拝受 城と隠物の戦国誌2009/12/15 23:57

藤木久志(著)『城と隠物の戦国誌』朝日新聞出版、2009年12月。

藤木先生からいただいた。ありがとうございました。

 戦乱にまきこまれた人々が息せききって城に駆け込む様子や穴蔵で息をおしころして外の様子をうかがう姿がよみがえってくるようなリアリティを感じた。

 いつ戦争にまきこまれるかわからないひとびとは日々をどのようにおくり、非常時にはどう行動するのか、世界を広く見渡しながらも、実地調査にそくして緻密に展開される叙述は絶妙。

 著作物というのはある意味、料理に似ているのだろう。ありあわせで作ってしまうことも、流れ作業にして工場生産もできるにはできる。ただ、つくったものに思索の跡がみえなければ、人をひきつける魅力もない。

 私が高校生でこの本を読んだなら、日本中世史を専攻できる大学を選んだことはたしかである。