拝受 大谷光瑞と国際政治社会-チベット・探検隊・辛亥革命2011/10/24 21:09

白須淨眞(編)『大谷光瑞と国際政治社会-チベット・探検隊・辛亥革命』勉誠出版、2011年10月。
柴田幹夫「辛亥革命と大谷光瑞」(上記『大谷光瑞と国際政治社会-チベット・探検隊・辛亥革命』所収)。

執筆者のお一人の柴田幹夫先生から抜き刷りとともにいただいた。ありがとうございました。執筆者は以下のとおり。
金子民雄、白須淨眞、ブリッジ・タンカ、奥山直司、高本康子、柴田幹夫、加藤斗規

今年は辛亥革命100年であるという意味でタイムリーである。帯には「新資料「外務省外交記録」を駆使し、まったく新しい大谷光瑞像が立ち上がる」とある。また大谷光瑞と取り巻く人々の活動を見ていくとチベット問題を避けて通れないことが注目されているようである。(これから読みます)

目次や詳しい紹介はこちら(勉誠出版)。
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100043

また、昨年にも柴田幹夫(編)『大谷光瑞とアジア』なる本が刊行されている。 http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/08/10/5278477

さてここ数日、締め切りつきの書類、原稿におわれていてブログを書く暇もなかった。(すいません。某所で、「できれば」10月中にと依頼された原稿はできてません。)ただこんな中でも抜き刷りをいただいたり、書籍を(大量に)購入しているのでおって書き込んでいくことにしたい。

拝受 古ウイグル語文献にみえる「寧戎」とベゼクリク2011/09/20 20:13

松井太、古ウイグル語文献にみえる「寧戎」とベゼクリク、『内陸アジア言語の研究』第26号、2011年。
松井太、敦煌出土のウイグル語暦占文書、『人文社會論叢』(弘前大学)第26号、2011年8月。

海外調査中の松井先生から、関連分野の研究者宛の添付ファイルとしていただく。ありがとうございました。
 前者は現在、ベゼクリクと呼ばれる地が古ウイグル語文献においてベゼクリクに近い音で呼ばれていた明証がなく、漢語の「寧戎」の音写転記とみられる表記がもちいられていたことを論じ、それを手がかりにそれら表記が用いられているウイグル語文書の歴史地理学的な考察をおこなったもの。後者はモンゴル期の暦占文書断片群(背面、西夏語経典)の内容を,とくに明清以降に中国で流行することになった通書『玉匣記』に比定したもの。

拝受 中国南北朝隋唐期をめぐる仏教社会史研究の地平2011/09/16 20:58

氣賀澤保規、中国南北朝隋唐期をめぐる仏教社会史研究の地平、『佛教史学研究』第53巻第1号、2010年11月。

氣賀澤先生からいただいた。ありがとうございました。
 学会の基調報告の講演録。中国南北朝隋唐期の仏教史のこれまでの動向と今後の研究への提言、期待などが述べられている。宗派仏教をこえた「時代の中で仏教を捉える」研究への展開の期待や、京大人文研が培ってきた共同研究の土台への羨望なども記されている。
 ただ最後の点は、関東圏では同じ機関が主導的に、かつ定期的に世代交代をしながら場を提供してきたのでなく、特定のある先生のもとに集まるという形が多いため、機関としては語りにくいわけだが、同様に開かれた共同研究や史料講読会はあったし、今もある(関西の他大にも同様に開かれた場がある)と思うのだが。

拝受 西北出土文献研究 第9号2011/07/12 17:57

『西北出土文献研究』 第9号、2011年5月。

【論説】.
町田隆吉、甘粛省高台県出土の冥婚書をめぐって
北村永、甘粛省高台県地埂坡魏晋3号墓(M3)について
高橋秀樹、酒泉丁家閘5号墓壁画胡人像に見られる氈と 「三角帽」
關尾史郎、敦煌新出鎮墓瓶初探ー「中国西北地域出土鎭墓文集成(稿)」補遺(続)-

【ノート】
赤木崇敏、ロシア蔵コータン出土唐代官文書Dx.18921,18940,18942

【訳注】
佐藤貴保、西夏法令集『天盛禁令』符牌関連条文訳注(下)

【集成】
玄幸子、サンクトベテルブルグ所蔵教煌文献(Dx.05001-05500)同定リスト(稿)

 編集にあたられた関尾先生からいただいた。ありがとうございました。前半4点が甘粛「文物」研究で、後半3点が俄蔵「文献」研究の様相をなしており、バラエティに富んだ内容。
 甘粛墓群出土資料は年代比定のむずかしい資料がおおく、本国の発掘調査方法が根本的に改善されることが研究を展開する前提になるとおもわれる。町田・關尾論文はそんななかで情報が割合豊富で年代比定がしやすい鎮墓文資料等を対象にとりあげ、墓葬文化を分析する。同じく墓葬に用いられた吐魯番文献(とくに衣物疏)の研究に通じるものがあるように思われる。
 赤木論文はとりあげた断片を「8世紀後半にコータンに駐留していた唐の鎮守軍やその麾下の軍事機関が発した文書」であることを同定したもので官文書の研究をする者には技術面で学ぶところが多い内容。

拝受 敦煌莫高窟における初唐から盛唐への過渡期の一様相2011/06/27 17:25

菊池淑子、敦煌莫高窟における初唐から盛唐への過渡期の一様相、『成城大学文芸学部紀要・成城文芸』第174号、2001年3月
菊池淑子、石窟寺院の洞窟を芸術作品として解釈する試み-敦煌莫高窟第217窟の享受の歴史、『高梨学術奨励基金年報(平成20年度研究成果報告概要)』、2009年。

菊池さんからいただいた。ありがとうございました。前者は文様の時代区分が必ずしも断代的に整理できるわけでなく過渡期の様相が存在すること、後者は第217窟の調査によって供養具の様式を確認、また、これまで言及されていないウイグル語の銘文などの発見から、従来説どおり、この窟が13-14世紀に巡礼の対象となっていたことなどを再確認する。

新収 『文物』、『西域研究』2011/06/24 19:27

『文物』第2011-1号(総第656期)、文物出版社、2011年。
 韓国河、東漢北魏陵寝制度特徴和地位的検討

『文物』第2011-2号(総第657期)、文物出版社、2011年。
 胡明曌、有関玄武門事変和中外関係的新史料-唐張弼墓誌研究
 甘粛省文物考古研究所、甘粛玉門金鶏梁十六国墓葬発掘簡報
 王策・呉葒、玉門金鶏梁出土的木牘和封検

『文物』第2011-4号(総第659期)、文物出版社、2011年。
 安徽省文物考古研究所、安徽当涂青山六朝墓発掘簡報
 韋正、試談酒泉丁家閘5号墓壁画的時代
 王元林、前涼道符考釈
 王春波、山西安沢県郎寨唐代磚塔
 梁永照、唐劉氏墓誌考
 朱磊、談漢代解注瓶上的北斗与鬼宿

『西域研究』第2011-2号(総第82期)、新疆社会科学院、2011年。
 畢波、隋代大興城的西域胡人及其聚居区的形成
 李翎、“八天神”図像之誤読-関于丹丹烏里克壁画残片的釈読

 文物、2011-2:玉門の墓葬は趙氏家族墓とされ、いずれも文字の入った封検、衣物疏断簡、木牘、磚のほか、あざやかな織物が出土している。木棺蓋には伏羲女媧像があったとされるが本号に写真や分析はない。また何カ所かに紀年があることから十六国墓とされる。
 文物、2011-4:韋正論文は従来、五胡十六国時代後期の墓葬と比定されてきた丁家閘5号墓の年代比定に誤りがある可能性を考古学的な観点から論じる。周辺の高台、酒泉、敦煌周辺墓との比較などをとおし、十六国墓ではなく魏晋墓の可能性があるとみる。紀年のない被葬者無名墓のむずかしいところだが、資料を扱う前提として年代比定にはとくに慎重さを期さねばならない。ただ園田論文への批判は理解できるとしても、同様に陶器から墓葬の編年をおこなった白石氏の論考が参照されていない。(http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/04/16/1411553)。安徽六朝墓は被葬者不明なのが残念だが多数の装飾品が出土している。山西唐代磚塔の建立年代は最も古いと思われる功徳碑碣に書かれた地名から618~758年と推定されている。いまだにこういうものが発見されるのは驚きである。被盗掘の地宮から開元通宝が数枚発見されたという。以上のようにこの号は南北朝隋唐期を研究する者には読みどころ満載である。
 西域研究、2011-2:このほかに乜小紅、張可輝による敦煌吐魯番文書の契約文書に関する論考もある。

 いつもより少し細かくメモをとってみました。
 当時の、もしくは後世の官僚のための記録でもある正史編纂物の論理や官僚の回想に依拠するばかりでなく、発掘報告にあるような個々の新出資料をも史料化し、正史編纂物をそうした史料の一つとして相対化していくことが、歴史叙述を豊かにしていくのではないかとあらためて考えた次第。

拝受 『西北出土文献研究』2010年度特刊2011/06/22 17:22

『西北出土文献研究』2010年度特刊、2011年4月
 市来弘志、蘭州・高台・民楽調査日誌
 北村永、甘粛省高台県駱駝城苦水口1号墓の基礎的整理
 三崎良章、高台2001GLM1の記号的図像と補助文様について
 内田宏美、甘粛高台県許三湾墓葬群出土“塢堡”形木製品について
 荻美津夫、河西地域の磚画・壁画にみられる魏晋南北朝時代の楽器
 關尾史郎、高台研究の成果と意義

『隴右文博』2009-2010年合訂本、甘粛省博物館。

 ともに科研代表の関尾先生からいただいた。ありがとうございました。前者は高台県出土の資料の基礎的な整理を中心とした論考が並ぶ。論評できる立場にないので細かなコメントは避けるが、扱いにくそうな資料が多く、収録された論考は論点や結論に苦心している様子がうかがえる。どちらかといえば考古・漢代的要素からの分析を得手とする人には可能性のある題材があるかもしれないが、私のような北朝隋唐系(最近は古写本・古典籍)の研究者から見ると異世界であり、厳しい資料環境である。
 後者は重複した分冊を恵与いただいたようである。西夏関係の出土品の報告が多い。

拝受 バーミヤン仏教石窟の建築構造およびその意匠と技法 ほか2011/06/02 18:04

東京文化財研究所文化遺産国際協力センター/奈良文化財研究所/アフガニスタン情報文化省(山内和也責任編集・鈴木環補佐)『バーミヤン仏教石窟の建築構造およびその意匠と技法』(アフガニスタン文化遺産調査資料集第5巻)、東京文化財研究所文化遺産国際協力センター、2011年3月。

東京文化財研究所文化遺産国際協力センター/奈良文化財研究所/アフガニスタン情報文化省(山内和也責任編集・山藤正敏補佐)『バーミヤン遺跡保存事業概報 2009・2010年度』(アフガニスタン文化遺産調査資料集第6巻)、東京文化財研究所文化遺産国際協力センター、2011年3月。

前者はカラー写真がふんだんにもちいられており、バーミヤン仏教石窟の全体が把握できる。とくに「建築構造およびその意匠と技法」に焦点があてられている。後者は写真は白黒。遺物は細片が多い。ともに考古学的発掘報告となっている。

新収 敦煌吐魯番学論稿 他2011/05/16 17:52

柴剣虹(著)『敦煌吐魯番学論稿』、淅江教育出版社、2000年5月。
方広錩(著)『方広錩敦煌遺書散論』、上海古籍出版社、2010年2月。

 これも昨年度購入したうちの2冊。前者は以前購入したつもりが手元にみあたらないので買い漏らしていたのだと思う。文学的内容の文献を主体に扱う。

 後者は仏教文献を主体にあつかうが、敦煌文献全体に関わる論考が少なくない。方広錩氏は敦煌文献については廃棄説をとる研究者であるが、これまで提示していた論は後の研究者に批判されていた点が少なくなかった。本書にはそれを改稿したものがふくまれる。未精読。

まだまだいただいたものがたくさんあるが、その前に購入記録。
もちろん購入してずいぶん時間がたったのに記録してないものもまだまだあるのだが。

新収 Médecine, religion et société dans la Chine médiévale2011/05/13 20:30

Catherine Despeux / Isabelle Ang (ed.)
"Médecine, religion et société dans la Chine médiévale : Étude de manuscrits chinois de Dunhuang et de Turfan"
,Collège de France, Institut des Hautes Études Chinoises,Paris, 2010. (3 tomes sous étui, 1386 pages)

 実際は「新収」ではなく、半年以上前に購入し、今日まで紹介しそびれてきた研究書である。
 邦題にすると「中国中世における医術と宗教と社会-敦煌吐魯番漢文文書の研究」となる。全3分冊、総ページ数1381ページという巨冊。
 第1分冊と第2分冊は論文篇となっており、合計14本(執筆者9名)の論文を載せ、第3分冊は各種索引、コンコーダンス、論文目録になっている。
 これまでも敦煌占術文献であればM.Kalinowski氏の大著があり(追記:どうも本書はタイトルや執筆者からみてそれと一連のシリーズに属すとみるべきようだ)、敦煌医薬文献であれば、V. Lo & C.Cullen両先生の編著があった。しかもともに21世紀になってからの刊行であったから、こんなに短期間にこれほどの大著が出るとは予想してなかったので驚いた。今後、敦煌吐魯番の医術文献や占術文献を扱う際には避けて通れない内容と精度をもっている。

 たしか赤木崇敏さんがご自身が購入前に紹介してくださって、私は即ネットで購入。家計が苦しいのだが私費購入した。目次をみていくつかの論文をひろい読みしただけで大変な成果であることはすぐにわかった。解題されている文献が多い。さっと紹介するにはあまりにボリュームがあり、いまだに細部にまでは眼が通せていない。とりあえず新しい論文を書く際には先行研究を見逃さないよう本書をさっとみておくことにしている。
 本書刊行の前後、なぜか英語版Wikipediaの中国本草関連の記載がずいぶん充実してきていた。なぜだろうと思っていたのだが、こうした分野に関心をもって研究が進めている先生方が欧米言語圏にいたということと無関係ではなかったのかもしれない。

 特に執筆者に知人がいるわけではないが(その後、陳明先生にはお会いする機会があったが)、拙稿も僅かながら引用、参照いただいているのは光栄である。引用いただいた論文については後でかなり修正をくわえた。新稿もあるので、いつかは執筆者に送らせていただきたいと考えている。
 論文目次を邦訳して載せておきたいが、とりあえず以下のAFECのサイトから執筆者名と肩書きをコピーさせていただいた。
http://www.afec-etudeschinoises.com/Medecine-religion-et-societe-dans?lang=fr

Alain Arrault (École française d’Extrême-Orient)
Chen Ming (Université de Pékin)
Catherine Despeux (Institut National des Langues et Civilisations Orientales)
Ute Engelhardt (Université de Munich)
Fang Ling (Centre National de la Recherche scientifique)
Donald Harper (Université de Chicago)
Elisabeth Hsu (Université d’Oxford)
Vivienne Lo (Sir Wellcome Institute de Londres)
Éric Trombert (Centre National de la Recherche Scientifique).