新収 敦煌学研究論著目錄2008/06/13 17:37

鄭阿財・朱玉鳳(主編)『敦煌學研究論著目録(1998~2005)』、楽学書局、2006年8月。

タイトル通りの内容である。項目もしくは著者名から検索できるようになっている。
なお、1908~1997年版はネット上にデータベース化されている。
http://ccs.ncl.edu.tw/topic_3.html

新収 集安高句麗壁画墓2008/06/16 18:49

呉広孝(著)『集安高句麗壁画墓』、山東画報出版社、2006年9月。

冒頭は「西北有敦煌 東北有集安」ではじまる。
 全体の構成は壁画墓の模様分類ごとに説明をしており、長川1号墓、長川2号墓、麻線1号墓、万宝汀墓・・・・・など数多くの壁画墓が扱われている。写真が多いが、カラーではないのは残念。

新収 河口慧海日記2008/06/17 00:23

河口慧海(著)奥山直司(編)『河口慧海日記-ヒマラヤ・チベットの旅』講談社学術文庫、2007年5月。

 河口慧海『チベット旅行記』は非常におもしろく読めるが、もとは慧海の口述を筆記した新聞記事の連載であった。この本におさめるのは慧海自身が旅行で記録していたもので、2004年になって初めて広く知られるようになった日記だという。
 解説はその『旅行記』と日記の間をおっており、『旅行記』に書いて無くて日記に何が書いてあるのか、なぜ、その部分を連載には示さなかったのかなど、慧海その人の思いや配慮をよみとっている。また実際にヒマラヤ・チベットを走破してその足跡をたどっており、なかなか楽しい。

新収 古書通例2008/06/18 19:35

余嘉錫(著)古勝隆一・嘉瀬達男・内山直樹(訳注)『古書通例-中国文献学入門』、平凡社東洋文庫、2008年6月。

 『目録学発微』や『四庫提要弁証』で知られる余嘉錫は中国目録学・文献学上、著名な人物だが、この本はその著作の翻訳としてははじめてのものである。
 ただ、副題の「中国文献学入門」というのは、現代日本においてどうか?と言う気はする。
 他にない「入門」書にちがいないのだが、さまざまな古典や史書を見ていない者にはかなり敷居が高く、逆に言えば含蓄が深い。まず解説を読んでから本文にむかうと何とか読んでみようとおもえるかもしれない。
 この翻訳が読めるならば、原書にチャレンジして良いような気もするが、こうした類の翻訳が一般向けに流通するのは稀なので、関心のある人は買うなら今、だろう。

新収 近世地方出版の研究2008/06/18 19:56

朝倉治彦・大和博幸(編)『近世地方出版の研究』東京堂出版、1993年

書名にひかれて購入してみた。扱われているのはどちらかというと出版流通状況が主で、書籍の内容に深くわけいるものではないようである。
江戸時代の地方の出版状況を知るには手がかりがみつかるかもしれない。

新収 天下統一と朝鮮侵略2008/06/18 20:27

藤木久志(著)『天下統一と朝鮮侵略』講談社学術文庫、2005年10月。

 もともとは概説書のシリーズの1冊だったようで非常に読みやすい。東アジアに目を配ったうえで国内の織田・豊臣政権と地方がよくみえるように書かれている。
 ただ仕事で忙殺されているなかでどんどん本を買っているため、読みやすい文体というのは「あせり」さえ生じさせる。いつのまにか時間がなくなっているのである。
 と、いうことでまだ読了していないが、時間のあるときに読破しよう。

新収 唐王朝と古代日本2008/06/19 17:44

榎本淳一(著)『唐王朝と古代日本』吉川弘文館、2008年7月。

第一部「唐代朝貢体制と古代日本の外交制度」
第二部「中国文化と古代日本」 
 以上の二部構成で、前後者ともに四章だて。他に序章と終章があり、10章立ての構成だが、それ以外に補論・付論がそれぞれ数点付されている。

 冒頭の書き出しに「唐王朝と古代日本の外交関係を制度的な観点から明らかにし、中国文化の古代日本への流入と影響について論じるもの」とある。また諸処に遣唐使と漢籍の関係について言及しているところがみられる。

新収 龍門石窟与洛陽仏教文化2008/06/19 17:58

王振国(著)『龍門石窟与洛陽仏教文化』中州古籍出版社、2006年12月。

「龍門石窟研究文集」の一冊。実際の踏査による調査にもとづくところが多いようで、精読すればかなり得るところがあるような気がする。写真多数。

龍門路洞調査報告
龍門隋代小龕初探
龍門唐永隆二年蘭陵王孫高元簡地蔵・観音像龕的発現及其意義-兼蘭陵王高長恭伝略評介
関于龍門擂鼓台中洞与看経寺的羅漢像問題
龍門石窟刻経
跋龍門石窟両部観世音内容的石刻偽経
洛陽経幢研究
唐宋洛陽仏寺、名僧史籍鉤沈
附録:龍門石窟刻経録文校稿

「蘭陵王の子孫、高元簡の地蔵・観音像龕の発見」などはタイトルを見ただけでおもしろそうである。北斉皇族は北斉滅亡後、流刑になったりしてまもなく亡くなっているものが多いうえに、蘭陵王長恭の伝には子がみあたらない。そこで著者は女児がいたか、いわゆる妾腹の子がいたかの可能性をあげる。
 まあ、どうでしょうか。「蘭陵王」の株があがってた時期だったからどこぞの高氏が「蘭陵王孫」などと書いたような気がしないではない。そうでなくとも永隆二年には「蘭陵王」は知る人ぞ知る悲劇の英雄として伝説化されつつあったことはいえそうである。ちなみに孫は「子孫」の意味でとれるが、「王孫」とつなげてよめば、『楚辞』の「王孫遊びて帰らず」を想起してよいのかもしれない。すると刻者の貴種崇拝がますます臭ってくるわけだが。
 また「跋龍門石窟両部観世音内容的石刻偽経」では敦煌文献との対比が展開されている。

新収 新獲吐魯番出土文献2008/06/20 12:15

栄新江、李肖、孟憲実(主編)『新獲吐魯番出土文献』(全2冊)中華書局、2008年4月。

 ついに出た。というか、すでに目を通している人もいるはずである。
知る限りでは五胡時代から唐代までの時期に当たる内陸アジア史を中心に、大きな影響を与えるであろう新出土史料群の登場である。当然、中国史への影響は当然として、日本の古文書研究に与える影響だってあるかもしれない。

 数日前まで国内のおもだった書店のWebサイトをみても近日入荷とあるだけで、しかも書店によって出版予定年月がまちまちで本書が出版されたかどうかがわからなかった。しかし、この間、眼にした中国語論文に「既刊」とわざわざ書かれているのをみて、刊行を確信して発注した(書虫)。
 現在、東方書店が入荷をTopページに掲載している。http://www.toho-shoten.co.jp/

 4月刊行だから、留学している近しい友人がいる方なら5月半ばには入手できたにちがいない。まあ、急いで入手したところで、頭の回転が遅くて腰が重い私にはあまり意味はないのも確信済みなのだが。

 写真はすべて鮮明なフルカラー。釈文、解説、索引がつく。
 当然のことだがこれまでの吐魯番出土文献に関係するものは多い。またすでに発表されている研究でもわかるように東西交渉史、行政、典籍、科学史、占卜、宗教など広範囲な分野に関係する文献が含まれており、敦煌文献と関連させて議論できるものも少なくない。ソグド語文献のほか、康氏墓群が発掘されており、ソグド系資料が収録されているのもみのがせない。
 ただ、この新出資料を使った中国の研究者による先行研究がすでにたくさん出ていることはおさえておくべきであろう。

『新獲吐魯番出土文献』関連論文をよむためのメモ2008/06/20 18:59

 関連論文をよむ際、できれば図録を片手に読み進めたいわけだが、便利なのに面倒なのは整理番号(文献編号)である。記憶力の良い人は番号を見ただけで文書名や載っている箇所がおよそわかるのだが、私には無理である。
 本書には2巻末尾に「文献編号索引」がついており、それをつかえば該当文書まですぐにたどりつける。ただもう少し楽にならないものか。

 文書番号は発掘年、出土地略号の組み合わせなので、例えば、2004年に阿斯塔那395号墓で発見されたものの整理番号には「2004TAM395」がつく。その1号文書であれば「2004TAM395:1」である。したがって整理番号をみれば発掘年と出土地は明瞭なわけだが、以下に本書掲載順に整理番号冒頭を排列してそれが掲載される最初の頁を付す。
 これで明日にはGoogleに枝番をのぞいた整理記号を入力すればこのエントリが検索され、およその頁がわかる。「2004TBM245 marginal」などとすれば、より確実だろう。現時点でも「P.4522v」とGoogleでひいていただければ(これは敦煌文献)、何をしたいかわかってもらえるだろう。
(6/21午後、Googleスパイダーおたちよりのご様子>2004TBM245とかで検索できます)

 Googleが勝手にクロールしてくる、ブログはエントリごとにデータが自然に分かれる、それを利用しない手はない。こういう融通無碍なDBをローカルでつくろうとすると結構面倒なのである。Googleの情報支配という発想は古い。

 ちなみに2006TZJIなどは点数がおおいので、以下のデータでは索引としては用をなさないがそんなものである。ともかく2巻末尾の「文献編号索引」をつかえば整理番号から確実に該当頁にたどりつける。「文献編号索引」がWeb上にあれば、文書名からも検索ができることになるが、誰かが入力するのを待ちたい(笑)。

 出土地 整理番号(冊-頁)
出土文献

阿斯塔那 2004TAM395 (1-001), 2004TAM396 (1-015),2004TAM398 (1-017),
2004TAM408 (1-021)
阿斯塔那 2006TAM607 (1-022)
阿斯塔那 65TAM341 (1-054)
巴達木 2004TBM107 (1-056), 2004TBM113 (1-061), 2004TBM115 (1-067),
2004TBM203 (1-068), 2004TBM207 (1-073), 2004TBM209 (1-093),
2004TBM223 (1-093), 2004TBM233 (1-095), 2004TBM234 (1-097),
2004TBM237 (1-099), 2004TBM245 (1-101), 2004TBM247(1-102)
木納爾 2004TMM102 (1-103)
洋海 97TSYM1 (1-123)
洋海 2006TSYIM4 (1-169)
交河故城 2002TJI (2-231)
台蔵塔 2005TST (2-258)
吐魯番 2006TZJI (2-271)
和田 2006TZJI (2-359)
鄯善県 2001SYMX1 (2-362)

出土墓表
交河故城 2004TYGXM (2-375)
巴達木 2004TBM (2-380)
木納爾 2004TMM (2-385)