拝受 中世の巨大地震2009/01/07 18:20

矢田俊文(著)『中世の巨大地震』(歴史文化ライブラリー)、吉川弘文館、2009年1月。
http://www.amazon.co.jp/dp/4642056645/

 矢田先生からいただいた。ありがとうございました。新潟のほか、中世の京都・伊勢・駿河・遠江、紀伊が中心にあつかわれている。この30年以内に大地震が起きる可能性がきわめて高いとされる、「東海・南海」地域がほぼ重なる。

 私は歴史学というのは自分の日常生活の問いからはじまるものだと思っている。 今に大地震が来るぞとずっといわれて育ってきた自分にとって「地震」はまさにその類のテーマのひとつにみえる。
 この本には私が生まれ育った土地から数百メートル近辺の地震体験がとりあげられている。大地震を境に地形や地域社会がどのように変化したかその一端が非常に想像しやすい。
 たとえば、実家の近くの寺では海底から引き上げられたという伝承をもつ地蔵を本尊としている。こうした伝承をもつ神仏像は近くに2,3あるので、漁師町によくある話なんだろうが、不思議な話にはちがいないと思っていた。この本に示されている大地震で水没した寺院の存在を知り、ようやくあることに気づいた。
 その地蔵がひきあげられたのは、水没した寺院跡の海上で漁網にかかったからであった。地震から僅か2年後の話である。それが当時の人に不思議であったはずはなく、その地蔵には大地震後の人々のさまざまな思いが刻まれていたのではないかと。
なお、現在伝えられているその地蔵の由緒には地震との関わりを示す記録はないようである。
 
 これまで表紙写真は極力つかわずにきたが、著者からいただいたので宣伝をかねて掲載させていただいた。

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