読了 人間の本性を考える2007/02/13 22:15

スティーブン・ピンカー著、山下篤子訳『人間の本性を考える-心は「空白の石版」か』(上)(中)(下)(日本放送出版協会、2004年9月)。
Steven Pinker “THE BLANK SLATE”,2002.

かつて新聞かどこかの書評を読んで、出版されてまもなくに購入した本。ようやく、(下)をよみおえた。著者は著名な心理学者。
 人は生まれたときには何もかかれていない石版(ブランクスレート)のようなもので、生まれた後に家族や社会によって、その性格や人間性が形成されていくという理解は遺伝学的に誤りであるとする。いいかえれば、人間の「特性はすべて遺伝的である」ということになる。
 ただ、著者ものべているように、だから人生は遺伝で決まっているということでもなければ、生まれて後の人間関係が性格形成に全く影響を与えないという意味でもない。「特性=人生」ではないから。

 歴史の論文を書いていると、しばしばある時代の特徴とはどういうものか、また地域性とはどういうものかを考えることがある。同時に人間のもつ普遍性とはどういうものかを考えさせられることになる。どうして北と南でこんなに似ている出土品が、とか西と東で・・・とか、いろんな局面においてである。
 また、他人が、いまの世の中は、というだけでなく、自分が普段、どのようにものをみているかを考えるためにもこうした本を読んでみるのは有効であろう。

 なお、内容は人文科学の危機的な状況や現代美術に関する考察にもおよんでいる。
 著者がしばしば寄り道をするので、なかなか、読了できずにいたが、私も寄り道しながらようやく最後まで文字をおっていくことができた。
ただ、もう(上)と(中)の内容をほとんど忘れている。ボクの脳みそのデフォルトはどうも空白(ブランク)らしい。

wikipedia

amazon