ただいま原稿執筆中2012/05/25 04:07

 引っ越し後、ようやく一週間単位のルーチンワークがこなせるようになりつつある。ただ、書籍のほとんどは書架に押し込んだり、書架に入らないものはなんとか歩けるスペースを確保して段ボールを積み上げたというだけで、なにか読もうとするだけで一仕事である。接続すればいいだけのスキャナさえ2,3日前に使えるようになったばかりだ。

 この間、いただいた抜き刷りや雑誌は相当な数になったが、昨年までに引き受けた原稿や仕事がほとんど終わっていない状態なので、いましばらくここの更新の頻度はおとさざるをえない。
 
 最近はTwitterやFacebookもあると国内外の方から提案やお誘いを何度かいただいているが、個人的にネタがじっくり煮込まれた論文や読み物が好みなので、論文より小さい単位でネタや紹介をこまぎれにさらしていくのがもはや性に合わない(そもそもそれに対応していたら研究時間が無くなる)。こうしたツールは多くのコミュニケーションをとおしてイベントを演出したり共感したり情報を共有したりということに重きをおくものであるわけだが、自分の仕事では生の資料そのものを扱っている人や論文をよく練っている人とほんの少しやりとりするだけで十分な示唆がえられるというのが実感である。得がたいのは情報よりも視角や視野だからである。ちなみにひっそりと着々と貯め込んで整理するのが私の仕事の基本なのでEvernoteやストレージ系のクラウドは個人的な情報蓄積ツールとして便利に使っている。
 そういうわけでこれからもよく練られた論文や著書を読んで、自分の無能をうらみつつも、次の仕事に活かしていければと思っている。

 追記:早速FBをつかっている先生などから再三お誘いがあった。すいません。ザッカーバーグなみなさん。仕組みはかなり前から知ってます。けどコミュニケーション方法がお仕着せで気色悪いんです。私は昔から名前もメールアドレスも表に出してますので直接ご連絡ください。連絡が面倒なら無視してくださって結構です。また私のブログは読まないことも可能です。そもそもこういうのは好き好きでいいんじゃないかと思いますが。
 
再追記:お誘いいただいた方々が気を悪くされるかもしれないが、なにが「お仕着せで気色悪い」のかを記しておくことにした。
 Facebookについての概要はwikipediaをご覧ください。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/Facebook
 私はFB(mixiも)を最初に見たときから下のリンク先のブログの記事のように「プライバシーの壁を下げて情報共有を推し進め」それを自社の利益に替えていると思いました。wikipediaに記された由来や実際の個人情報記入欄からもわかるようにアメリカの学園ものの臭いがする人間関係をフォーマットにして世界中を巻き込んだ腕前はたいしたものです。情報共有をスムーズにしたい利用者にとって革新的ツールだというのはそのとおりだとおもいます。
http://blogos.com/article/31272/

 ところで学術論文は読まれないと本来の価値がありません。けど毎年、部外者には信じられないほどの量の論文が生産されているわけで、自分もそれに携わる一人であるわけです。私はそれをある程度系統づけて紹介するのを目的のひとつとしているだけで、このブログには「プライバシーの壁を下げて情報共有を推し進め」る意図が全くありません。FBがそういうことに配慮したツールに変われば利用するかもしれませんが、方向性が真逆ですから難しいでしょう。

 プライバシーに関係することでは、以前から自分と他人が実際にどこで会ったかなど他人の「足跡」情報に関することは特に必要で許諾をいただいた後でも無い限り、ここに記録しないことにしています(逆にFBはこういうことを積極的に公開するための機能を持っています)。論文送るけど載せないでくれという方については記載しないことにしております。なぜ公刊されているものに対して私個人が立場をあきらかにしながら自由に感想を書くのを制限されるのかは理解できないのですが、その人の意思を尊重します。またコメント欄をオフにしているのはこのサイトが基本的に私個人の読書記録で「友人帳」としての情報価値を持たせて、それを他人に提供したり、そうして自分の活動をアピールするつもりが無いからです。FBはそういうブログの仕組みをもうまく取り込んでいるなと思いましたが、私にはいらないのです。そのオープンコミュニケーションな機能が。また私は友人の友人をネットによって知る必要はありませんし、それを知ったとしてなんらかの機会をえるつもりもありません。そういう情報が公開されているFBには大きな違和感を覚えます(職種を替えることでもあればつかうのかもしれません。攻撃的に使ってこそ有効なツールだとおもいます)。

 私が何者でなぜそのような論稿を読んで、コメントしたのか、その立ち位置と連絡先はこのブログの左フレームまたはリンク先にブログ立ち上げ当初から明記してあるとおりで、FBの実名主義もいらないお世話です。そもそもFBの場合、利用者個人の交友関係等の純度と価値の高い情報がFBに提供されることでFBにもたらされる商業利益でなりたっているわけですよね。実名のコミュニケーションだから安心だと利用者に宣伝しつつ、そのことで企業として利益を上げているわけです。

 私であればたとえ便利であっても自己責任で利用するだけであってGoogleの諸サービス同様、FBも人には勧めません。ただGoogleの検索がないと、この読書記録を読み返したり、そういう論文があるということに気づいてもらうのはかなり大変です。その辺りが自分が代価としての情報を支払って(提供して)もいいボーダーです。

文科省のように組織としてまた情報を一般にオープンにするツールとして使うと情報戦略ツールとしてかなり有効だとおもいます。FB参加者の個人情報収集もばっちりできますし。ソフトで「足跡」もとれますから企業には大変都合のいいツールです。
http://www.facebook.com/mextjapan

なお私に関してあの人検索スパイシーとか言うサイトに勝手に情報が集約されていますが、私は作成に関与していませんし、そういう集約を許可したこともありません。みるかぎりでは公開情報をもとにロボットか好事家の手によって情報が整理されている様子です。ソースが公開情報なのですから、とやかく言うこともできないと思っていますし、情報が誤っていてもこちらが実害を被らない限り(実害を受けた場合は法的措置をとりますが)修正を指摘するつもりもありません。

久々にくどい記事になりました。ようやく調子が戻りつつあるようです。まずは依頼原稿に専念します。

異動2012/04/28 18:15

 私事ですが、所属がかわりました。
 以前の所属校(新潟)で用いていたメールアドレスはしばらく後には使用できなくなります。ご了承ください。
 少々、環境の急激な変化についていけておらず、いただいたものへのお礼さえできておりませんが、このブログは続けていくつもりです。

更新遅延2012/04/03 00:31

2月後半あたりからいろいろといただいた抜き刷りなどがあるのだが、記録できないまま1ヶ月が過ぎた。ネット関係ではメールの返信が精一杯である。近日中になんとかリズム調整をしていきたい。

新刊 『五胡十六国覇史輯佚』刊行2012/03/14 23:15

五胡の会(編)『五胡十六国覇史輯佚』、燎原書店、2012年2月、B5 上製(314 頁) 定価 6,500 円+税、ISBN 978-4-89748-112-8

二年前に刊行した『五胡十六国覇史輯佚(稿)』に内外からいただいたご指摘や増補をくわえて、刊行されました。中国関係書籍を専門的に扱う書店(燎原書店、朋友書店、東方書店、六一書房、内山書店等)で販売されているほか、ジュンク堂などでも手にとってみることができるはずです。流通の都合上、一般書店の店頭に並ぶ可能性はほとんどありませんが、注文可能です。

燎原書店
http://www.ryogen.jp/
注文用紙
http://www.ryogen.jp/16kingdoms.pdf

内容紹介
 本書は、五胡十六国期の覇史の佚文(1940条余)を引用した典籍(45種)別に整理したものである。なお『鄴中記』など五胡十六国史研究に無関係でない典籍も採録した。また覇史佚文ごとに番号を付し、覇史解説、典籍解題、各種索引を作成することで、五胡十六国史やそれに関する典籍の理解を深めることが可能なように配慮した。
 なお本書が佚文蒐集の対象とした典籍は以下のとおりである。また索引として、覇史名索引、 五胡十六国君主名索引、元号索引、五胡十六国期元号西暦対照年表、湯球『十六国春秋輯補』引書索引を付す。

世説新語/水經注/敦煌秘笈/齊民要術/琱玉集/修文殿御覽/經典釋文/顔氏家訓/玉燭寶典/北堂書鈔/藝文類聚/辯正論/隋書/文選注/翰苑/廣弘明集/類林/天地瑞祥志/法苑珠林/肇論疏/史通/沙州圖經/初學記/開元占經/史記注/通典/元和姓纂/元和郡縣圖志/秘府略/白氏六帖事類集/獨異志/和名類聚抄/義楚六帖/太平廣記/太平御覽/太平寰宇記/事類賦/廣韻/通鑑考異/樂府詩集/祖庭事苑/廣川書跋/白孔六帖/ 類林雜説/説郛

五胡の会ブログ
http://gokos.blog.shinobi.jp/

ブログにもあるように
1994年より活動を行ってきた五胡の会は本書の刊行をもって会合による活動を停止し、本書のサポートおよび関連情報を交換するための現行構成員によるMLのみを存続させることになりました。

拝受 出土資料からみた魏晋南北朝の地域文化に関する初歩的研究2012/03/14 23:01

室山留美子『出土資料からみた魏晋南北朝の地域文化に関する初歩的研究』、2012年2月、科研費(C)(代表:中村圭爾)報告書。

室山さんからいただいた。ありがとうございました。しばらく海外出張、私事等々で記載が遅くなりました。

 魏晋南北朝時代における地域と地域文化の生成と発展を考古学的成果から検討し、そこに地域差や共通項があるか検証を試みたもの。
 研究報告「古代中国の地域文化-関中十六国墓、北魏墓と後漢・西晋の鎮墓獣を手がかりに」と研究資料「関中十六国墓データ」の構成からなる。

拝受 遣隋使がみた風景―東アジアからの新視点―2012/02/14 00:06

氣賀澤保規(編)『遣隋使がみた風景―東アジアからの新視点―』、八木書店 2012年2月)

氣賀澤先生よりいただいた。ありがとうございました。

八木書店の紹介ページ(目次あり)
http://www.books-yagi.co.jp/pub/cgi-bin/newbooks.cgi?cmd=d&kn=20&ks=978-4-8406-2035-2


執筆者:氣賀澤保規、金子修一、田中俊明、吉村武彦、川本芳昭、林部 均、河内春人、鐘江宏之、池田 温

2007年10月6日に明治大学にて開催された遣隋使1400周年記念学術シンポジウムをベースにその後に加えた論考などから構成される。

近日、明治大学で行われる「新発見百済人祢氏(でいし)墓誌」のイベント
http://www.toho-shoten.co.jp/toho/saiji12-011.html

近日中に関東圏でおこなわれる魏晋南北朝隋唐関連の公開イベント(掲載数比較)

○湖南出土魏晋簡牘をめぐる諸問題(5サイト、内1件は主催者による)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%B9%96%E5%8D%97%E5%87%BA%E5%9C%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E7%B0%A1%E7%89%98%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E8%AB%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C

○出土資料からみた魏晋時代の河西(5サイト、内1件は主催者による)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%B9%96%E5%8D%97%E5%87%BA%E5%9C%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E7%B0%A1%E7%89%98%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E8%AB%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C#sclient=psy-ab&hl=ja&source=hp&q=%E5%87%BA%E5%9C%9F%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%B2%B3%E8%A5%BF&pbx=1&oq=%E5%87%BA%E5%9C%9F%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E9%AD%8F%E6%99%8B%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%B2%B3%E8%A5%BF&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=12&gs_upl=46722l46722l0l47457l1l1l0l0l0l0l76l76l1l1l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=ceb8db6bef53df27&biw=1280&bih=919

○新発見百済人「祢氏(でいし)墓誌」と7世紀東アジアと「日本」 (3サイト、内2件が主催者所属機関による。)【情報掲載サイト、さらに少なくとも2サイト追加:2/22追加】
http://www.google.co.jp/search?sourceid=chrome&ie=UTF-8&q=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F(%E3%81%A7%E3%81%84%E3%81%97)%E5%A2%93%E8%AA%8C#sclient=psy-ab&hl=ja&source=hp&q=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F%E5%A2%93%E8%AA%8C&pbx=1&oq=%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E7%99%BE%E6%B8%88%E4%BA%BA%E7%A5%A2%E6%B0%8F%E5%A2%93%E8%AA%8C&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=3&gs_upl=107001l107001l0l107181l1l1l0l0l0l0l74l74l1l1l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=ceb8db6bef53df27&biw=1280&bih=919

拝受 なぜ和歌を詠むのか 菅江真澄の旅と地誌2012/02/13 21:17

錦仁(著)『なぜ和歌を詠むのか 菅江真澄の旅と地誌』、笠間書院、2011年3月。

錦先生からいただいた。ありがとうございました。タイトルからは国文学、副題からは民俗学的な感触を受けるが、中を拝見すると、次のような言葉がある。

「国文学も民俗学も歴史学もそれぞれに独自に存在するが、私たちを束縛するためにあるのではない」

ここからもわかるように国文学や民俗学だけでなく歴史学の研究者からみても興味深い視点がいくつもみられる。分野のやり方がどうのというのでなく対象に注ぐ視点の置き方の柔軟さにこだわっておられるように読んだ。また秋田藩および佐竹家に関わる資料的研究としてみても興味を引く箇所が多数ある。

笠間書院の本書紹介ページ(詳細な目次あり)
http://kasamashoin.jp/2011/01/post_1653.html

Ⅰ 新しい眼で真澄を捉える
Ⅱ 真澄の旅--なくてはならない和歌
Ⅲ なぜ地誌を書いたか--藩主とのかかわり
Ⅳ 地誌を生みだす和歌

拝受 唐代疾病・医療史初探2012/02/13 18:32

于賡哲(著)『唐代疾病・医療史初探』、中国社会科学出版社、2011年10月。

 于先生からいただいた。ありがとうございました。たまたま私の講義にでていた学生が于先生の元学生だった(日中近代史専攻の学生)ということで、彼をつうじて著書をいただくことになった。
 于先生には以前、武漢大でお会いしたことがあった。武漢大出身で、現在、陝西師範大におられる。
 本書は十三章構成。一言で言えば「中国中古疾病の社会史」とでも言うべき内容で、とくに唐代の病や薬材、その制度の「実態」に詳しく、敦煌文献なども使用しておられる。
 敦煌文献もいわゆる医薬文献を使用してというのではなく、宗教文献などをもちいて、その時代の人々がどのような疾病観をもっていたかという視点から切り込まれるなど、史料の使い方が巧みである。結果として私のように文献学的色合いでなく社会史的色合いの強い内容となっている。ご自身もお書きになっているように笵家偉先生の志向に近い感じをうけた。とても読み応えのある本なので、まだ通読できていない。ここでは紹介にとどめる。

http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/07/26/5250382

新収 新しい世界史へ ほか2012/02/13 02:48

羽田正(著)『新しい世界史へ-地球市民のための構想』(岩波新書)、岩波書店、2011年11月。
杉山正明(著)『遊牧民から見た世界史 増補版』(日経ビジネス文庫)、日本経済新聞出版社、2011年7月。

林俊雄(著)『スキタイと匈奴 遊牧の文明』(興亡の世界史02)、講談社、2007年6月
礪波護(著)『唐宋変革と官僚制』(中公文庫)、中央公論社、2011年12月。
飯島渉(著)『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』(中公新書)、中央公論社、2009年12月。

 いつか精読しようとおもって山積みになっていたものをリスト化しておく。
前二者は世界史を考える、東洋史を考えるうえで有効。杉山本は増補版ということであらためて購入。後三者はそれらと比すれば各論ではあるが、それぞれの分野の最新の成果がわかりやすくまとめられている。礪波先生の著書は以前、同文庫にはいった『唐の行政機構と官僚』と接続する内容でわかりやすく読めるように新稿がくわえられているが、本体は学術論文レベルの内容(卒論!も含まれる)。裏表紙に前著『唐の行政機構と官僚』への言及があるが、広告面にそれがないのは版切れになったのであろうか。

 ある中国人留学生が母国には文庫本というものがない、これいいですね、といってたが、彼がそういうのは価格もあろう。一方、自分は電車に乗らないとなかなか文庫本が精読できず、飛ばし読みをしがちである。どうやら電車によく乗る生活にあった形態なのだとおもう。
 明清期の考証モノや『唐鑑』や『郡斎読書志』の影印などまでそろった学術的すぎる台湾の人人文庫(新書サイズ)というのもあったが、その場合は省スペースで廉価、ということなのだろう。

拝受 世界史教科書掲載の霊芝雲形吐魯番文書の深層2012/02/13 01:29

片山章雄、世界史教科書掲載の霊芝雲形吐魯番文書の深層、『東海大学紀要・文学部』第95輯、2011年9月。

片山先生からいただいた。ありがとうございました。片山先生がここ数年取り組まれている龍谷大学蔵吐魯番文書(大谷文書)の分析。まさに「深層」または「重層」性をときあかす内容となっている。個人的にはこの史料については先生が提示された以外の解法はないと思うので、別の史料のお話も是非うかがいたい。