拝受 漢長安城未央宮出土骨簽および弩機の銘文について2012/07/20 23:05

内田宏美、漢長安城未央宮出土骨簽および弩機の銘文について、『中国考古学』第11号、2011年12月。

 内田さんからいただいた。ありがとうございました(ちなみにいただいたのは3月です)。中国の武器史に関する専論はわりと少なく、大変勉強になった。ありがとうございました。

拝受 出土資料からみた魏晋南北朝の地域文化に関する初歩的研究2012/03/14 23:01

室山留美子『出土資料からみた魏晋南北朝の地域文化に関する初歩的研究』、2012年2月、科研費(C)(代表:中村圭爾)報告書。

室山さんからいただいた。ありがとうございました。しばらく海外出張、私事等々で記載が遅くなりました。

 魏晋南北朝時代における地域と地域文化の生成と発展を考古学的成果から検討し、そこに地域差や共通項があるか検証を試みたもの。
 研究報告「古代中国の地域文化-関中十六国墓、北魏墓と後漢・西晋の鎮墓獣を手がかりに」と研究資料「関中十六国墓データ」の構成からなる。

拝受 ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」2012/02/13 01:11

ソグド人墓誌研究ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」、『史滴』第33号、2011年12月。

 ソグド人墓誌研究ゼミナールを主宰しておられる石見清裕先生からいただいた。ありがとうございました。隋代墓誌訳注といえども新しい北朝史研究がはじまった観がある一本。北朝史がユーラシア大陸の動きとつながっていることがくっきりとみえてくる。訳注作業に参加した院生は幸運だし、おおいに貢献もしたのであろうが、最終的にこれだけの精度のものをわずか数ヶ月で作られると、同分野で一人で研究を進める者は困惑するしかないであろう。
 おまえはなぜこれに取り組まなかったのかといわれているような気もする。この史料が出た頃、自分は敦煌医薬文献に飛び込もうとしつつあった。時間は巻き戻せないのでこれから取り組みたいとは思うけれどずいぶん高い壁である。
 これを例に挙げるまでもなく墓誌研究というのは相当なポテンシャルを持っているとおもうが、多くの場合、整理中心、正史の補助的利用になりがちであり、またその可能性ばかりを前面に出した研究費取得に重きがおかれすぎだと思うことがある。後世の歴史家にしかみえない事実とは丁寧にそして同時に視野を広くしながら史料を読んでいくことによってしかえられないことを再認識させられる。

新収 『図書』2012年2月号(百済人祢軍墓誌の「日本」 )2012/02/07 17:32

『図書』2012年2月号、岩波書店。

 東野治之、百済人祢軍墓誌の「日本」

唐の百済人将軍祢軍墓誌に「日本」の2文字があって、確認できる最古の「日本」国号ではないかと話題になっている。東野論文ではその文脈・対句表現等から「日本」は倭国をさすのではなく「日の本」を意味し、朝鮮半島諸国をさす可能性さえある表現で、むしろ当時「日本」国号が確立していない可能性があると示唆する。

昨日、これに関するイベントがあるというお知らせを某先生より頂戴した。積極的にイベント情報を流しているサイトがネット上にはいくらもあるから、この個人的読書記録で紹介するにはあたらないが、「百済人祢氏」とか「百済人祢軍」、または「禰軍墓誌」などのキーワードでググるとそのほか情報や推論がぞろぞろとでてくる。たしかに注目されている。

ネット上では、nagaichiさんという方が運営されている「枕流亭のブログ」で墓誌拓本写真がアップされているのを確認できる。
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20120107/p1

唐代墓誌、「日本」、朝日新聞、シンポ。井真成墓誌の時に似た現象がおきているようにもみえる。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/10/25/

新収 中国歴史文物2012/02/05 15:57

『中国歴史文物』総第84期~第88期、中国国家博物館、2010年。

2010年第1期~第5期分5冊より。例によって関心のある論文、記事のみ。

第84期
 王義康、薩珊銀幤東輸与唐代突厥内附諸族
第85期
 尚磊明、唐代韋孝謇墓誌及墓券釈補
第86期
 葛承雍、北朝隋唐引牛駕車胡俑写実現象
第88期
 蘇奎、漢代導引俑与導引術
 陳涛、日本杏雨書屋蔵唐代宮廷写経略説
 趙蘭香、北魏「元天穆墓誌」考釈
 章紅梅、「楊機墓誌」釈文校正
 王連龍、新見北斉「高渙墓誌」考略

陳濤論文は羽006,羽007,羽009,羽012,羽045,羽046を扱う。

そのほか、以下のサイトで全目次を確認できる。(後一則をクリックすれば、2期以降6期まで確認できる)
http://www.mzb.com.cn/html/report/269313-2.htm

さて講義も一通り終わったし、机まわりを整理せねば。

新収 曹操墓の真相2012/01/23 19:46

河南省文物考古研究所(編著)、渡辺義浩(監訳)、谷口建速(訳)『曹操墓の真相』国書刊行会、2011年9月。

話題の曹操墓に関する報告書の翻訳と解説。カラー図版多数。曹操のものである可能性の高い頭骨の写真等有り(年齢鑑定の根拠も示されている)

関連図書
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/11/16/6204232

なお、『文物』、総第664期、2011年9月に「洛陽孟津大漢冢曹魏貴族墓」という報告があり、墓主は曹操の族子である曹休であるという。

ニュース
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0517&f=national_0517_039.shtml

新収 敦煌学輯刊 2010年第1期・第2期2011/11/21 19:07

『敦煌学輯刊』2010年第1期(67期)、2010年4月
『敦煌学輯刊』2010年第2期(68期)、2010年6月

興味深い論文ばかりなので、全論文の目次を入力しておけば他者には有益かもしれないが、それはCNKIで対応できるということで、自分が気になったテーマに絞ってざっと目を通す。興味対象はあとで変わるものだが。

2010年第1期
 張俑泉 、敦煌文献的写本特徴
 魏迎春・劉全波、敦煌写本類書S.7004『楼観宮闕篇』校注考釈
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画祥瑞図研究
 他15点が収録される。

2010年第2期
 劉満、唐九曲及其相関軍城鎮戌考
 恵怡安・曹紅・鄭炳林、唐玄奘西行取経瓜州停留寺院考
 李并成、百年来敦煌地理文献及歴史地理研究
 楊宝玉・呉麗娯、梁唐之際敦煌地方政権与中央関係研究-以帰義軍入貢活動為中心
 祁暁慶、唐代病坊研究綜述
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画娯楽図研究
 沙海真、敦煌本『類林』的分類特徴和意義
 他9点が収録される。

新収 曹操高陵の発見とその意義2011/11/16 00:42

愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター(編)『曹操高陵の発見とその意義-三国志 魏の世界』汲古書院、2011年3月。

中国古代史研究の枠をこえて話題になっている曹操墓に関するシンポジウムの報告をまとめたもの。これも購入してからずいぶんと時間がたってしまった。
 講演の翻訳であり、専門書といってよい内容だが読みやすい。
 「あとがき」には、諸条件の組み合わせからかんがえて曹操墓であるとみて間違いないこと。また、三国期の死去年代がはっきりした人物の墓葬の発見によって、後漢末から三国期の墓葬の形態や出土遺物の整理や年代比定に得るところの大きい発見であったことが記されている。

「日本」国号に関する報道、記事2011/10/25 03:26

「日本」呼称、最古の例か 678年の墓誌?中国で発見(asahi.com)
気賀沢保規先生のコメントがついている。
http://www.asahi.com/culture/update/1022/TKY201110220586.html

以下のサイトのコメントが大変、参考になる。

天武天皇7年(678)には既に用いられていた「日本」国号: 王連龍「百済人《禰軍墓誌》考論」(石井公成先生の「聖徳太子研究の最前線」blog)
http://blog.goo.ne.jp/kosei-gooblog/e/83d4a0170e3ffd13634b4f6dcd46bd95

拝受 出土刻字資料研究における新しい可能性に向けて2011/10/05 00:55

室山留美子、出土刻字資料研究における新しい可能性に向けて-北魏墓誌を中心に、『中国史学』第20巻、2010年10月。

室山さんからいただいた。ありがとうございました。
ここ数十年間において多数の墓誌が発見され史資料が増大しているが、同時に偽刻も増えている。その真贋をみきわめ、確かな史料として扱う方法論または資料論の確立を意識した内容。墓誌の作成時期とその特徴に政治史的背景が一定の相関性をもつことを指摘する。