新収 新疆文物 ほか2008/12/26 18:23

新疆維吾爾自治区文物考古研究所、『新疆文物』、2008第1-2期(総第89-90期)。

栄新江、再談絲綢之路上宗教的混同形態ー于闐壁画的新探索
李永平、甘粛靖遠出土的西式神人紋鎏金銀盆的几個問題

 李永平論文は私がかつてあつかった問題と重なる。もちろん、拙稿は参照されない。
 近年、英語圏でも中国語圏でも論文はネットで全文もしくはキーワード検索できたりするようになり、世界はせばまりつつある。一方、日本ではタイトルからまれにPDFにたどりつけるといったところだろう。ある論文を書く際に、なにがなんでも先行研究を集めて新しい価値に言及するというのは地方ではかなり困難である。
 分野が分野だけに中国語または英語での発表がいかに重要か実感させられる。

新収 帝王略論2008/12/26 19:01

虞世南(撰)、陳虎(訳注)『帝王略論』中華書局、2008年9月。

敦煌文献に含まれる『帝王略論』の訳注。
 前言で瞿林東、黄永武などに言及するものの、これに言及した尾崎康論文や東洋文庫本に関する言及がない。研究書としては物足りない感じは否めないが、一般書としてはなかなか得難い内容だと思われる。
 敦煌文献は敦煌文献研究の脈絡のなかで、また東洋文庫本は日本の書籍史のなかで論じて、初めて資料が活きるものではないかとおもう。

新収 五胡十六国論著索引2008/12/26 19:21

劉建中(編)『五胡十六国論著索引』上・下、黄山書社、2008年8月。

五胡十六国時代に関係する論文や史料を余すところなく掲載しようという意気込みを感じる分厚い二冊組。使いやすいとは言い難いが、ともかく五胡諸民族に関係することを書く際にはざっとみておくとよさそうである。
およその概要は各書店ページでどうぞ

東方書店
http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=311521&bookType=ch

亜東書店
http://www.ato-shoten.co.jp/blog/2008/11/10213995.html

書虫
http://www.frelax.com/cgilocal/getitem.cgi?db=book&ty=id&id=WHSL275688

拙稿 唐『新修本草』編纂と土貢2008/12/26 19:38

岩本篤志、唐『新修本草』編纂と「土貢」-中国国家図書館蔵断片考,2008年9月,東洋学報,第90巻第2号,113~143頁.

 敦煌本『新修本草』序例と天聖医疾令の分析から、「右監門長史」蘇敬が本草書編纂の中心となった意味とそれに関わる唐朝のシステムを論じたものです。 

 あまりの多忙さにただでさえ低い処理能力がおいつかず、是非読んでいただきたい方々にさえ郵送できない状況がつづいてましたが、ようやく数人の方々に発送することができました。ご意見いただければ幸いです。まだまだお渡ししなくてはならない人がいますが来年早々にも。

 なお、今年は身内に不幸があったため、来年の新年の挨拶は控えさせていただきます。
 まだ購入した本が書ききれてないのですが、たぶんこのエントリが今年の最後でしょう。今日は悪天候で、本当に寒い上に眩暈がしてきました。しばし、温暖な故郷にもどり、休むとします。