新収 江戸の温泉学 ― 2007/06/14 17:55
松田忠徳『江戸の温泉学』、新潮社、2007年5月。
江戸時代の大名と温泉、また江戸時代の医学者である香川修庵や後藤昆山、宇田川榕菴の温泉研究などについて述べる。
最後にとりあげられている小村英菴は長岡の人。ここで言及される『後越薬泉』は数年前から気になっていた資料だった。新潟の漢学者・医学者をしらべていくうちに『後越薬泉』について述べている論文にいきあたり、収録されている越佐叢書をみた。それは江戸末期の上中下越の温泉を踏破し、「化学」をもちいて調査をおこなった日本で最初の記録だった。
小村は加茂の蘭学者・森田千庵と近い関係にあり、日本における「化学」の祖、宇田川榕菴とも交流があった。宇田川榕菴『舎密開宗』(舎密はオランダ語のChemie=化学)には西洋流の温泉分析法が示されており、小村はそうした手法をふまえて新潟の温泉をみて(入って)まわったようである。ただすでにこの方面では先行研究がいくつかある。
ともあれ、本書が小村の温泉研究でしめくくられているのは私にはとても印象深かった。
江戸時代の大名と温泉、また江戸時代の医学者である香川修庵や後藤昆山、宇田川榕菴の温泉研究などについて述べる。
最後にとりあげられている小村英菴は長岡の人。ここで言及される『後越薬泉』は数年前から気になっていた資料だった。新潟の漢学者・医学者をしらべていくうちに『後越薬泉』について述べている論文にいきあたり、収録されている越佐叢書をみた。それは江戸末期の上中下越の温泉を踏破し、「化学」をもちいて調査をおこなった日本で最初の記録だった。
小村は加茂の蘭学者・森田千庵と近い関係にあり、日本における「化学」の祖、宇田川榕菴とも交流があった。宇田川榕菴『舎密開宗』(舎密はオランダ語のChemie=化学)には西洋流の温泉分析法が示されており、小村はそうした手法をふまえて新潟の温泉をみて(入って)まわったようである。ただすでにこの方面では先行研究がいくつかある。
ともあれ、本書が小村の温泉研究でしめくくられているのは私にはとても印象深かった。