新収 亦術亦俗-漢魏六朝風水信仰研究2011/11/16 00:30

張斉明(編)『亦術亦俗-漢魏六朝風水信仰研究』中国人民大学出版社、2011年5月。

数ヶ月前に購入。
 いくつかの作業や依頼原稿の準備をしているうちに情報を追加できないまま、ずいぶんと間があいてしまった。
 この間、ただ買っているだけで数頁さえも目を通していない書籍の山となってしまった。

新収 曹操高陵の発見とその意義2011/11/16 00:42

愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター(編)『曹操高陵の発見とその意義-三国志 魏の世界』汲古書院、2011年3月。

中国古代史研究の枠をこえて話題になっている曹操墓に関するシンポジウムの報告をまとめたもの。これも購入してからずいぶんと時間がたってしまった。
 講演の翻訳であり、専門書といってよい内容だが読みやすい。
 「あとがき」には、諸条件の組み合わせからかんがえて曹操墓であるとみて間違いないこと。また、三国期の死去年代がはっきりした人物の墓葬の発見によって、後漢末から三国期の墓葬の形態や出土遺物の整理や年代比定に得るところの大きい発見であったことが記されている。

新収 中国古代の貴族社会と文化 ほか2011/11/19 00:11

宇都木章(著)『中国古代の貴族社会と文化』(宇都木章著作集第1巻)、名著刊行会、2011年9月。

2007年に逝去された宇都木章先生の遺稿集。周~漢代に関する論文を収める。巻末に佐藤三千夫氏による解説があり、著者の関心のあり方の変化をおうことができるようになっている。おさめられている論文は1960年代から1980年代に発表されたものが主体のようである。

第一部 古代貴族社会
第二部 西周礼論
第三部 出土遺物から見た古代の中国

三部構成。論文としては11点をおさめる。

新収 中国義士伝 ほか2011/11/19 00:17

冨谷至(著)『中国義士伝-節義に殉ず』(中公新書)、中央公論社、2011年10月。
宮川尚志(著)『諸葛孔明-「三国志」とその時代』(講談社学術文庫)、講談社、2011年10月。
渡邉義浩(著)『関羽-神になった「三国志」の英雄』(筑摩選書)、筑摩書房、2011年10月。

 中国義士伝がとりあげるのは漢の蘇武、唐の顔真卿、南宋の文天祥。諸葛孔明は何度か改訂刊行されているもの。いずれもこれから読むつもりだが時間がとれるだろうか。
 中国史に関心を持つきっかけは様々であろうが、興味深い人物伝を読んで、という人は少なくないように思われる。

新収 イスラームの「英雄」サラディン-十字軍と戦った男2011/11/19 00:46

佐藤次高(著)『イスラームの「英雄」サラディン-十字軍と戦った男』(講談社学術文庫)講談社、2011年11月。

2011年4月に逝去された佐藤次高先生の著書の文庫版。
 私が(財)東洋文庫研究部に一時おいてもらうことになった際、佐藤先生が研究部長をつとめておられたので研究室に挨拶にうかがった。とはいえ研究分野的にほとんど接点がないこともあって、それからお話しする機会はきわめて少なかった。ところがその数年後、先生が早稲田大学に移られた後に偶然お会いした際に声をかけてくださった。先生には自分の印象はきわめてうすいであろうと思いこんでいたのだが、いろいろよく覚えておられたので、少々、意外ではあった。
 たしかそのときの話題が東洋文庫の移転についてだった。それもまもなく諸事情から移転話は立ち消えとなり、これまでの場所にあらためて立派な建物が建て替えられ、今年オープンに至った。建て替え後の建物には研究会の際に入ったが、ミュージアムオープン後には一度も訪れていない。今度、東洋文庫に行く前には、この文庫本を電車の中で通読してみようかと思っている。

新収 第63回正倉院展(図録)2011/11/19 02:57

奈良国立博物館(編)『第63回「正倉院展」目録』、2011年10月。

 毎秋開催される正倉院展。毎年、展示物が異なるので、いついっても大体、初めて実見するということになる。近くに住んでいれば何度でも行きたいのだが、自分は今年で3回目。
 今年の目玉は蘭奢待(黄熟香)、金銀鈿装唐太刀あたりであろうか。酔胡王面もおもしろい。
 正倉院遺物はそのものだけでなく、かつて作成された目録や記録が残されていて、由来がよくわかる。また日本古代史だけでなく東洋史の視点から見ても興味深いものが多いことはこれまでの研究史にもあきらかである。いくつかの公文書にも興味深いものがあった。あまりに忙しかったので心に余裕がなかったのだが観覧を促してくださった先生にあらためて感謝。

新収 葬儀と日本人 他2011/11/20 22:31

菊池章太(著)『葬儀と日本人-位牌の比較宗教史』(ちくま新書)、筑摩書房、2011年8月。
小林茂(著)『外邦図-帝国日本のアジア地図』(中公新書)、中央公論社、2011年7月。

いずれも刊行まもなく購入したものの積読状態になっていた。未だ精読していないが積んどくだけでは困るので本棚に収めたい。

 前者は新潟中越地震後の山古志における調査からはじまって、位牌とはなにかをめぐり、儒仏道の比較宗教史へと展開する。そもそも東アジアのことを学ぶ意義は何なのか、身近なことへとうまく接続されている。
 後者は戦争と植民地統治の道具であった「外邦図」の作成過程をたどる。その存在は戦前の日本の東洋史学に科せられていた役割を考える上でも興味深い。

新収 敦煌学輯刊 2010年第1期・第2期2011/11/21 19:07

『敦煌学輯刊』2010年第1期(67期)、2010年4月
『敦煌学輯刊』2010年第2期(68期)、2010年6月

興味深い論文ばかりなので、全論文の目次を入力しておけば他者には有益かもしれないが、それはCNKIで対応できるということで、自分が気になったテーマに絞ってざっと目を通す。興味対象はあとで変わるものだが。

2010年第1期
 張俑泉 、敦煌文献的写本特徴
 魏迎春・劉全波、敦煌写本類書S.7004『楼観宮闕篇』校注考釈
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画祥瑞図研究
 他15点が収録される。

2010年第2期
 劉満、唐九曲及其相関軍城鎮戌考
 恵怡安・曹紅・鄭炳林、唐玄奘西行取経瓜州停留寺院考
 李并成、百年来敦煌地理文献及歴史地理研究
 楊宝玉・呉麗娯、梁唐之際敦煌地方政権与中央関係研究-以帰義軍入貢活動為中心
 祁暁慶、唐代病坊研究綜述
 鄭怡南、河西高台県墓葬壁画娯楽図研究
 沙海真、敦煌本『類林』的分類特徴和意義
 他9点が収録される。

新収 敦煌学輯刊 2010年第3期2011/11/23 17:33

『敦煌学輯刊』2010年第3期(69期)、2010年9月

鄭炳林・曹紅、唐玄奘西行路線与瓜州伊吾道有関問題考察
李正宇、玄奘瓜州伊吾経行再考
陸離、関于敦煌文書中的“Lho bal”(蛮貊)与“南波”、“南山”
王祥偉、試論吐蕃政権対敦煌寺院経済的管制
李軍、晩唐帰義軍長史及司馬問題再探
崔世平、“刻毡為形”試釈-兼論突厥的祆神祭祀

劉永明、日本杏雨書屋蔵敦煌道教及相関文献研読札記
陳涛、日本杏雨書屋蔵唐代敦煌本『雑律疏』残巻略説-原李盛鐸旧蔵敦煌写本
吉田豊(著)山本孝子(訳)、有関新出的粟特文資料-新手書記写給父親的一封信:兼介紹日本西厳寺橘資料
利夫希茨(著)楊富学・趙天英(訳)亜洲博物館蔵摩尼教文献

 劉論文は敦煌秘笈・羽003R、羽072aV、羽038V、羽072b-1、羽072b-2、羽19R、羽15、羽44、羽040Rに言及する。羽072aV、羽038Vは拙稿で十分に分析できていなかった覇史佚文の背面であり、ここで示されたのは簡単な分析ではあったが、学ぶところがあった。また羽44は「百怪図」、羽040Rは『新修本草』序例で、それぞれ拙稿または私の口頭発表原稿もふまえて紹介されている。劉先生は昨年度、京都大学に滞在しておられた。
 陳論文は敦煌秘笈・羽20Rを中心とした分析。陳先生は昨年度、明治大学に短期滞在され、敦煌秘笈に関して調査をして帰国された気鋭の若手研究者。ただ、本稿で示される見解は岡野誠先生の発表に依拠するところがおおきく、新資料の紹介という域を出ていないように読んだ。コレクション全体に網を掛けようという気概は素晴らしいが、まずはある程度、得意分野、未開拓分野からじりじりと分析されたほうが創見があるのではないかと思う(私にも同じことはいえるという御方もおられるかもしれないが)。なお、陳涛さんからは、このほか執筆された論文をPDFでいただいているので追って紹介していきたい。大体、原載誌も入手したところであった。ともかく劉先生、陳先生に感謝。この分野だけに限っても、日に日に新出公開資料が増えている。こうした関連研究を拝読しながらさらに研鑽を深めることにしたい。
 吉田論文は「新出のソグド語資料についてー新米書記の父への手紙から:西厳寺資料の紹介を兼ねて-」、『京都大学文学部紀要』49、2010年にあたる内容となるようである。
 なお、以上の他、9点が掲載されている。

※本日は他人の論文校正・修正にほとんど時間を費やした。もちろん査読とかそういう名のある方がする作業ではなくゼミなどの一環でもない。自分の研究とも関係ない。ただ誰がやったともわかりにくくても必要な作業である。その次は共同出版関係のメール書きだった。こういうブログを書いていると研究時間がありそうにみえるだろうが、ほとんどの時間は自分の時間ではない。たぶんおおかたの人がそうなのだろうけど。
 天気はいよいよ、毎日のようにどんよりしているか嵐がふくかの日本海側の冬らしい様相を呈してきた。

新収 『敦煌学輯刊』2010年第4期2011/11/25 20:39

『敦煌学輯刊』2010年第4期(70期)、2010年12月

劉満、隋煬帝西巡有関地名路線考
杜斗城・孔令梅、簡論十六国北朝時期的大族与仏教
趙貞、P.t.1045『鳥鳴占』的来源及其影響
金少華、跋日本杏雨書屋蔵敦煌本『算経』残巻
陳于柱・張福慧、敦煌具注暦日見載“本命元神”考辨
魏静、敦煌護宅文献中符籙問題小考
姚美玲、敦煌写本張中景『五臓論』考辨
王杏林、関于俄蔵敦煌文献Dx.2683、Dx.11074残片的定名
徐明英・熊紅菊、俄蔵f242敦煌写本『文選注』的避諱与年代
王冀青、関于敦煌莫高窟“蔵経洞壁画問題”
余欣、敦煌仏寺所蔵珍宝与密教宝物供養観念
周常林、羅振玉与学部蔵敦煌文献
他7点を載せる。

1年遅れの紹介は続く。現在、メモを書いているところ。
 趙論文は敦煌が吐蕃に占領されていた時期の『鳥鳴占』の由来を漢文の鳥占文書や曹氏帰義軍期に用いられた烏形押との関係に探る。敦煌の日常生活における鳥やカラス観、また異なる言語文化間の影響が分析されている。
 金論文は敦煌秘笈、羽37R「算経」を主題にしたもの。S.19とDx03903が綴合、羽37Rとともに同じ写本の一部をなすとみる。またP.3349とS.5859が綴合することを述べる。そしてこれら2種は同じ写本の一部か、底本を同じくする写本であることを指摘する。現在は英・仏・露・日に散在している断巻がもとはひとつである可能性があることを指摘したことになる。
 王杏林論文はDx.2683、Dx.11074を『鍼灸甲乙経』(陰陽大論、正邪襲内生夢)の一部であったとする。
 王冀青、余欣論文は敦煌文献とはなにかを考えることを前提に、論が展開されている。