新収 敦煌学輯刊 総第56期2007/10/04 02:09

『敦煌学輯刊』2007年第2期、総第56期、2007年6月。

20点の論文がのる。例によって、目次から自分の関心で抜き出した。

鄭炳林・張全民、『大唐国公礼葬故祐墓誌銘』校釈和太宗令諸王之藩問題研究
李成宇、張議潮起義発生在大中二年三,四月間
謝静、敦煌莫高窟『吐蕃賛普例仏図』中吐蕃族服飾初探
薛宗正、麹伯雅生平析疑
阿依先、祈仏求道、護祐誕生-以敦煌「難月」誕育願文為中心
葛剛岩、敦煌写本『文子』校補

 このほか、画像磚に関するもの一点、ベルリンの吐魯番文献を使ったマニ教関連の研究一点などもあったが、一方はまだ考証が浅いようであり、一方は私には難しすぎた。

なお阿依先論文は多数の敦煌文献に言及する。検索用に文献番号をメモ。
 S.1441,P.3825,S.1441,S.5561,S.5593,S.5759,S.5639,S.4081,北図姜32
S.2832,P.2044S.5637,S.4992,S343,S2498P.3874,P3358,P.3920,S.610
黄征『敦煌願文集』が頻用されている。(なお、「征」はあえて簡体字)

新収 複印報刊資料 魏晋南北朝隋唐史 2007年第5期2007/10/04 02:56

複印報刊資料『魏晋南北朝隋唐史』 2007年第5期。

論文8点。これもまたとくに抜き出した。

李憑、北魏龍城諸后考実
温海清、北魏・北周・唐時期追祖李陵現象述論
王永平、蕭梁皇族之学術文化述論
李方、試論唐朝的“中国”与“天下”
霍巍、西域風格与唐風染化-中古時期吐蕃与粟特人的棺板装飾伝統試析

新収 Les manuscrits Chinois de Koutcha2007/10/04 17:39

Éric Trombert, avec la collaboration de Ikeda On(池田温) et Zhang Guangda(張広達),“Les Manuscrits Chinois de Koutcha ” Institut des hautes études chinoises du Collège de France,Paris 2000.

 亀茲(庫車、クチャ)発見の漢文文献の研究・目録。解説はすべてフランス語。250点ほどの資料(ほとんど断片)が掲載されており、釈文、図録とも完備。図録は白黒ながら立体感のある見事なもの。唐代頃のものが多いようである。
 今のところ関心がある資料は「みえない」が、以前、ネットで購入(クリックしてしまった)したものが届いた。

新収 アジア遊学 100号の提案2007/10/04 18:11

『アジア遊学』第100号(アジア遊学100号の提案 これからの研究構想を語る)、勉誠出版、2007年7月。

http://www.bensey.co.jp/book/1929.html

様々な分野の人がこれからの研究テーマを語っており、アジア研究の現在ということからもおもしろい企画。

新収 敦煌願文集2007/10/04 18:34

黄徴(黄征)、呉偉編校『敦煌願文集』、1995年11月。

 本書はいろいろに引用されているが、ようやく入手。敦煌文献中から「祈福禳災」「頌賛」をあらわした文章、「願文」の釈文を収録したもの。つまり、本書に収録されるのは願い事を書いた文章で、その時代の人の心性を知るには格好の史料にもなりうる。

 人の行動はある程度、その経済的、地理的環境に制約されるが、また日常的な習慣や願い、まだ得ていないものへの欲望によっても強く動かされる。もちろん経済的、地理的制約をこえることがその対象にもなりうるわけだが、そうでない願望は往々にして我々の常識を越えてしまい(普遍的な場合もある)、解釈が難しかったりする。そういう意味で「願文」は実に奥が深い史料である。

 ただ、ここにそのすべてを収録したというわけではないらしい。また、文書番号がふってないようで、これは利用には苦労しそう。

 なお、このサイトは固有名詞でも基本的に日本語フォントの新字体で表記することにしているが、黄徴先生については黄征と書いた方がよいといわれたことがあるので併記(そういわれるとキリがないが)。

新収 唐代財政史稿2007/10/05 17:30

李錦綉『唐代財政史稿』(一~五)、社会科学文献出版社、2007年6月。

再刊。タイトル通りの内容で、有名な研究書である。石刻史料や敦煌吐魯番文献も用いられている。
 ただ「財政」とか「経済」とかシステマチックに聞こえる言葉が個人的に性にあわないし、しかも分厚い(以前は3冊本?)ので、購入しようかどうか迷っているうちに買えなくなっていた(笑)。最近、こういう再刊モノが多いようで、ある意味助かる。

新収 法蔵敦煌蔵文文献解題目録2007/10/05 17:44

王堯(主編)『法蔵敦煌蔵文文献解題目録』、民族出版社、1999年。

フランス国立図書館に所蔵される敦煌文献中、蔵文(チベット文字)で書かれた文献の目録。
 頻用される欧文の目録はかなり高価で入手も困難だが、これは安価である。ちなみに蔵文が読めない私だが自腹でこれを購入することにしたのはもちろん誰かの利用に供する為ではない。

新収 唐史論叢 第九輯2007/10/05 18:13

杜文玉(主編)『唐史論叢』 第九輯、三秦出版社、2007年1月。

論文24点が掲載される。個人的な興味で抜き出す。

于賡哲、試論唐代官方医療機構的局限性
陳国灿、唐西州在絲綢之路上的地位和作用
乜小紅、試論唐代馬匹在絲路交通中的地位和作用
張平、亀茲考古中所見唐代重要駐屯史迹
王永平、唐代的双陸与握槊・長行考辨

タイトルは省略したが、石刻もしくは墓誌に関する論文が4点掲載されている。

新収 日蔵漢籍善本書録2007/10/05 18:46

厳紹璗編著『日蔵漢籍善本書録』(上・中・下)、中華書局、2007年3月。

 著者の20年あまり30余回におよぶ訪日調査に基づいた大著。日本(宮内庁、国会、公文書館などから私的図書館まである程度含む)に所蔵される漢籍、特に明代もしくは明代以前のものを中心に目録と研究が掲載されている。訪書録などが付録となっている。

 大部の本で、にわかに内容や収録範囲の詳細を把握しがたいが、とりあえず購入。中国の研究者が三十余回も日本にやってきて作成したというのも驚嘆である。

 試しに拙稿で取りあげた『霊棋経』を検索対象にして評価してみた。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2006/04/17/330057

結論から言うと、本書を用いても、日本に現存する『霊棋経』の古写本にはいきあたらない。明版が1件でてくるが、同版は国内に複数あるはずだ。

この点では、誰もが知ってる京大人文研サイトの全国漢籍データベース協議会「全国漢籍データベース」のほうが有用である。
http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/kanseki/

ただこの目録の真価はそんなところにはないのかもしれない。しばらく利用していろいろと探ってみることとしたい。当面、目録類やデータベースはいくつも見てみるというのがベストである。

亜東書店による紹介
http://www.ato-shoten.co.jp/blog/2007/07/10182182.html

新収 融撮与創新:国際敦煌項目第六次会議論文集2007/10/09 17:46

林世田・蒙安泰(主編)『融撮与創新:国際敦煌項目第六次会議論文集』、北京図書館出版社、2007年5月。

 会議の主題は敦煌文献の保護、修復、紙の分析となっている。収録されている論文は敦煌文献を中心とした資料を、モノとしての側面から研究、データ収集をおこなったものでトルファンやベゼクリク、黒水城に関するものも含まれる。

なお、同じような主題を扱った専著に以下のものがある。
Susan Whitfield , Frances Wood (Editor) 、“Dunhuang and Turfan: Contents and Conservation of Ancient Documents from Central Asia (British Library Studies in Conservation Science) ”、British Library Publishing Division、1996.

Monique Cohen(Editor)、“Conservation des manuscrits de Dunhuang et d'Asie centrale”the Bibliothèque nationale de France、1998.

両書とも購入済み。
ある意味、『文字の文化史』をはじまりとした“コディコロジー”的専門分化の進展にも思われる。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2006/10/13/559702