新収 『漢字文献情報処理研究』第8号2007/10/21 18:37

漢字文献情報処理研究会編 『漢字文献情報処理研究』第8号、好文出版、2007年10月。

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http://www.jaet.gr.jp/jj/8.html

例によって興味あるモノだけをぬきだす。

田口 昌弘・小口 雅史 、『在ベルリン吐魯番出土漢文世俗文書総合目録』のその後 ―FileMaker によるDatabase のWeb 公開の一例として―
師 茂樹、漢文のマークアップ
山崎直樹、訓点付き漢文の返り点から統語情報を導出しXML で構造化する試み
後藤 真、日本の漢文史料とマークアップ

ほかレビューにもおもしろいものがある(「VISTAとOffice2007はお薦めか」などは特に)。
 FileMaker によるDatabaseのWeb公開、は技術的には企業などで用いられているもので珍しいものではないと思うが、説明書が不十分なようで苦労をされたようである。ともかくこの活動は国際的にみて大きな貢献となるはずである。
http://aterui.i.hosei.ac.jp/service/
(法政大学・国際日本学研究センター)

 ただ私が所属する大学をみるとWindows Serverのような類を学内で確保、公開すること自体をきびしくみる傾向になりつつあり、どこもが真似できるようなものでもなさそうである。
 ともかく大規模なデータベースとなると構築作業が面倒である。構想者自身が研究分野とコンピュータの両方に習熟し、作業の全貌を把握できる能力をもつことと、素養ある人材の確保が維持には必要におもわれる。上のプロジェクトはそれに恵まれた例であろう。

 個人的な関心にうつると、今後いかにチープに「検索ができる」データベースが作れるかということが重要な気がしている。実際、ネット上に提供されているcgiプログラムを使わせてもらえば大抵のことはできてしまうはずである。大事なのはデータをあつめることで何が生み出せるかなのだから、メンテは容易なほどよいだろう。

ちなみにすでにGoogleはフリーのWebDBを準備中である(まだ英・独版のみ)。

http://base.google.com/
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/12/12/14207.html

Google Baseでなくてもある種のデータベース化は容易にできるように思うが、問題は中身の情報の「権利」処理であろう。

 訓点付き漢文とマークアップというのはある意味、印付けの正常進化のような気もして興味深く読んだ。

漢字文献情報処理研究会はとくにアジア、日本研究にかかせない漢字をコンピュータでどのようにあつかうかを研究対象とする研究会である。
http://www.jaet.gr.jp/index.html

その歴史は『電脳中国学』(好文出版、1999)からはじまり、私は設立当初から加わっており、なんとか会費は払いつづけてきたものの幽霊会員に近い。目次の通り、実にユニークな新しい研究が満載なので入会されるなり、東方書店などで手にとってごらんになられたい。普通に流通にのってるので、どこの書店でも注文可能である。

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