拙稿 東条琴台旧蔵『君公御蔵目録』小考―高田藩榊原家の資料群の変遷に関連して2010/06/13 02:31

岩本篤志「東条琴台旧蔵『君公御蔵目録』小考―高田藩榊原家の資料群の変遷に関連して」(『汲古』,第57号, 65~72頁、2010年6月)

 国内の多くの旧藩資料は明治期に散逸し、残存していても本来どのような管理をされていたのか十分に明らかにできない場合が少なくない。
 高田藩および榊原家もその例に漏れず、明治期に各所に分蔵され、運悪く焼失、散逸したものもあったようである。現存が確認されている資料としては、明治三年の藩庁火災をまぬがれ、残存した藩庁文書と旧藩士家および榊原家伝来のものとが榊神社に献納されて原型が形作られた高田図書館所蔵「榊原文書」および、似た経緯をもつ旧蔵書をあわせた図書館系資料群、そして現在、上越市立総合博物館に寄託され、二〇〇九年に目録が刊行された「榊原家史料」の二つが主要なものとみられる 。
 ともに整理と研究がすすめられており、近年では近世の現用秩序の復原を意図した所謂「史料学的」試みがはかられている 。ただ既知の史料には高田移封後の資料秩序を示す目録を欠いており、その全貌や管理状況を知るには限界があった。
(中略)
 調べるうちに管見の限り先行研究には言及がないものの、この目録はたしかに東条琴台旧蔵の高田藩榊原家の御蔵目録で、高田移封後の榊原家の資料群の構成をあきらかにする史料となると考えるに至った。(「はじめに」より)

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