新収 Médecine, religion et société dans la Chine médiévale2011/05/13 20:30

Catherine Despeux / Isabelle Ang (ed.)
"Médecine, religion et société dans la Chine médiévale : Étude de manuscrits chinois de Dunhuang et de Turfan"
,Collège de France, Institut des Hautes Études Chinoises,Paris, 2010. (3 tomes sous étui, 1386 pages)

 実際は「新収」ではなく、半年以上前に購入し、今日まで紹介しそびれてきた研究書である。
 邦題にすると「中国中世における医術と宗教と社会-敦煌吐魯番漢文文書の研究」となる。全3分冊、総ページ数1381ページという巨冊。
 第1分冊と第2分冊は論文篇となっており、合計14本(執筆者9名)の論文を載せ、第3分冊は各種索引、コンコーダンス、論文目録になっている。
 これまでも敦煌占術文献であればM.Kalinowski氏の大著があり(追記:どうも本書はタイトルや執筆者からみてそれと一連のシリーズに属すとみるべきようだ)、敦煌医薬文献であれば、V. Lo & C.Cullen両先生の編著があった。しかもともに21世紀になってからの刊行であったから、こんなに短期間にこれほどの大著が出るとは予想してなかったので驚いた。今後、敦煌吐魯番の医術文献や占術文献を扱う際には避けて通れない内容と精度をもっている。

 たしか赤木崇敏さんがご自身が購入前に紹介してくださって、私は即ネットで購入。家計が苦しいのだが私費購入した。目次をみていくつかの論文をひろい読みしただけで大変な成果であることはすぐにわかった。解題されている文献が多い。さっと紹介するにはあまりにボリュームがあり、いまだに細部にまでは眼が通せていない。とりあえず新しい論文を書く際には先行研究を見逃さないよう本書をさっとみておくことにしている。
 本書刊行の前後、なぜか英語版Wikipediaの中国本草関連の記載がずいぶん充実してきていた。なぜだろうと思っていたのだが、こうした分野に関心をもって研究が進めている先生方が欧米言語圏にいたということと無関係ではなかったのかもしれない。

 特に執筆者に知人がいるわけではないが(その後、陳明先生にはお会いする機会があったが)、拙稿も僅かながら引用、参照いただいているのは光栄である。引用いただいた論文については後でかなり修正をくわえた。新稿もあるので、いつかは執筆者に送らせていただきたいと考えている。
 論文目次を邦訳して載せておきたいが、とりあえず以下のAFECのサイトから執筆者名と肩書きをコピーさせていただいた。
http://www.afec-etudeschinoises.com/Medecine-religion-et-societe-dans?lang=fr

Alain Arrault (École française d’Extrême-Orient)
Chen Ming (Université de Pékin)
Catherine Despeux (Institut National des Langues et Civilisations Orientales)
Ute Engelhardt (Université de Munich)
Fang Ling (Centre National de la Recherche scientifique)
Donald Harper (Université de Chicago)
Elisabeth Hsu (Université d’Oxford)
Vivienne Lo (Sir Wellcome Institute de Londres)
Éric Trombert (Centre National de la Recherche Scientifique).