拝受 東方学報 京都 第85冊2011/01/12 18:49

『東方学報 京都』 第85冊、京都大学人文科学研究所、2010年3月。

創立80周年記念号で28本の論文が載る。
 現段階で自分が関心ある論文だけをあげてみる。

藤井律之、満と解-晋南朝人事制度の再検討に向けて
向井佑介、北魏平城時代における墓制の変容
古勝隆一、『隋書』經籍志史部と『史通』雑述編
麥谷邦夫、呉筠事跡考
安藤房枝、雲崗第六窟の図像構成について-仏伝図像に焦点をあてて
石川禎浩、眠れる獅子(睡獅)と梁啓超
稲葉穣、泥孰攷

南北朝隋唐時代に関するもの以外の「睡獅」は謎解きのような構成にひきこまれた。「泥孰」は音韻的に近いNezakという称号に関する同定を論じる。ササン朝と西突厥の動向に深く関わる内容。

新収 筆墨精神-中国書画の世界2011/01/12 19:16

『筆墨精神-中国書画の世界』京都国立博物館、2011年。

現在、京都国立博物館で開かれている特別展覧会の図録。
展示の中心になっている上野コレクションは内藤湖南の橋渡しのもと、羅振玉から譲渡されたものが含まれており、コレクションとしても体系性をもっているということである。

見たかったのは「典籍の世界-テキストを写す」の部分。
一見して晋代から北朝、または唐写本とわかるものが数点あり壮観。
 書道博物館の『三国志』呉志第十二残巻と接続する上野コレクション本『三国志』呉志第十二残巻の二つがあわせて掲載されている。解説によれば出所は同じ。以前、某論文で見たことのある名前がある。なるほど。

新収 大夏遺珍2011/01/13 21:16

山西博物館・寧夏博物館(編)『大夏遺珍-西夏文物精品展』、山西出版集団・山西人民出版社、2010年9月。

2010年秋頃に山西省博物館で開催されていたらしい展覧会の図録。
 表紙の写真をあげたがいただきものではない。
 表紙には微妙なグラデーションがかかっており「大夏遺珍」の横に(同様の意味と思われる)西夏文字が併記されるが、スキャナでうまくとれていない。それくらい実物は表紙も中身もきれいな図録。
 ロシア蔵の「敦煌文献」には実は西夏の文献が混在してしまっているということなので、西夏文書についても写真を見ておこうと購入。

簡単な西夏史や文物の概説のほか、文献類、工芸類、仏教美術類、建築類にわけて精細な写真が多数掲載される。

新収 絲綢之路 大西北遺珍2011/01/26 21:35

『絲綢之路 大西北遺珍』文物出版社、2010年8月。

西北五省・自治区(陝西、甘粛、寧夏回族、青海、新疆維吾爾)の23箇所の博物館の収蔵品から選んだ「シルクロード」関連の文物の写真を収録した図録。235点の文物が鮮明な写真で掲載、紹介されている。

 特に中央アジア、西アジアの「香り漂う」文物が多く、北朝から唐代におけるウエスタンインパクト(胡化)を直接的に感じることができる。なお文物のなかには日本で展示されたことのあるものもあり、すでに先行研究のあるものも少なくない。
 甘粛蔵敦煌文献や碑刻類の写真もふくまれている。

新収 洛陽古代銘刻文献研究 ほか2011/01/26 21:57

趙振華(著)『洛陽古代銘刻文献研究』、三秦出版社、2009年12月。

石刻史料を使う研究者の間で注目されている一冊。
 最近、この分野のブログが妙にたくさんあるのに、あまり紹介されていなかったような気がするのは気のせいだろうか。むしろ重要すぎると紹介されないということもあるのかもしれない。やはりネットだけでなく、書店などでじっくり本を見て情報収集しないと新しい情報は得られないわけである。

 注目されている理由はいくつかあるが、全八編にわけられたうち、唐代墓誌は「官吏平民編」「民族異域編」「宗教階級編」の三編で構成されており、これまでの唐代史の描き方を詳細に、またはダイナミックにとらえなおす手がかりとなる可能性のある新出墓誌がいくつか含まれているところがポイントか。 「民族異域編」からはユーラシア大陸の一帯感さえ感じられる。

陳忠凱(他編)『西安碑林博物館蔵碑刻総目提要』、線装書局、2006年5月。

いろいろあって記録を取る時間がないままいたら、購入した書籍が山積み。雪崩がおきそうだ。