落胆と慚愧 ― 2011/04/12 19:31
痛ましい震災と津波から1ヶ月が過ぎた。この間、私が住んでいる土地もよく揺れていたから、作業や校正をしながら、テレビをちらっと見ることはいつもより多かった。
ただともかく原発の事故後の過程には、おおいに落胆させられた。私は今に大地震が来ると言われ、しかも近くに原発があった土地に生まれた。また戦後には某事件で被爆した方が出た街でもあったから、こういう事故がありうること、しかもしばらく肝心な情報はでてこないかもしれないという悪夢の怖さは聞かされていたから、それが目の前の現実になったことに肝を冷やした。
数ヶ月前に現場できわめて重大な欠陥がある可能性を看過していたことが指摘されているが、初動ミスがくわわり、あとは時間が過ぎて、そのあとはいきあたりばったりの処置、ついで不的確な情報の流布と恐しいニュースは続いた。
その間、テレビに出ていたそれなりの立場の研究者達の解説はしばしば身内の弁護をしているように聞こえた。また、研究者は証明されていることしか言わない。わからないことはいわない。ともかく「専門的には」安全な仕組みである。または日常のこれこれと比較するとたいしたことはないのである。どうもそうしたいいまわしで危険性をはなから排除しているように感じた。専門家が「専門」を振りかざすとき、それはたいてい他者との会話が面倒か拒絶したいときである。また過度な危険性を感じている者に比喩で安心させるのはひとつの方法だが、全然危険性を知らない者に、はなから安心させるようなことばかりいうのは、だましていることになる。
結局、今日の情報で最初から放射性物質は当初の報告とは比較にならないほど大量に漏れていたことがあきらかになった。安心に決まっていると最初から決めてかかって安心なわけはないが、この数週間の情報はその種の安全神話に依拠した情報とそれにもとづく分析だったことになる。
これがこの国の科学の姿なのか。少なくともその一部には違いない。本当に落胆した。ともかく、これ以上危険なものがひろがらないことを祈りたい。
そしてこの事故が世界を揺るがす一大事になることを当初からわりと的確に推論し説明していたのは研究者の世界では立場の弱い人であったり、フリーの人だったりした。
悲しく、不愉快な一ヶ月だった。今日こそ再開しようと思います。
追記:文部科学省のサイトに情報が集約されていてとてもいい。http://www.mext.go.jp/
また文科省や保安院、各県公表のデータをグラフ化している個人サイトもかなりいい。http://atmc.jp/
情報が公表されていれば恐れることはないのである。
さらに追記(4/30):なんだか、まだまだ恐怖は続くらしい。誰がどのように判断したか根拠不明な基準より、具体的な根拠が示された意見のほうが信用できるのは当然であろう。どうしてこういう物事の決定プロセスになってしまうんだろうか。悲惨である。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html#more
ただともかく原発の事故後の過程には、おおいに落胆させられた。私は今に大地震が来ると言われ、しかも近くに原発があった土地に生まれた。また戦後には某事件で被爆した方が出た街でもあったから、こういう事故がありうること、しかもしばらく肝心な情報はでてこないかもしれないという悪夢の怖さは聞かされていたから、それが目の前の現実になったことに肝を冷やした。
数ヶ月前に現場できわめて重大な欠陥がある可能性を看過していたことが指摘されているが、初動ミスがくわわり、あとは時間が過ぎて、そのあとはいきあたりばったりの処置、ついで不的確な情報の流布と恐しいニュースは続いた。
その間、テレビに出ていたそれなりの立場の研究者達の解説はしばしば身内の弁護をしているように聞こえた。また、研究者は証明されていることしか言わない。わからないことはいわない。ともかく「専門的には」安全な仕組みである。または日常のこれこれと比較するとたいしたことはないのである。どうもそうしたいいまわしで危険性をはなから排除しているように感じた。専門家が「専門」を振りかざすとき、それはたいてい他者との会話が面倒か拒絶したいときである。また過度な危険性を感じている者に比喩で安心させるのはひとつの方法だが、全然危険性を知らない者に、はなから安心させるようなことばかりいうのは、だましていることになる。
結局、今日の情報で最初から放射性物質は当初の報告とは比較にならないほど大量に漏れていたことがあきらかになった。安心に決まっていると最初から決めてかかって安心なわけはないが、この数週間の情報はその種の安全神話に依拠した情報とそれにもとづく分析だったことになる。
これがこの国の科学の姿なのか。少なくともその一部には違いない。本当に落胆した。ともかく、これ以上危険なものがひろがらないことを祈りたい。
そしてこの事故が世界を揺るがす一大事になることを当初からわりと的確に推論し説明していたのは研究者の世界では立場の弱い人であったり、フリーの人だったりした。
悲しく、不愉快な一ヶ月だった。今日こそ再開しようと思います。
追記:文部科学省のサイトに情報が集約されていてとてもいい。http://www.mext.go.jp/
また文科省や保安院、各県公表のデータをグラフ化している個人サイトもかなりいい。http://atmc.jp/
情報が公表されていれば恐れることはないのである。
さらに追記(4/30):なんだか、まだまだ恐怖は続くらしい。誰がどのように判断したか根拠不明な基準より、具体的な根拠が示された意見のほうが信用できるのは当然であろう。どうしてこういう物事の決定プロセスになってしまうんだろうか。悲惨である。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html#more