新収 十世紀における九姓タタルとシルクロード交易 ほか2012/02/01 02:27

白玉冬、十世紀における九姓タタルとシルクロード交易、『史学雑誌』第120編第10号、2011年10月。

鄭炳林(編)『敦煌帰義軍史専題研究四編』陝西出版集団・三秦出版社、2009年9月。

ともに新収ではなく数ヶ月前に入手。敦煌文献を用いたかなり高度な研究と論文集。白論文の構想の大きさと使用した文献、言語の幅の広さは驚異的。阪大チームの仕事が凝縮されている観もある。
 四編は注文したのにいっこうに届かず、入手できたのは2011年の夏になっていて、必要な論文が参照できなかった。四編には35点の論文が載る。馮培紅論文、劉永明論文、沙武田論文、陳于柱論文とかなり精読を要する論文がならぶ。まだまだ、この分野、学ぶべきことが膨大にあるという印象。
 ともかく単純作業の積み重ねや借り物理論で装うのでなく、史料を地道に読んでいくしかないことを強く認識させられた。

新収 『史滴』第33号2012/01/31 00:32

『史滴』第33号、2011年12月。

紹介していないものがたくさんあるのだが、到着したばかりのものを。

小特集に6点、論説に3点、翻訳に2点、訳注が1点、そのほか藤家禮之助先生と佐藤次高先生への追悼文などが載る。

自分の興味の範囲にしぼると
論説に
 小幡みちる、『要修科儀戒律抄』にみえる書儀について
 林美希、唐・左右龍武軍の盛衰ー唐元功臣とその後の禁軍
翻訳に
 王明珂(柿沼陽平訳)中国漢代の羌(四)
訳注は
 ソグド人漢文墓誌ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」(隋・開皇十二年)

となっている。ソグド人漢文墓誌訳注は相変わらず精読レベルが高いものになっている。
小幡論文が敦煌文献に、ソグド人漢人墓誌ゼミナールが新出吐魯番文献に言及する。

拝受 古代君主制の特質と東アジア2012/01/20 17:23

中林隆之「古代君主制の特質と東アジア」、『歴史科学』205号、2011年5月
中林隆之「東アジア<政治と宗教>世界の形成と日本古代国家」(2011年度歴史学研究会大会報告)、『歴史学研究』第885号(増刊号)、2011年10月
河上麻由子『古代アジア世界の対外交渉と仏教』、山川出版社、2011年10月
廣瀬憲雄『東アジア国際秩序と古代日本』、吉川弘文館、2011年11月
河添房江・皆川雅樹(編)『唐物と東アジア-舶載品をめぐる文化交流史』、勉誠出版、2011年11月。

 中林先生から御論文2点をいただいた。ありがとうございました。他3冊は購入。
 最近の日本古代史研究では「東アジア世界」もしくは東洋史で注目されている「東部ユーラシア」のなかで日本の位置づけを考えるという研究が潮流のひとつとなっている。当該時代を鳥瞰的にながめ、そこにある種の論理を見い出し、世界観またはシステムのようなものを導き出すというのは後世の歴史学者の特権でもあるわけだが、その有効性は視点のとりかた、にもよるだろうとは思う。中国史、中国仏教史関係の先行研究を選りすぐって批判したうえで論理が構築されているのだとは思うが、どうも関係論文が少なくみえる。その選択眼の意図をさぐって熟読したいとおもうのだが、その時間があるかどうか。
 以前からこうした研究手法をみて日本古代史の手法と東洋史とのあいだにボーダーはないと思っていた。逆に東洋史研究者が伝統の「東洋史のやり方」みたいなものにこだわれば、それだけ分野は縮小するわけである。新しい資料に注目するというより、既存の資料からも史料としての論理を新たに見出す能力が求められているという感じか。
 また世界観またはシステム論みたいなものに落とし込んでいく方法だけが歴史学でもないであろう。ともかくいずれも刺激的なお仕事である。

Web版 吐魯番出土文物研究情報集録 1988-19962012/01/13 03:10

ここ数年で
荒川正晴(著)『ユーラシアの交通・交易と唐帝国』、名古屋大学出版会、2010年12月。 http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/12/20/ 
關尾史郎(著)『もうひとつの敦煌―鎮墓瓶と画像磚の世界』(新大人文叢書7)、高志書院、2011年3月。 http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/04/25/ 
といった成果が公刊されており、いずれにも『吐魯番出土文物研究情報集録』が引用されているか、その成果が基礎とされている部分が見受けられる。ただ紙媒体の『吐魯番出土文物研究情報集録』の入手はたいへん困難である。

2003年の前後数年、「新潟大学・人文・敦煌プロジェクト」サイトにて公開していたのだが、サーバの老朽化によりサイト自体が消滅、このたび別の検索エンジンをつかい、下記アドレスに復活させた。全文PDFで読むことができるほか記事作者名や記事題名で検索可能である。若干斜めにスキャンされているところもあるが、読めるということでご容赦願いたい。

吐魯番出土文物研究情報集録(No.1-108号、1988-1996)
http://www.human.niigata-u.ac.jp/~ssekio/turfan/

このブログは一ヶ月ぶりの更新となってしまった。いただいたものもあるし購入して山積みになったものもあるわけだが…。

(追記)
集録について。

・別冊(1~50号総目次) のリンクが適切ではありません。別冊Ⅱ(1~100号総目次)を参照してください

新収 中国文物地図集 甘粛分冊2011/12/14 17:24

国家文物局(主編)『中国文物地図集 甘粛分冊』(上・下)、測絵出版社、2011年6月。
席沢宗(名誉主編)『中国道教科学技術史 南北朝隋唐五代巻』、科学出版社、2010年5月。

 ここのところ時間がない。スケジュール繰りができず、締め切りに間に合わないものがいくつもある状態(すいません)。
 転倒の危険がでてきた本の山を低くするにはとりあえずこれら巨冊から整理、ということで、いずれもう少し目を通すつもりだと思いながら、内容をほとんど確認できないまま、棚や箱におさめる。「測絵出版社」?最近のいくつかの省については購入していないので、少し前からそうだったのかもしれないが、このシリーズのこれまでの出版社名と違うようだということには気づいた。
 何人からか御論文をいただいているのですが、目を通す余裕がなく、しばらく記録できそうにありません。ご容赦を。

新収 『敦煌学輯刊』2011年第1期2011/11/26 11:47

『敦煌学輯刊』2011年第1期(総第71期)、2011年3月

陸慶夫、敦煌漢文文書中的民族資料分布概述
王惠民、敦煌与法門寺的香供養具
陳金生、両漢質子与敦煌的密切関係ー兼談質子与中西文化交流
郝二旭、唐五代敦煌地区水稲種植略考
屈直敏、敦煌写本『籯金』系類書叙録及研究回顧
竇懐永、論敦煌文献残損対避諱断代的影響
他11点を載せる。

 なお音韻関係や変文については論文名をメモしていないが、他号を通じて必ずといってよいほど掲載されている。

新収 『敦煌学輯刊』2010年第4期2011/11/25 20:39

『敦煌学輯刊』2010年第4期(70期)、2010年12月

劉満、隋煬帝西巡有関地名路線考
杜斗城・孔令梅、簡論十六国北朝時期的大族与仏教
趙貞、P.t.1045『鳥鳴占』的来源及其影響
金少華、跋日本杏雨書屋蔵敦煌本『算経』残巻
陳于柱・張福慧、敦煌具注暦日見載“本命元神”考辨
魏静、敦煌護宅文献中符籙問題小考
姚美玲、敦煌写本張中景『五臓論』考辨
王杏林、関于俄蔵敦煌文献Dx.2683、Dx.11074残片的定名
徐明英・熊紅菊、俄蔵f242敦煌写本『文選注』的避諱与年代
王冀青、関于敦煌莫高窟“蔵経洞壁画問題”
余欣、敦煌仏寺所蔵珍宝与密教宝物供養観念
周常林、羅振玉与学部蔵敦煌文献
他7点を載せる。

1年遅れの紹介は続く。現在、メモを書いているところ。
 趙論文は敦煌が吐蕃に占領されていた時期の『鳥鳴占』の由来を漢文の鳥占文書や曹氏帰義軍期に用いられた烏形押との関係に探る。敦煌の日常生活における鳥やカラス観、また異なる言語文化間の影響が分析されている。
 金論文は敦煌秘笈、羽37R「算経」を主題にしたもの。S.19とDx03903が綴合、羽37Rとともに同じ写本の一部をなすとみる。またP.3349とS.5859が綴合することを述べる。そしてこれら2種は同じ写本の一部か、底本を同じくする写本であることを指摘する。現在は英・仏・露・日に散在している断巻がもとはひとつである可能性があることを指摘したことになる。
 王杏林論文はDx.2683、Dx.11074を『鍼灸甲乙経』(陰陽大論、正邪襲内生夢)の一部であったとする。
 王冀青、余欣論文は敦煌文献とはなにかを考えることを前提に、論が展開されている。

新収 敦煌学輯刊 2010年第3期2011/11/23 17:33

『敦煌学輯刊』2010年第3期(69期)、2010年9月

鄭炳林・曹紅、唐玄奘西行路線与瓜州伊吾道有関問題考察
李正宇、玄奘瓜州伊吾経行再考
陸離、関于敦煌文書中的“Lho bal”(蛮貊)与“南波”、“南山”
王祥偉、試論吐蕃政権対敦煌寺院経済的管制
李軍、晩唐帰義軍長史及司馬問題再探
崔世平、“刻毡為形”試釈-兼論突厥的祆神祭祀

劉永明、日本杏雨書屋蔵敦煌道教及相関文献研読札記
陳涛、日本杏雨書屋蔵唐代敦煌本『雑律疏』残巻略説-原李盛鐸旧蔵敦煌写本
吉田豊(著)山本孝子(訳)、有関新出的粟特文資料-新手書記写給父親的一封信:兼介紹日本西厳寺橘資料
利夫希茨(著)楊富学・趙天英(訳)亜洲博物館蔵摩尼教文献

 劉論文は敦煌秘笈・羽003R、羽072aV、羽038V、羽072b-1、羽072b-2、羽19R、羽15、羽44、羽040Rに言及する。羽072aV、羽038Vは拙稿で十分に分析できていなかった覇史佚文の背面であり、ここで示されたのは簡単な分析ではあったが、学ぶところがあった。また羽44は「百怪図」、羽040Rは『新修本草』序例で、それぞれ拙稿または私の口頭発表原稿もふまえて紹介されている。劉先生は昨年度、京都大学に滞在しておられた。
 陳論文は敦煌秘笈・羽20Rを中心とした分析。陳先生は昨年度、明治大学に短期滞在され、敦煌秘笈に関して調査をして帰国された気鋭の若手研究者。ただ、本稿で示される見解は岡野誠先生の発表に依拠するところがおおきく、新資料の紹介という域を出ていないように読んだ。コレクション全体に網を掛けようという気概は素晴らしいが、まずはある程度、得意分野、未開拓分野からじりじりと分析されたほうが創見があるのではないかと思う(私にも同じことはいえるという御方もおられるかもしれないが)。なお、陳涛さんからは、このほか執筆された論文をPDFでいただいているので追って紹介していきたい。大体、原載誌も入手したところであった。ともかく劉先生、陳先生に感謝。この分野だけに限っても、日に日に新出公開資料が増えている。こうした関連研究を拝読しながらさらに研鑽を深めることにしたい。
 吉田論文は「新出のソグド語資料についてー新米書記の父への手紙から:西厳寺資料の紹介を兼ねて-」、『京都大学文学部紀要』49、2010年にあたる内容となるようである。
 なお、以上の他、9点が掲載されている。

※本日は他人の論文校正・修正にほとんど時間を費やした。もちろん査読とかそういう名のある方がする作業ではなくゼミなどの一環でもない。自分の研究とも関係ない。ただ誰がやったともわかりにくくても必要な作業である。その次は共同出版関係のメール書きだった。こういうブログを書いていると研究時間がありそうにみえるだろうが、ほとんどの時間は自分の時間ではない。たぶんおおかたの人がそうなのだろうけど。
 天気はいよいよ、毎日のようにどんよりしているか嵐がふくかの日本海側の冬らしい様相を呈してきた。

新収 敦煌学輯刊 2010年第1期・第2期2011/11/21 19:07

『敦煌学輯刊』2010年第1期(67期)、2010年4月
『敦煌学輯刊』2010年第2期(68期)、2010年6月

興味深い論文ばかりなので、全論文の目次を入力しておけば他者には有益かもしれないが、それはCNKIで対応できるということで、自分が気になったテーマに絞ってざっと目を通す。興味対象はあとで変わるものだが。

2010年第1期
 張俑泉 、敦煌文献的写本特徴
 魏迎春・劉全波、敦煌写本類書S.7004『楼観宮闕篇』校注考釈
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画祥瑞図研究
 他15点が収録される。

2010年第2期
 劉満、唐九曲及其相関軍城鎮戌考
 恵怡安・曹紅・鄭炳林、唐玄奘西行取経瓜州停留寺院考
 李并成、百年来敦煌地理文献及歴史地理研究
 楊宝玉・呉麗娯、梁唐之際敦煌地方政権与中央関係研究-以帰義軍入貢活動為中心
 祁暁慶、唐代病坊研究綜述
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画娯楽図研究
 沙海真、敦煌本『類林』的分類特徴和意義
 他9点が収録される。

新収 亦術亦俗-漢魏六朝風水信仰研究2011/11/16 00:30

張斉明(編)『亦術亦俗-漢魏六朝風水信仰研究』中国人民大学出版社、2011年5月。

数ヶ月前に購入。
 いくつかの作業や依頼原稿の準備をしているうちに情報を追加できないまま、ずいぶんと間があいてしまった。
 この間、ただ買っているだけで数頁さえも目を通していない書籍の山となってしまった。