新刊 『五胡十六国覇史輯佚』刊行2012/03/14 23:15

五胡の会(編)『五胡十六国覇史輯佚』、燎原書店、2012年2月、B5 上製(314 頁) 定価 6,500 円+税、ISBN 978-4-89748-112-8

二年前に刊行した『五胡十六国覇史輯佚(稿)』に内外からいただいたご指摘や増補をくわえて、刊行されました。中国関係書籍を専門的に扱う書店(燎原書店、朋友書店、東方書店、六一書房、内山書店等)で販売されているほか、ジュンク堂などでも手にとってみることができるはずです。流通の都合上、一般書店の店頭に並ぶ可能性はほとんどありませんが、注文可能です。

燎原書店
http://www.ryogen.jp/
注文用紙
http://www.ryogen.jp/16kingdoms.pdf

内容紹介
 本書は、五胡十六国期の覇史の佚文(1940条余)を引用した典籍(45種)別に整理したものである。なお『鄴中記』など五胡十六国史研究に無関係でない典籍も採録した。また覇史佚文ごとに番号を付し、覇史解説、典籍解題、各種索引を作成することで、五胡十六国史やそれに関する典籍の理解を深めることが可能なように配慮した。
 なお本書が佚文蒐集の対象とした典籍は以下のとおりである。また索引として、覇史名索引、 五胡十六国君主名索引、元号索引、五胡十六国期元号西暦対照年表、湯球『十六国春秋輯補』引書索引を付す。

世説新語/水經注/敦煌秘笈/齊民要術/琱玉集/修文殿御覽/經典釋文/顔氏家訓/玉燭寶典/北堂書鈔/藝文類聚/辯正論/隋書/文選注/翰苑/廣弘明集/類林/天地瑞祥志/法苑珠林/肇論疏/史通/沙州圖經/初學記/開元占經/史記注/通典/元和姓纂/元和郡縣圖志/秘府略/白氏六帖事類集/獨異志/和名類聚抄/義楚六帖/太平廣記/太平御覽/太平寰宇記/事類賦/廣韻/通鑑考異/樂府詩集/祖庭事苑/廣川書跋/白孔六帖/ 類林雜説/説郛

五胡の会ブログ
http://gokos.blog.shinobi.jp/

ブログにもあるように
1994年より活動を行ってきた五胡の会は本書の刊行をもって会合による活動を停止し、本書のサポートおよび関連情報を交換するための現行構成員によるMLのみを存続させることになりました。

拝受 なぜ和歌を詠むのか 菅江真澄の旅と地誌2012/02/13 21:17

錦仁(著)『なぜ和歌を詠むのか 菅江真澄の旅と地誌』、笠間書院、2011年3月。

錦先生からいただいた。ありがとうございました。タイトルからは国文学、副題からは民俗学的な感触を受けるが、中を拝見すると、次のような言葉がある。

「国文学も民俗学も歴史学もそれぞれに独自に存在するが、私たちを束縛するためにあるのではない」

ここからもわかるように国文学や民俗学だけでなく歴史学の研究者からみても興味深い視点がいくつもみられる。分野のやり方がどうのというのでなく対象に注ぐ視点の置き方の柔軟さにこだわっておられるように読んだ。また秋田藩および佐竹家に関わる資料的研究としてみても興味を引く箇所が多数ある。

笠間書院の本書紹介ページ(詳細な目次あり)
http://kasamashoin.jp/2011/01/post_1653.html

Ⅰ 新しい眼で真澄を捉える
Ⅱ 真澄の旅--なくてはならない和歌
Ⅲ なぜ地誌を書いたか--藩主とのかかわり
Ⅳ 地誌を生みだす和歌

福井崇蘭館旧蔵黄帝内経太素2012/02/08 19:19

某中文系書店で販売中。仁和寺本の写しではあるが由緒正しき写本。国内図書館に期待。ただ、いまや仁和寺本と杏雨本の影印があるわけで。

東京古典会大入札会に出品されていたもの。
http://www.kosho.ne.jp/~kotenkai/chumoku.pdf

「日本内經醫學會談話室」の記事
http://daikei.blogspot.com/2011/10/25.html

さらに東洋史学者を輩出した神田家の蔵書らしき写本も同時に高値ででている。関西の大学がコレクションをもっていると聞いていたのだけれど。

日本海側にすんで結構な年が経つが今年は尋常な雪量ではない。職場と家の往復以外する気にならない毎日。
(一部追記 2011.2.13)

新収 『東方学』第123号2012/02/05 14:13

『東方学』第123号、2012年1月

論文8点、学会情報2点、座談会、追悼文などが載る。
個人的に関心があったのは以下のもの。

三浦國雄、『朱子語類』の読まれ方―新発田藩の一儒者の書き入れをめぐって
新見まどか、唐代後半期における「華北東部藩鎮連合体」
伊藤一馬、南宋成立期の中央政府と陝西地域―「宋西北辺境軍政文書」所見の赦書をめぐって

高田時雄、ロシア科学アカデミー東洋写本研究所と『東洋の文献遺産』誌など
金子修一、中国留学と二つの学会

学問の思い出―池田温先生を囲んで(座談会)

三浦論文は新発田藩の典籍・人物を扱う。新発田藩はとくに藩版などの江戸の出版や教育に関する研究者のほか、宋明清期の思想および書誌学研究者にとって魅力ある題材が非常に豊富なのだが、資料散逸の度合いがひどく、全体像がまるでつかめない。新発田市立図書館に行ってもアレ?とおもうわけである。そういうわけで以前いくつか論文を書き、その蒐集散逸過程を整理中である。
伊藤論文はロシア蔵コズロフ将来文書の実見調査を踏まえた内容。
敦煌吐魯番学の方面からも読み応えのある号だった。池田温先生の主要著作目録が付されている。

新収 江戸の本屋と本づくり2012/01/23 18:57

橋口侯之助、『江戸の本屋と本づくり(続・和本入門)』(平凡社ライブラリー)、平凡社、2011年10月。
中野三敏、『和本のすすめー江戸を読み解くために』(岩波新書)、岩波書店、2011年10月。
大澤顕浩(編著)『東アジア書誌学への招待 第一巻』(学習院大学東洋文化研究叢書)東方書店、2011年12月。

いずれも勉強になった。『江戸の本屋と本づくり』は書物の価格の決め方などに詳しい記述がある。ただ中国の本について言及した段に、中国では「文字の書かれた紙は大切にされていた」とあって、それに対して日本は云々とあるのだが、違和感があった。いずれの国でもそれらを守るものと破壊するものとが常にいたわけだから。識字層を考えても・・・そういちがいに対比はできないだろう。
『東アジア書誌学』はこれまで調べたあるものがちょっと学習院(大学ではない)に関係があるものであったため手に取った。手がかりのようなものは見つけられた。
いずれもどこが興味深くて購入したのか書きたいのだが、ちょっと時間がない。

拝受 唐宋時期『帝王略論』的利用状況2011/09/16 20:48

会田大輔、唐宋時期『帝王略論』的利用状況、寧欣(主編)『新材料・新方法・新視野 古代国家和社会変遷』、北京師範大学出版社、2011年6月。

会田さんからいただいた。ありがとうございました。
 唐宋時期の『帝王略論』の利用状況を書誌学的な観点から整理したもの。一部に敦煌文献の『帝王略論』への言及もある。私自身も東洋文庫に属していた頃から注目していた史料のひとつで興味深く拝読した。

新収 中古中国的粟特胡人2011/09/15 20:08

畢波(著)『中古中国的粟特胡人-以長安為中心』(西域歴史語言研究叢書)、中国人民大学出版社、2011年5月。

近年発見された北朝隋唐期のソグド人墓誌等を中心に論考をまとめたもの。内外の研究が広く参照されている。
 
緒論
第一章 北斉・北周的胡人及其影響
第二章 北朝末至唐初胡人的動向与歩入宮廷
第三章 隋唐宮廷内外的内外的胡人—隋唐国際性表徴
第四章 隋唐長安坊市的胡人
第五章 隋唐長安粟特胡人的社会網絡

百度百科の紹介(詳細な目次あり)
http://baike.baidu.com/view/6290460.htm

近年、ソグド人に関する新資料が次々と発見されるようになり、数多の研究業績がうみだされている。本書が内外で注目されることは必至であろう。

拝受 江西龍派の農業知識 ほか2011/08/27 00:15

川本慎自、江西龍派の農業知識、『アジア遊学』142号、2011年5月。
川本慎自、史料紹介・建仁寺両足院所蔵『雑説疏』紙背文書、科研費報告書『建仁寺両足院に所蔵される五山文学関係典籍類の調査研究(代表:赤尾栄慶)』2011年3月。
山家浩樹(代表)『分散した禅院文書群をもちいた情報復元の研究』、科研費報告書、2010年3月。

川本先生からいただいた。ありがとうございました。
 中世禅僧の杜詩の解釈に特異な農業知識の一端をみいだし、その背景と知識を分析した冒頭の論文のほか、中世寺院所蔵の典籍の姿にせまったほか2点。自分にとっては大変勉強になる内容。

新収 必携古典籍古文書料紙事典2011/08/19 17:26

宍倉佐敏(編著)『必携 古典籍・古文書料紙事典』、八木書店、2011年7月。

 東アジア(特に日本)の古文書・古典籍の料紙の製法、調査方法などを網羅的に解説したもの。様々な方面で料紙の調査をしてきた20名が執筆。カラー図版多数。附録は「繊維判定用和紙見本帳」と「簀目測定帳」といういたれりつくせりぶり。本体453ページ。お値段は10000円+税だが、この内容なら安い(ただし古典籍・古文書研究者に限る)。

目次はこちら (八木書店)
http://www.books-yagi.co.jp/pub/cgi-bin/newbooks.cgi?cmd=d&kn=20&ks=978-4-8406-2072-7

拝受 第56回 杏雨書屋特別展示会図録2011/07/12 00:57

『第56回 杏雨書屋特別展示会図録―田中彌性園文庫から見た近世大阪の医学』、武田科学振興財団、2011年4月

杏雨書屋からいただいた。ありがとうございました。全75頁の薄い展示会用図録。フルカラー。展示会時期でなくてもいただけるようである。

彌性園とは大阪に400年つづいた医家、田中氏の薬草園や屋敷などの遺跡のことでその古書籍古文書が杏雨書屋に文庫として保管されることになったということのようである。

木村蒹葭堂や頼三樹三郎、曲直瀬道三、伊藤仁斎などの近世著名人の書簡のほか、正徳刊本の『奇効良方』をはじめとした中国刊本、現存写本のきわめて少ない南宋医書や『福田方』などの写真・解説がずらりと並ぶ。

こちらの紹介が詳しい。「世界でも中国・台湾・香港を除くとたぶん100人くらいしか興味のなさそうな話」といえばそうかもしれません。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2011/04/post-acbe.html

なお、関西遠征のついでにマニ教関連の特別展示を見に行った際、購入しようとした大和文華館の特別展図録および美術研究誌『大和文華』はすべて売り切れだった。もちろん先月の話である。

http://www.kintetsu.jp/yamato/exhibition/50th_2.html
http://www.kintetsu.jp/yamato/shuppan/yamatobunka.html