新収 東方 第320号2007/09/30 19:19

『東方』 第320号、2007年10月。

とくに以下のものに注目して読んだ。

ジョン・マクレー、日本の禅研究と私
高橋智、書物の生涯-続書誌学のすすめ(17)
原宗子、「海」の環境史的把握に成功したか?

最後の1点は以前紹介した研究書に関する書評である。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/05/22/1526996

 研究費獲得のための作文でなく、書物である以上、全体の枠組みと各論の関係を論理的に示すよう求めている。手厳しい。

 ある学会の挨拶のおりにある先生が「カケンヒのありかたが研究を意図しない方向に知らず知らずのうちに導きやしないか」とおっしゃられていたことをふと思い出した。戦前のような誘導はないとおもうが、長期的には果たしてどうか。・・というような話だった。まあ、すでにその獲得を存在の前提に組み込まざるをえない組織において、そんなことを考えてもはじまらないという見方もある。

 ただ、最初の1点をよんだとき、自分が研究の世界に入った時、きっかけになったものを考えさせられた。作品として魅力ある研究書を目にすることがなければ、この世界に興味をもたなかったことは間違いない。