拝受 漢長安城未央宮出土骨簽および弩機の銘文について2012/07/20 23:05

内田宏美、漢長安城未央宮出土骨簽および弩機の銘文について、『中国考古学』第11号、2011年12月。

 内田さんからいただいた。ありがとうございました(ちなみにいただいたのは3月です)。中国の武器史に関する専論はわりと少なく、大変勉強になった。ありがとうございました。

新収 中国歴史文物2012/02/05 15:57

『中国歴史文物』総第84期~第88期、中国国家博物館、2010年。

2010年第1期~第5期分5冊より。例によって関心のある論文、記事のみ。

第84期
 王義康、薩珊銀幤東輸与唐代突厥内附諸族
第85期
 尚磊明、唐代韋孝謇墓誌及墓券釈補
第86期
 葛承雍、北朝隋唐引牛駕車胡俑写実現象
第88期
 蘇奎、漢代導引俑与導引術
 陳涛、日本杏雨書屋蔵唐代宮廷写経略説
 趙蘭香、北魏「元天穆墓誌」考釈
 章紅梅、「楊機墓誌」釈文校正
 王連龍、新見北斉「高渙墓誌」考略

陳濤論文は羽006,羽007,羽009,羽012,羽045,羽046を扱う。

そのほか、以下のサイトで全目次を確認できる。(後一則をクリックすれば、2期以降6期まで確認できる)
http://www.mzb.com.cn/html/report/269313-2.htm

さて講義も一通り終わったし、机まわりを整理せねば。

新収 『史滴』第33号2012/01/31 00:32

『史滴』第33号、2011年12月。

紹介していないものがたくさんあるのだが、到着したばかりのものを。

小特集に6点、論説に3点、翻訳に2点、訳注が1点、そのほか藤家禮之助先生と佐藤次高先生への追悼文などが載る。

自分の興味の範囲にしぼると
論説に
 小幡みちる、『要修科儀戒律抄』にみえる書儀について
 林美希、唐・左右龍武軍の盛衰ー唐元功臣とその後の禁軍
翻訳に
 王明珂(柿沼陽平訳)中国漢代の羌(四)
訳注は
 ソグド人漢文墓誌ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」(隋・開皇十二年)

となっている。ソグド人漢文墓誌訳注は相変わらず精読レベルが高いものになっている。
小幡論文が敦煌文献に、ソグド人漢人墓誌ゼミナールが新出吐魯番文献に言及する。

新収 文物と遺物の境界2012/01/23 19:22

籾山明・佐藤信(編)『文物と遺物の境界-中国出土簡牘史料の生態的研究』、六一書房、2011年11月。

 調査編と研究編の二部に分かれ、合計13点の報告・論文が載る。主に漢代の出土簡牘史料に関してとくに書式・形式・形態などに関する最新の成果がまとめられている。
 表紙のデザインは月面上に理系の書籍にあるかのようなグラフが描かれているのだが、そのグラフにはところどころに本書に関係する言葉がちりばめられていて、なんとも奇妙。
 個人的には興味ある内容だが、そうそう売れない本だと思って購入したら、その本ですか、この本はずいぶんとたくさんと売れたんですよ、とのことであった。

セール中だったため、池田雄一(編)『奏𤅊書-中国古代の裁判記録』(刀水書房、2002年11月)も購入。

拝受 『穆天子伝』訳注稿(一)2012/01/20 18:00

桐本東太(監訳)、『穆天子伝』訳注稿(一)、『史学』第80巻第4号、2011年12月。

古代中国研究会(表書きでは中国古代研究会となっているが)からいただいた。ありがとうございました。訳注者のお名前を見ると、主に若手の東洋史研究者たちによる研究会らしい。「伝世の出土文献」の研究をとおして、近年の出土文献とを対話させようという試み。しかも所謂、史学研究が扱う題材とはずれた資料。面白そうである。

新収 中国義士伝 ほか2011/11/19 00:17

冨谷至(著)『中国義士伝-節義に殉ず』(中公新書)、中央公論社、2011年10月。
宮川尚志(著)『諸葛孔明-「三国志」とその時代』(講談社学術文庫)、講談社、2011年10月。
渡邉義浩(著)『関羽-神になった「三国志」の英雄』(筑摩選書)、筑摩書房、2011年10月。

 中国義士伝がとりあげるのは漢の蘇武、唐の顔真卿、南宋の文天祥。諸葛孔明は何度か改訂刊行されているもの。いずれもこれから読むつもりだが時間がとれるだろうか。
 中国史に関心を持つきっかけは様々であろうが、興味深い人物伝を読んで、という人は少なくないように思われる。

新収 中国古代の貴族社会と文化 ほか2011/11/19 00:11

宇都木章(著)『中国古代の貴族社会と文化』(宇都木章著作集第1巻)、名著刊行会、2011年9月。

2007年に逝去された宇都木章先生の遺稿集。周~漢代に関する論文を収める。巻末に佐藤三千夫氏による解説があり、著者の関心のあり方の変化をおうことができるようになっている。おさめられている論文は1960年代から1980年代に発表されたものが主体のようである。

第一部 古代貴族社会
第二部 西周礼論
第三部 出土遺物から見た古代の中国

三部構成。論文としては11点をおさめる。

拝受 政治空間より見た後漢の外戚輔政 ほか2011/08/08 22:35

渡邉将智、政治空間より見た後漢の外戚輔政―後漢皇帝支配体制の限界をめぐって、『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第56輯、2010年。
渡邉将智、後漢洛陽城における皇帝・諸官の政治空間、『史学雑誌』第119編第12号、2010年。

渡邉さんからいただいた。ありがとうございました。後者は先に紹介している。ともに史料と考古学的報告に依拠した「政治空間より見た」という視点が際立っている。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/02/10/5674168

今日は立秋だったが暑かった。某大学内はO Cでまるで高校のよう。メインストリートを歩く私に大学ロゴの入った団扇を渡そうとする大学生は、私を高校教師と間違えたのであろう。ここに来た当初は浪人を繰り返した老けた新入生にでも間違えられたか、それとも怪しい団体なのか、新歓の声をかけられたたこともあった(笑)。まあそのときも今日も喜ぶはずもなく、見る目がおかしいのではないかと相手の顔をまじまじとみてしまうわけだが。

新収 『文物』、『西域研究』2011/06/24 19:27

『文物』第2011-1号(総第656期)、文物出版社、2011年。
 韓国河、東漢北魏陵寝制度特徴和地位的検討

『文物』第2011-2号(総第657期)、文物出版社、2011年。
 胡明曌、有関玄武門事変和中外関係的新史料-唐張弼墓誌研究
 甘粛省文物考古研究所、甘粛玉門金鶏梁十六国墓葬発掘簡報
 王策・呉葒、玉門金鶏梁出土的木牘和封検

『文物』第2011-4号(総第659期)、文物出版社、2011年。
 安徽省文物考古研究所、安徽当涂青山六朝墓発掘簡報
 韋正、試談酒泉丁家閘5号墓壁画的時代
 王元林、前涼道符考釈
 王春波、山西安沢県郎寨唐代磚塔
 梁永照、唐劉氏墓誌考
 朱磊、談漢代解注瓶上的北斗与鬼宿

『西域研究』第2011-2号(総第82期)、新疆社会科学院、2011年。
 畢波、隋代大興城的西域胡人及其聚居区的形成
 李翎、“八天神”図像之誤読-関于丹丹烏里克壁画残片的釈読

 文物、2011-2:玉門の墓葬は趙氏家族墓とされ、いずれも文字の入った封検、衣物疏断簡、木牘、磚のほか、あざやかな織物が出土している。木棺蓋には伏羲女媧像があったとされるが本号に写真や分析はない。また何カ所かに紀年があることから十六国墓とされる。
 文物、2011-4:韋正論文は従来、五胡十六国時代後期の墓葬と比定されてきた丁家閘5号墓の年代比定に誤りがある可能性を考古学的な観点から論じる。周辺の高台、酒泉、敦煌周辺墓との比較などをとおし、十六国墓ではなく魏晋墓の可能性があるとみる。紀年のない被葬者無名墓のむずかしいところだが、資料を扱う前提として年代比定にはとくに慎重さを期さねばならない。ただ園田論文への批判は理解できるとしても、同様に陶器から墓葬の編年をおこなった白石氏の論考が参照されていない。(http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/04/16/1411553)。安徽六朝墓は被葬者不明なのが残念だが多数の装飾品が出土している。山西唐代磚塔の建立年代は最も古いと思われる功徳碑碣に書かれた地名から618~758年と推定されている。いまだにこういうものが発見されるのは驚きである。被盗掘の地宮から開元通宝が数枚発見されたという。以上のようにこの号は南北朝隋唐期を研究する者には読みどころ満載である。
 西域研究、2011-2:このほかに乜小紅、張可輝による敦煌吐魯番文書の契約文書に関する論考もある。

 いつもより少し細かくメモをとってみました。
 当時の、もしくは後世の官僚のための記録でもある正史編纂物の論理や官僚の回想に依拠するばかりでなく、発掘報告にあるような個々の新出資料をも史料化し、正史編纂物をそうした史料の一つとして相対化していくことが、歴史叙述を豊かにしていくのではないかとあらためて考えた次第。

新収 稀見唐代天文史料三種2011/06/12 21:51

高柯立(選編)『稀見唐代天文史料三種』上中下、国家図書館出版社、2011年1月。

『天文要録』『天地瑞祥志』『譙子五行志』を影印でおさめる。前二者は日本の研究者の研究で知られる日本蔵写本。