新収 新潟史学 第63号2010/08/03 20:26

新潟史学会『新潟史学』第63号、2010年5月。

論文3点、書評・紹介3点が掲載されている。そのうち3点の題名を。

片桐昭彦「越後守護上杉家年寄の領主的展開ー越後・信濃の市川氏を中心に」
阿部哲人「上杉景勝の揚北衆掌握と直江兼続」
小宮山敏和「上越市立総合博物館編『高田藩 榊原家史料目録・研究』」

いただいた論文、購入した書籍が山積みで収拾がつかなくなりつつある。

拙稿 東条琴台旧蔵『君公御蔵目録』小考―高田藩榊原家の資料群の変遷に関連して2010/06/13 02:31

岩本篤志「東条琴台旧蔵『君公御蔵目録』小考―高田藩榊原家の資料群の変遷に関連して」(『汲古』,第57号, 65~72頁、2010年6月)

 国内の多くの旧藩資料は明治期に散逸し、残存していても本来どのような管理をされていたのか十分に明らかにできない場合が少なくない。
 高田藩および榊原家もその例に漏れず、明治期に各所に分蔵され、運悪く焼失、散逸したものもあったようである。現存が確認されている資料としては、明治三年の藩庁火災をまぬがれ、残存した藩庁文書と旧藩士家および榊原家伝来のものとが榊神社に献納されて原型が形作られた高田図書館所蔵「榊原文書」および、似た経緯をもつ旧蔵書をあわせた図書館系資料群、そして現在、上越市立総合博物館に寄託され、二〇〇九年に目録が刊行された「榊原家史料」の二つが主要なものとみられる 。
 ともに整理と研究がすすめられており、近年では近世の現用秩序の復原を意図した所謂「史料学的」試みがはかられている 。ただ既知の史料には高田移封後の資料秩序を示す目録を欠いており、その全貌や管理状況を知るには限界があった。
(中略)
 調べるうちに管見の限り先行研究には言及がないものの、この目録はたしかに東条琴台旧蔵の高田藩榊原家の御蔵目録で、高田移封後の榊原家の資料群の構成をあきらかにする史料となると考えるに至った。(「はじめに」より)

拝受 『令義解』「上令義解表」の注釈所引『論語義疏』の性格について2010/05/26 18:06

高田宗平、『令義解』「上令義解表」の注釈所引『論語義疏』の性格について、『日本漢文学研究』 第5号、2010年3月。

高田さんからいただいた。ありがとうございました。タイトルの通り、注に引用された典籍の文章から、その性格を探っている。
 前稿では敦煌本等を使用しておられたが、ここでは新潟の市島酒造の史料館所蔵本(!)などにも言及されている。ありがとうございました。

市島酒造
http://www.ichishima.jp/oumon/tenji/index.html

拝受 地震と中世の流通2010/05/18 23:17

矢田俊文(著)『地震と中世の流通』(高志書院選書6)、高志書院、2010年5月。

矢田先生からいただいた。ありがとうございました。2部構成でそれぞれが4章にわかれる。
「第I部 中世考古学と物質流通」「第II部 地震と集散地の被害」となっており、商品流通を中心に中世考古学と地震研究の成果をクロスさせるという構成を取っている。

前掲『中世の巨大地震』よりやや難易度はあがった感じだが、一般向けの内容である。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2009/01/07/4046288

拝受 中世紀州の景観と地域社会2010/05/13 23:33

高木徳郎(著)『中世紀州の景観と地域社会』(高木徳郎発行、2010年4月)、総169頁。

 学部・専攻同期の旧友で、この四月から母校の早稲田大学教育学部で教壇にあがることになった高木先生からいただいた。ありがとうございました。

 和歌山での学芸員時代に執筆された解説や論文など16篇を「Ⅰ 棚田と文化的景観」「II 鞆淵と天野」「III 根来」「IV 熊野」にわけて再編集し、巻末にこれまでの業績一覧を整理されている。

 すでに2008年に博論をもとに刊行した『日本中世地域環境史の研究』(校倉書房)があるので、2冊目の単著ということになる。

 「地歴」出身らしく、地理学の専著が引用されているのが印象的。

拝受 図説 直江兼続 人と時代2010/04/05 22:14

阿部哲人(編)『図説 直江兼続 人と時代』、天地人博2009実行委員会・米沢上杉文化振興財団、2010年3月。
http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/museum_shop_zurokusyosai.htm#0901

阿部さんからいただいた。ありがとうございました。こちらの事情で少々手元に届くのが遅くなり、紹介が遅れた。「天地人博2009」で企画展示された資料の内、320点を収載。フルカラーで十分すぎるほどのコンテンツである。

2007年にも図録『特別展 直江兼続』、米沢市上杉博物館(総127頁)が刊行されているが、その企画時は兼続の知名度は高いものでなく、まさかNHKドラマと重なるとは予期していなかった。某先生に「マニアックな」というお言葉をいただいた記憶がある。
 しかし、その後、関連資料は幅広く集められ、研究の精度もより高いものとなった。本図録は総351頁で2倍以上の増量となっており、写真も以前より大きく見やすい。小島毅、中野等、山田邦明、八鍬友広と寄稿している先生方の顔ぶれも豪華。

拙稿 新発田藩の蔵書目録について2010/04/03 03:01

岩本篤志、新発田藩の蔵書目録について-九代藩主・溝口直侯の「本草学」との関係を中心に、『環日本海研究年報』第17号、104~117頁、2010年3月。

「九代溝口直侯の廟号を冠する書目とその由来書であり、直侯が本草学に強い関心を抱いていた様子や藩の学問への考えをうかがうことができる。これまでに後者は読書記録の研究資料としてもちいられたが 、新発田藩の蔵書形成史における位置づけはあきらかにされておらず、前者は管見の限り言及されたことがない。
 本稿は栗田の示した資料にこれら新出資料をくわえ、新発田藩の旧蔵書群のあらましをあらためて把握しようとこころみたものである。」
 やや蕪雑な感じできれいにまとまっていない。後で書き直したい気もするがいつになるだろうか。

環日本海研究年報 第17号2010/03/31 22:38

『環日本海研究年報』 第17号、新潟大学現代社会文化研究科、2010年3月。

 収録論文10本。内訳は2009年11月におこなわれた国際ワークショップ「東北アジアにおける社会的生活基盤の形成」の3セッションのうち第2セッション「朝鮮における社会的生活基盤の形成」の論文が4点(執筆:金永白、山内民博、広瀬貞三、橋谷弘、大宮誠)。なお、その他セッション分は前掲『環東アジア研究センター年報』第5号に収録されている。
 これ以外に「東北アジア地域史の諸相〔I〕」の特集が組まれ、論文3本(内田宏美、芳井研一、陳祥)、そしてそのほかに通常投稿論文が3本(井村哲郎、岩本、高慶元)で、合計10本である。
 『環日本海』『環東アジア』両誌にわたり、論文14本を展開した国際ワークショップの中心的論文が、芳井研一「東北アジア地域の社会的生活基盤の形成」(『環東アジア』第5号)ということのようである。
 この2誌収録論文の主要キーワードは「東北アジア、満鉄、満洲、都市港湾建設、環境保全」というところで東北アジア近現代史に関する論文が過半をしめる。

 ここではあえてあきらかに異質な三点を紹介しておこう。

内田宏美、唐代室韋墓葬と森林ステップ-“角弓”の分析を中心に
岩本篤志、新発田藩の蔵書目録について-九代藩主・溝口直侯の「本草学」との関係を中心に
高慶元、外国人研修制度の実態と課題

http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/03/02/4916926

拝受 近代岩船郡と平林村木村家文書2010/03/24 19:26

芳井研一(編)『近代岩船郡と平林村木村家文書』、新潟大学人文学部附置地域文化連携センター、2010年3月。

センター長の栗原先生名義でいただいた。ありがとうございました。

「新潟大学附属図書館所蔵の木村家文書と木村初男氏所蔵文書のなかから、特色ある近代史料を選びだして紹介」し、「近代の岩船郡の人びとの暮らしや生業」の理解に役立ててもらおうというもの。

地租改正、聯合会議事録、物理筆記、化学筆記、英会話筆記、出納計算帳、村上時報創刊号、満洲移民関連資料、太平洋戦争期の木村家の日記などの一部が影印、解説されている。

 なお昨年度は同資料群の近世史料から選びだしたものであった。
 両冊子によって木村家文書の存在が親しみやすいものとなった点が重要であろう。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2009/03/29/4212799

拝受 日本の村と宮座2010/03/09 18:35

薗部寿樹(著)『日本の村と宮座』(高志書院選書5)、高志書院、2010年3月。

 薗部先生からいただいた。ありがとうございました。
 研究者向けの一般書(総171頁、2500円+税)。
 「宮座(みやざ)」とは「神社または寺院などの場において祭祀をおこなう集団であり、祭祀のとりしきり役である頭役を宮座のメンバーが輪番につとめるという特徴」(本文より)をもっている。
 本の分類や研究手法は日本史に属すが、対象の性格上、宗教社会学、民俗学的要素も感じられる。

目次はこちら
http://www.koshi-s.jp/shinkan/100303_2-shinkan.htm

また、次のような修正をいただいた(追記)。
   誤 正
52頁(本文)15行目
 播磨国有馬郡 → 摂津国有馬郡
92頁(本文) 15行目
 南郡に二例  → 南郡に一例
139頁(引用史料)2行目 (子脱)
若王子大明神 → 若王大明神
139頁(引用史料)6行目
栩原祭り   → 大宮栩原祭り
139頁(本文)9行目
 五十間四方(約九九メートル) →五十間四方(約九一メートル)
141頁(引用史料)2~3行目
小房・弐ヶ村 → 小房弐ヶ村
141頁(本文)9行目
小房・弐ヶ  → 小房弐ヶ村

なお、以前にリンクのような関係論文をいただいている。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2009/06/11/

勤務先でも刊行ラッシュがはじまりつつあるが、もう少しためておこう。