新収 書誌学のすすめ2010/10/07 22:02

高橋智(著)『書誌学のすすめ―中国の愛書文化に学ぶ』、東方書店、2010年9月。

 中国書誌学の入門書。基本的なことがおさえてあって勉強になる。
これまで何本か論文を書いてきたが、書誌学用語を間違えていて、いろいろ・・・あった(他にも・・・・おもいださないことにする)。間違いを気にしすぎると論文が書けなくなる。
 例えばフランス語や英語の解説では、胡蝶装(Butterfly ~)に相当する語彙で解説されているのに、日本ではその装丁は粘葉装とよばないととか、けっこうややこしい(同義であるとする解説もありますけどね)。まあ、間違えると意味が通じなくなるのでまずいわけだが、専門用語は学習すればよい。
 「書誌学はけしてすすめられようなものではない」という抑えめな言葉がいい。
 実際、実物の本を見るのはものすごくおもしろいが、これにはまると歴史学はできなくなる。あなたが大図書館の専属でないなら、その分野はやめといたほうがいい、書誌学はエリート(研究者の中のエリートってことですな)だけがやるものだ、と学生時代いわれたことがある。
 学習するべきだが、研究分野にはしないほうがいいという意味だと理解している。

新収 景教与景教碑 ほか2010/10/07 22:26

路遠(著)『景教与景教碑』西安出版社、2009年5月。
張小貴(著)『中古華化祆教考述』文物出版社、2010年3月。

 前者はやや概説的ではあるが、それなりに網羅されている範囲が広くて便利。
 後者は祆教、ゾロアスター教研究の最新の研究書。きっちり対象をしぼって分析しているようである。ざっと見ただけだが、欧米の基本文献もよみこまれているようである。

締め切りの迫った書き物が多いので、なかなか時間が無くて、購入した本やいただいた抜き刷りが山積み。

新収 清代輯佚研究2010/10/07 22:56

喩春龍(著)『清代輯佚研究』上海古籍出版社、2010年6月。

 清代の輯佚学に焦点をあてた専著。輯佚の学派が整理されているのが秀逸・・。明代の輯佚学についても整理がなされている。

新収 走出石窟的北魏王朝2010/10/07 23:04

金昭・阿勒得爾図(主編)『走出石窟的北魏王朝』(阿寅勒民族文化叢書、上・下)文化芸術出版社、2010年4月。

 北魏関係の論文選集。上下二冊で70本の論文をおさめる。かつてコピーを取った論文も多数あるが、「石室祝文篇」とか「考古探索篇」とかがとくに便利な気がしたので購入。
 日本で購入しなくてもよかったかもしれないが、忘れやすいのでまあ、よいだろう。

拝受 東晋の哀帝と皇位継承問題 ほか2010/10/14 01:10

三田辰彦、東晋の哀帝と皇位継承問題、『歴史』第114輯、2010年4月。
満田剛、『太平寰宇記』所引王沈『魏書』について―附論:『太平寰宇記』所引『魏志』・『魏略』・魏収『魏書』、『創価大学人文論集』、第22号、2010年3月。
梶山智史、屠本『十六国春秋』考―明代における五胡十六国史研究の一斑、『史学雑誌』第119編第7号、2010年7月。

三田さん、満田さん、梶山さんからいただいた。ありがとうございました。
梶山論文はすでに紹介済み。

拝受 中国中古家礼的編纂与発展2010/10/14 19:09

張文昌、中国中古家礼的編纂与発展、『東呉歴史学報』第23期、2010年。
張文昌(著)土口史記(訳)遠藤隆俊(付記)、中国中古における書儀の発展と『温公書儀』―『朱子家礼』の前奏、『高知大学学術研究報告』第58巻、2009年12月。

張文昌先生からいただいた。ありがとうございました。前者で敦煌文献の書儀にふれている。

拝受 南朝宋斉時期の国軍体制と僑州南徐州2010/10/15 17:36

小尾孝夫、南朝宋斉時期の国軍体制と僑州南徐州、唐代史研究会(編)『唐代史研究』 第13号、2010年8月。

小尾先生からいただいた。ありがとうございました。南朝、特に東晋・劉宋・南斉時期の兵士について、特に僑民(華北で流民となり南朝領域に居住することになった者たち)からの集兵に焦点をあてて論じている。

以前も題名をとりあげている。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/09/03/5325279

新収 吐魯番学研究(国際学術研討会論文集)2010/10/15 18:32

新疆吐魯番学研究院(編)『吐魯番学研究―第三届吐魯番学曁欧亜游牧民族的起源与遷徙国際学術研討会論文集』上海古籍出版社、2010年5月。

 収録論文数89本の巨冊。欧文4割、中文6割の印象。とりわけ目を引くのはソグド、突厥、ウイグル、マニ教、景教に関する論文が多いこと。
 新知見も含まれているのであろうが、タイトルを見ただけでも知らないことが多くて、どれから読んでいいのか全然わからない。
 一部、吐魯番漢文文書に関するものもあるが、やはりこの分野はなかなか手強く、自分の学が浅いことを痛感させられる。
 吐魯番文書の医薬文献を扱ったものが一本、含まれている。

新収 敦煌遺書研究論集 ほか2010/10/15 19:34

林世田(著)『敦煌遺書研究論集』中国蔵学出版社、2010年
郝春文(主編)『英蔵敦煌社会歴史文献釈録 第七巻』社会科学文献出版社、2010年1月。

前者は短編が多いが国家図書館の敦煌文献を調査する際には勉強になる論文が多い印象。後者は遂に7冊目。いつ重複購入するか、びくびくしながら購入しているが、いまのところ重複無し。

拝受 高校日本史と大学講義の接続実践2010/10/19 17:50

竹田和夫、高校日本史と大学講義の接続実践3、『歴史と地理』第637号(日本史の研究230)、2010年9月。
竹田和夫、高大連携の動向・実践・課題について、『月刊 高校教育』第43巻第12号、2010年10月。

 竹田先生からいただいた。ありがとうございました。
 前者は遣唐使と国風文化について、世界史と日本史の接続的授業を紹介している。ただ唐宋期の薬物の由来を確認するのに『酉陽雜俎』は適切でないかもしれない。時代はズレるが、陶弘景の本草まで包含しているという意味で『国訳本草綱目』あたりが手頃な気がする。また清涼寺の釈迦如来像の納入品については本草学研究や中国研究から見た専論が存在する。
 日本人が中国史を研究している場合は自然と日本との関連に目がいくので、是非、日本の東洋史研究の成果を日本史・世界史教育に積極的にとりいれて欲しいものだと思う。