拝受 遣隋使がみた風景―東アジアからの新視点―2012/02/14 00:06

氣賀澤保規(編)『遣隋使がみた風景―東アジアからの新視点―』、八木書店 2012年2月)

氣賀澤先生よりいただいた。ありがとうございました。

八木書店の紹介ページ(目次あり)
http://www.books-yagi.co.jp/pub/cgi-bin/newbooks.cgi?cmd=d&kn=20&ks=978-4-8406-2035-2


執筆者:氣賀澤保規、金子修一、田中俊明、吉村武彦、川本芳昭、林部 均、河内春人、鐘江宏之、池田 温

2007年10月6日に明治大学にて開催された遣隋使1400周年記念学術シンポジウムをベースにその後に加えた論考などから構成される。

近日、明治大学で行われる「新発見百済人祢氏(でいし)墓誌」のイベント
http://www.toho-shoten.co.jp/toho/saiji12-011.html

近日中に関東圏でおこなわれる魏晋南北朝隋唐関連の公開イベント(掲載数比較)

○湖南出土魏晋簡牘をめぐる諸問題(5サイト、内1件は主催者による)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%B9%96%E5%8D%97%E5%87%BA%E5%9C%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E7%B0%A1%E7%89%98%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E8%AB%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C

○出土資料からみた魏晋時代の河西(5サイト、内1件は主催者による)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%B9%96%E5%8D%97%E5%87%BA%E5%9C%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E7%B0%A1%E7%89%98%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E8%AB%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C#sclient=psy-ab&hl=ja&source=hp&q=%E5%87%BA%E5%9C%9F%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%B2%B3%E8%A5%BF&pbx=1&oq=%E5%87%BA%E5%9C%9F%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%B2%B3%E8%A5%BF&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=12&gs_upl=46722l46722l0l47457l1l1l0l0l0l0l76l76l1l1l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=ceb8db6bef53df27&biw=1280&bih=919

○新発見百済人「祢氏(でいし)墓誌」と7世紀東アジアと「日本」 (3サイト、内2件が主催者所属機関による。)【情報掲載サイト、さらに少なくとも2サイト追加:2/22追加】
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F(%E3%81%A7%E3%81%84%E3%81%97)%E5%A2%93%E8%AA%8C#sclient=psy-ab&hl=ja&source=hp&q=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F%E5%A2%93%E8%AA%8C&pbx=1&oq=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F%E5%A2%93%E8%AA%8C&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=3&gs_upl=107001l107001l0l107181l1l1l0l0l0l0l74l74l1l1l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=ceb8db6bef53df27&biw=1280&bih=919

拝受 唐代疾病・医療史初探2012/02/13 18:32

于賡哲(著)『唐代疾病・医療史初探』、中国社会科学出版社、2011年10月。

 于先生からいただいた。ありがとうございました。たまたま私の講義にでていた学生が于先生の元学生だった(日中近代史専攻の学生)ということで、彼をつうじて著書をいただくことになった。
 于先生には以前、武漢大でお会いしたことがあった。武漢大出身で、現在、陝西師範大におられる。
 本書は十三章構成。一言で言えば「中国中古疾病の社会史」とでも言うべき内容で、とくに唐代の病や薬材、その制度の「実態」に詳しく、敦煌文献なども使用しておられる。
 敦煌文献もいわゆる医薬文献を使用してというのではなく、宗教文献などをもちいて、その時代の人々がどのような疾病観をもっていたかという視点から切り込まれるなど、史料の使い方が巧みである。結果として私のように文献学的色合いでなく社会史的色合いの強い内容となっている。ご自身もお書きになっているように笵家偉先生の志向に近い感じをうけた。とても読み応えのある本なので、まだ通読できていない。ここでは紹介にとどめる。

http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/07/26/5250382

拝受 世界史教科書掲載の霊芝雲形吐魯番文書の深層2012/02/13 01:29

片山章雄、世界史教科書掲載の霊芝雲形吐魯番文書の深層、『東海大学紀要・文学部』第95輯、2011年9月。

片山先生からいただいた。ありがとうございました。片山先生がここ数年取り組まれている龍谷大学蔵吐魯番文書(大谷文書)の分析。まさに「深層」または「重層」性をときあかす内容となっている。個人的にはこの史料については先生が提示された以外の解法はないと思うので、別の史料のお話も是非うかがいたい。

新収 『図書』2012年2月号(百済人祢軍墓誌の「日本」 )2012/02/07 17:32

『図書』2012年2月号、岩波書店。

 東野治之、百済人祢軍墓誌の「日本」

唐の百済人将軍祢軍墓誌に「日本」の2文字があって、確認できる最古の「日本」国号ではないかと話題になっている。東野論文ではその文脈・対句表現等から「日本」は倭国をさすのではなく「日の本」を意味し、朝鮮半島諸国をさす可能性さえある表現で、むしろ当時「日本」国号が確立していない可能性があると示唆する。

昨日、これに関するイベントがあるというお知らせを某先生より頂戴した。積極的にイベント情報を流しているサイトがネット上にはいくらもあるから、この個人的読書記録で紹介するにはあたらないが、「百済人祢氏」とか「百済人祢軍」、または「禰軍墓誌」などのキーワードでググるとそのほか情報や推論がぞろぞろとでてくる。たしかに注目されている。

ネット上では、nagaichiさんという方が運営されている「枕流亭のブログ」で墓誌拓本写真がアップされているのを確認できる。
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20120107/p1

唐代墓誌、「日本」、朝日新聞、シンポ。井真成墓誌の時に似た現象がおきているようにもみえる。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/10/25/

新収 律令制研究入門 他2012/02/06 20:06

大津透(編)『律令制研究入門』、名著刊行会、2011年12月。
黄正建(主編)『『天聖令』与唐宋制度研究』、中国社会科学出版社、2011年3月。

前者概要
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4839003696.html

後者概要
http://www.frelax.com/cgilocal/getitem.cgi?db=book&ty=id&id=TSLY398146

長大な研究史をベースにするも『天聖令』の公開によってあらたなスタートがきられたといえる東アジアの律令制研究に関する論文集。ともにかなりこなれたかたちで整理されておりこの5年ほどの研究史におけるメルクマールといってよい存在。今後、唐宋史、日本古代史を理解する上で避けて通れない業績である。

 ただ、この成果をみると、中国では唐宋史および法制史の研究者で研究が進められており、日本では日本古代史研究者の主導で精力的に研究がすすめられている様子がうかがえる。これから日本の東洋史研究者の積極的な反応も期待されるところである。

『新史料・新観点・新視角 天聖令論集』
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/02/28/5711670

http://iwamoto.asablo.jp/blog/2008/12/26/4028239
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2006/11/27/971254

新収 中国歴史文物2012/02/05 15:57

『中国歴史文物』総第84期~第88期、中国国家博物館、2010年。

2010年第1期~第5期分5冊より。例によって関心のある論文、記事のみ。

第84期
 王義康、薩珊銀幤東輸与唐代突厥内附諸族
第85期
 尚磊明、唐代韋孝謇墓誌及墓券釈補
第86期
 葛承雍、北朝隋唐引牛駕車胡俑写実現象
第88期
 蘇奎、漢代導引俑与導引術
 陳涛、日本杏雨書屋蔵唐代宮廷写経略説
 趙蘭香、北魏「元天穆墓誌」考釈
 章紅梅、「楊機墓誌」釈文校正
 王連龍、新見北斉「高渙墓誌」考略

陳濤論文は羽006,羽007,羽009,羽012,羽045,羽046を扱う。

そのほか、以下のサイトで全目次を確認できる。(後一則をクリックすれば、2期以降6期まで確認できる)
http://www.mzb.com.cn/html/report/269313-2.htm

さて講義も一通り終わったし、机まわりを整理せねば。

新収 『東方学』第123号2012/02/05 14:13

『東方学』第123号、2012年1月

論文8点、学会情報2点、座談会、追悼文などが載る。
個人的に関心があったのは以下のもの。

三浦國雄、『朱子語類』の読まれ方―新発田藩の一儒者の書き入れをめぐって
新見まどか、唐代後半期における「華北東部藩鎮連合体」
伊藤一馬、南宋成立期の中央政府と陝西地域―「宋西北辺境軍政文書」所見の赦書をめぐって

高田時雄、ロシア科学アカデミー東洋写本研究所と『東洋の文献遺産』誌など
金子修一、中国留学と二つの学会

学問の思い出―池田温先生を囲んで(座談会)

三浦論文は新発田藩の典籍・人物を扱う。新発田藩はとくに藩版などの江戸の出版や教育に関する研究者のほか、宋明清期の思想および書誌学研究者にとって魅力ある題材が非常に豊富なのだが、資料散逸の度合いがひどく、全体像がまるでつかめない。新発田市立図書館に行ってもアレ?とおもうわけである。そういうわけで以前いくつか論文を書き、その蒐集散逸過程を整理中である。
伊藤論文はロシア蔵コズロフ将来文書の実見調査を踏まえた内容。
敦煌吐魯番学の方面からも読み応えのある号だった。池田温先生の主要著作目録が付されている。

新収 『史滴』第33号2012/01/31 00:32

『史滴』第33号、2011年12月。

紹介していないものがたくさんあるのだが、到着したばかりのものを。

小特集に6点、論説に3点、翻訳に2点、訳注が1点、そのほか藤家禮之助先生と佐藤次高先生への追悼文などが載る。

自分の興味の範囲にしぼると
論説に
 小幡みちる、『要修科儀戒律抄』にみえる書儀について
 林美希、唐・左右龍武軍の盛衰ー唐元功臣とその後の禁軍
翻訳に
 王明珂(柿沼陽平訳)中国漢代の羌(四)
訳注は
 ソグド人漢文墓誌ゼミナール、ソグド人漢文墓誌訳注(8)太原出土「虞弘墓誌」(隋・開皇十二年)

となっている。ソグド人漢文墓誌訳注は相変わらず精読レベルが高いものになっている。
小幡論文が敦煌文献に、ソグド人漢人墓誌ゼミナールが新出吐魯番文献に言及する。

新収 『敦煌学輯刊』2010年第4期2011/11/25 20:39

『敦煌学輯刊』2010年第4期(70期)、2010年12月

劉満、隋煬帝西巡有関地名路線考
杜斗城・孔令梅、簡論十六国北朝時期的大族与仏教
趙貞、P.t.1045『鳥鳴占』的来源及其影響
金少華、跋日本杏雨書屋蔵敦煌本『算経』残巻
陳于柱・張福慧、敦煌具注暦日見載“本命元神”考辨
魏静、敦煌護宅文献中符籙問題小考
姚美玲、敦煌写本張中景『五臓論』考辨
王杏林、関于俄蔵敦煌文献Dx.2683、Dx.11074残片的定名
徐明英・熊紅菊、俄蔵f242敦煌写本『文選注』的避諱与年代
王冀青、関于敦煌莫高窟“蔵経洞壁画問題”
余欣、敦煌仏寺所蔵珍宝与密教宝物供養観念
周常林、羅振玉与学部蔵敦煌文献
他7点を載せる。

1年遅れの紹介は続く。現在、メモを書いているところ。
 趙論文は敦煌が吐蕃に占領されていた時期の『鳥鳴占』の由来を漢文の鳥占文書や曹氏帰義軍期に用いられた烏形押との関係に探る。敦煌の日常生活における鳥やカラス観、また異なる言語文化間の影響が分析されている。
 金論文は敦煌秘笈、羽37R「算経」を主題にしたもの。S.19とDx03903が綴合、羽37Rとともに同じ写本の一部をなすとみる。またP.3349とS.5859が綴合することを述べる。そしてこれら2種は同じ写本の一部か、底本を同じくする写本であることを指摘する。現在は英・仏・露・日に散在している断巻がもとはひとつである可能性があることを指摘したことになる。
 王杏林論文はDx.2683、Dx.11074を『鍼灸甲乙経』(陰陽大論、正邪襲内生夢)の一部であったとする。
 王冀青、余欣論文は敦煌文献とはなにかを考えることを前提に、論が展開されている。

新収 中国義士伝 ほか2011/11/19 00:17

冨谷至(著)『中国義士伝-節義に殉ず』(中公新書)、中央公論社、2011年10月。
宮川尚志(著)『諸葛孔明-「三国志」とその時代』(講談社学術文庫)、講談社、2011年10月。
渡邉義浩(著)『関羽-神になった「三国志」の英雄』(筑摩選書)、筑摩書房、2011年10月。

 中国義士伝がとりあげるのは漢の蘇武、唐の顔真卿、南宋の文天祥。諸葛孔明は何度か改訂刊行されているもの。いずれもこれから読むつもりだが時間がとれるだろうか。
 中国史に関心を持つきっかけは様々であろうが、興味深い人物伝を読んで、という人は少なくないように思われる。