、1988-1996)
http://www.human.niigata-u.ac.jp/~ssekio/turfan/

このブログは一ヶ月ぶりの更新となってしまった。いただいたものもあるし購入して山積みになったものもあるわけだが…。

(追記)
集録について。

・別冊(1~50号総目次) のリンクが適切ではありません。別冊Ⅱ(1~100号総目次)を参照してください

新収 中国文物地図集 甘粛分冊2011/12/14 17:24

国家文物局(主編)『中国文物地図集 甘粛分冊』(上・下)、測絵出版社、2011年6月。
席沢宗(名誉主編)『中国道教科学技術史 南北朝隋唐五代巻』、科学出版社、2010年5月。

 ここのところ時間がない。スケジュール繰りができず、締め切りに間に合わないものがいくつもある状態(すいません)。
 転倒の危険がでてきた本の山を低くするにはとりあえずこれら巨冊から整理、ということで、いずれもう少し目を通すつもりだと思いながら、内容をほとんど確認できないまま、棚や箱におさめる。「測絵出版社」?最近のいくつかの省については購入していないので、少し前からそうだったのかもしれないが、このシリーズのこれまでの出版社名と違うようだということには気づいた。
 何人からか御論文をいただいているのですが、目を通す余裕がなく、しばらく記録できそうにありません。ご容赦を。