新収 義和団事件風雲録2011/02/10 22:33

菊池章太(著)『義和団事件風雲録―ペリオの見た北京』、大修館書店、2011年2月。

 1900年、義和団事件がおきたとき、その渦中にいたフランスの東洋学者ペリオの記録をもとに近代の中国、北京、敦煌、東洋学を活写している。銃弾が飛び交うなか活動する若いペリオの姿がうかがえる。  
 ペリオとはもちろん、莫高窟蔵経洞のなかで、一心不乱に写本を見ている写真で有名なその人である。
 莫高窟と蔵経洞に関わるペリオの資料には最近公開されたばかりのものもあるのですね。そういえば、松井先生のブログではかなり前に取り上げてましたね。

拝受 伯希和与中国学者関於摩尼教研究的交流2010/11/22 19:36

王楠・史睿、伯希和与中国学者関於摩尼教研究的交流、『張広達先生八十華誕祝寿論文集』新文豐出版、2010年

国家図書館の史睿さんからいただいた。ありがとうございました。近代のマニ教研究の展開をペリオを中心にわかりやすく解説したもの。史料研究であり近代史研究の一部ともいえる。
 どうも世界的にマニ教研究が注目を集めつつあるようである。

拝受 環境と歴史学2010/11/01 21:08

水島司(編)『環境と歴史学―歴史研究の新地平』、勉誠出版、2010年9月。

執筆者の一人の森田さんからいただいた。ありがとうございました。
歴史学研究において総合的で新らしいテーマである「環境」という切り口からの論考を集め、その展望をしめしたもの。

森田直子、ドイツの歴史学と「環境史」―ヨアヒム・ラートカウ『自然と権力―環境の世界史』を例に

全部の目次はこちら。
http://www.bensey.co.jp/book/2272.html

以下は眼を通したもの。とりあえずはアジア系に片寄る。

鶴間和幸、歴史学と自然科学ー始皇帝陵の自然環境の復元
卯田宗平、中国における環境史研究の可能性―生業技術からみるミクロな人間ー環境系
上田信、生態環境史の視点による地域史の再構築―生物多様性の歴史的変化研究のための史料について
クリスチャン・ダニエルズ、雲南地域住民の天然資源保護・管理―十八世紀後半~19世紀前半の元江流域・メコン河上流域を事例として
石川博樹、偽バナナは消えたのか―北部エチオピアの栽培植物をめぐる歴史学的考察
海老澤衷、棚田と水資源を活用した楠木正成
高橋 学、環境史からみた中世の開始と終焉
北條勝貴、神仏習合と自然環境―言説・心性・実体

それぞれの切り口がおもしろいのであとで精読することにしたい。

拝受 大谷光瑞とアジア-知られざるアジア主義者の軌跡2010/08/10 19:12

柴田幹夫(編)『大谷光瑞とアジア-知られざるアジア主義者の軌跡』勉誠出版、2010年8月。

柴田先生からいただいた。ありがとうございました。版元の勉誠社の紹介ページはこちら。
http://www.bensey.co.jp/book/2253.html

 ただ、よくあることだが、勉誠社のページにのっているのはおそらく出版予告ビラそのままで実際の目次は少々異なる。以下に実物に基づいて目次を書かせていただいて、とりあえずの紹介とさせていただく。「科学・医史」に関係するのは猪飼先生の論文。

はじめに/柴田幹夫
第一部 大谷光瑞研究の実情と課題/柴田幹夫
第二部 大谷光瑞小伝/柴田幹夫
第三部 大谷光瑞とアジア
 第一章 「大谷光瑞と朝鮮―光瑞にとっての朝鮮、朝鮮にとっての光瑞―」/山本邦彦
 第二章 「大谷光瑞とロシア」/三谷真澄
 第三章 「大谷光瑞と樺太-日露戦後における西本願寺および青島との関係について」/麓慎一
 第四章 「大谷光瑞と大連」/柴田幹夫
 第五章 「大谷光瑞と青島-大谷光瑞と西本願寺および青島との関係について」/修斌・李雪皎(柴田幹夫訳)
 第六章 「大谷光瑞と上海-上海西本願寺と上海日本人社会」/陳祖恩(加藤斗規訳)
 第七章 「大谷光瑞と漢口」/野世英水
 第八章 「大谷光瑞とチベット」/高本康子
 第九章 「大谷光瑞と南洋」/加藤斗規
 第十章 「大谷光瑞とトルコ-建国の父ケマルパシャのパートナーとしての大谷光瑞」/エルダル・カ・ヤルチュン
第四部 大谷光瑞とその時代
 第一章 「本願寺の海外布教」/高山秀嗣
 第二章 「大谷光瑞と「親鸞聖人六五〇年遠忌」」/潮留哲真
 第三章 「大谷光瑞と上原芳太郎」/和田秀寿
 第四章 「大谷光瑞・本多恵隆らの時代と「坂の上の雲」/本多得爾
 第五章 「大谷光瑞と二楽荘ーその建築に影響した英国の邸宅文化とインドの僧院の景観」/服部等作
 第六章 「大谷光瑞と香・薬物」/猪飼祥夫
 第七章 「大谷学生と瑞門会」/小出享一
 第八章 「言論人 大谷光瑞の誕生-中国認識をめぐって」/小野泰
 第九章  「大谷光瑞と別府」/掬月誓成
 第十章 「日本国外務省外交記録と大谷探検隊の研究―近8年の回顧と新たなフィールドの設定」/白須淨眞
大谷光瑞年譜/柴田幹夫
おわりに/白須淨眞

拝受 大谷探検隊将来断片資料の追跡をめぐって2010/08/05 21:07

片山章雄、大谷探検隊将来断片資料の追跡をめぐって(第73回仏教文化講演会記録)、『仏教文化研究所紀要』第48冊、2009年12月。

 片山先生からいただいた。ありがとうございました。片山先生が近年書かれた論文の目的や要点を見渡すことができる内容となっている。

 大谷探検隊の将来資料の復原を目的に、公表されている断片を用いて、その復原の題材として、ベゼクリク壁画「衆人奏楽図」、旅順博物館蔵経典断片帖中の吐魯番文書、吐魯番古墓中の朱雀文書彩画、玄武文書を扱っておられる。挿図多数。

拝受 明治期「村の鎮守」の植生と地域社会2010/08/04 23:34

畔上直樹、明治期「村の鎮守」の植生と地域社会-東京都多摩市域の地域史料をてがかりに、『明治聖徳記念学会紀要』復刊第64号、2009年
畔上直樹、戦前日本の神社風致論と明治天皇の「由緒」、歴史学研究会(編)『由緒の比較史』青木書店、2010年5月。

畔上先生からいただいた。ありがとうございました。「太古の森の面影」「森厳さ」といったイメージでとらえられがちな神社の森の景観を生み出した明治・大正期の専門的学知や社会的通念の作用を論じている。

拝受 清末成立の四川からチベットへのルートを描いた程站絵図の基礎的研究II2010/06/22 17:59

片山章雄(代表)『清末成立の四川からチベットへのルートを描いた程站絵図の基礎的研究II― 新出「西蔵全図」と横浜『自鑪庁至烏斯蔵程站輿図』、北京『自打箭鑪至前後蔵途程図』(2009年度東海大学学部等研究教育補助金(文学部)による研究成果報告書)、2010年5月。

片山先生からいただいた。ありがとうございました。19世紀後半から20世紀初頭の知識をもとにつくられた清朝時代の四川からチベットにかけての地図、絵図に関わる七点の各論(執筆:片山章雄、立石謙次、渡部武、浅井紀、畠山禎)。内容は地図の解説からその地域の建築や民俗、その地に関する旅行記など多岐にわたる。

前稿
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2008/11/12/3911991

拙稿 杏雨書屋蔵「敦煌秘笈」概観 ― その構成と研究史2010/06/03 23:08

(『西北出土文献研究』第8号、2010年5月収録)

冒頭より: 
 杏雨書屋蔵「敦煌秘笈」は京都大学の教授で第12代総長でもあった羽田亨(1882-1955)による敦煌文献コレクションで、現在は蒐集にあたって資金的援助をおこなっていたとされる五代武田長兵衛にゆかりのある武田科学振興財団・杏雨書屋が所蔵する。そこにふくまれる文献総数は約760点、そのほとんどが目録の題名程度でしか知られていなかった未精査の敦煌文献である。公開前から旧蔵者の目録やわずかに公開されていた古写真などによって、その姿をある程度まで調査可能であることが意識されたが、これまでは所蔵先の公表さえされないまま、内々に整理がすすめられてきた。
  そして2009年 3月に、『杏雨書屋蔵 敦煌秘笈 目録冊』(以下、『目録冊』)が刊行、つづいて同年10月に『杏雨書屋蔵 敦煌秘笈 影片冊一』、2010年4月には『杏雨書屋蔵 敦煌秘笈 影片冊二』(以下、『影片冊』)が刊行された。今後、一年に二、三冊ずつ、第九冊まで影片冊が刊行される予定ときく。莫高窟から持ち出されて各国に分蔵されたほとんどの敦煌文献はこの一世紀の間に次々と公開され、デジタル化そしてオンライン化という新たな整理段階にはいりつつあり、今後これほどの分量の未精査の敦煌文献の存在が一度に公表されることはおそらくないとおもわれる。本コレクションが研究者間で「最後の宝蔵」と呼ばれてきたゆえんである。
 これまでの研究によれば、杏雨書屋蔵「敦煌秘笈」は李盛鐸(1859-1934)旧蔵品を中心に清野謙次、富岡謙蔵、高楠順次郎旧蔵品やその他書肆などからの購入品で構成されていることがあきらかである。また、そうした資料の構成や蒐集を支えた武田氏の存在もあわせると、この資料群は羽田亨という東洋史学者と京都大学のある関西圏において集積されてきたものといってよいであろう。もちろん、それは中国文化の精華でありユーラシア史的文化遺産でもある敦煌文献という一大資料群に由来するわけである。(一部注記を削除、以下略)

※本稿にはすでに公開されている情報の整理により、760点弱の文献名一覧および参考資料一覧を付属する。蔵書印から推測される中国の旧蔵者についての情報なども付す。

※なおこのコレクションの存在は北京大学・栄新江教授によって早くから推察されており、栄教授は資料を実見されていないにもかかわらず、これまで的確な推論を積み重ねてこられた。それは各国に分蔵された敦煌文献の性格、経緯を知悉していたことによる。また『新修本草』に関する一連の拙稿には栄先生のご教示によるところがある。このブログに記して謝辞としたい。以下はとくに「敦煌秘笈」の性格を知る上で有用なものである。
 なお『海外敦煌吐魯番文献知見録』で直接、関係している箇所はわずか数行にすぎないが(高田時雄先生が関与されたようである)、そこにしめされた指摘を契機に、池田温先生による関係資料の紹介がおこなわれ、昨年の目録冊公開に至るまで半ば手探りの状態で研究が展開されてきたのである。

栄新江(著)『海外敦煌吐魯番文献知見録』、江西人民出版社、1996年
栄新江(著)『鳴沙集』、新文豊、1999年
栄新江(著)『辨偽与存真―敦煌学論集』、上海古籍出版社,2010年3月(『鳴沙集』の増補改訂版にあたるようである)

追記:本稿では先行研究に、落合俊典「李盛鐸と敦煌秘笈」、印度學佛教學研究 52(2)、2004を欠いている。http://ci.nii.ac.jp/naid/110002707180。ここに記して是非一読をおすすめすると同時に、後日の訂正を期したい。

拝受 西北出土文献研究 第8号2010/06/03 21:46

西北出土文献研究会、『西北出土文献研究』第8号、2010年5月。

園田俊介、北涼沮渠氏と河西社会-北涼建国以前の沮渠氏を中心として-
町田隆吉、4~5世紀吐魯番古墓壁画・紙画再論
關尾史郎、「五胡」時代の符について-トゥルファン出土五胡文書分類試論(III)ー
岩本篤志、杏雨書屋蔵「敦煌秘笈」概観-その構成と研究史-
片山章雄、大谷探検隊吐魯番将来≪玄武関係文書≫続考
荒川正晴、ソウル、シルクロード博物館参観記
佐藤貴保、西夏法令集『天盛禁令』符牌関連条文訳注(上)

編集を担当された關尾先生からいただいた。お手数かけました。
亜東書店、朋友書店で販売されると聞いている。

http://www.ato-shoten.co.jp/

新収 明治前期日中学術交流の研究2010/06/01 21:20

陳捷(著)『明治前期日中学術交流の研究』汲古書院、2003年2月。

 以前から何度も図書館で開き、どうせだから購入しようと思っていたが、他の本を優先していて未入手だった。
 日本に中国の古籍がたくさんあるが、中国や台湾にも日本で出版された古籍・善本がたくさんある。その経緯を調べていく際に本書は良いガイドになる。そこは米沢藩の宮島誠一郎や日本公使であった李盛鐸が行き交う場である。
 本書は古書で入手した。日中学術史にその名を知られ、数年前に物故された先生の蔵書印が捺され、ところどころ線が引かれている。