新収 魏晋南北朝唐宋考古文稿輯叢 ほか ― 2011/08/01 18:34
宿白(著)『魏晋南北朝唐宋考古文稿輯叢』、文物出版社、2011年1月。
許逸民(校箋)『金楼子校箋』、中華書局、2011年1月。
前者は宿白氏がこれまで『文物』などに掲載してきた魏晋南北朝唐宋考古に関する論文を集めて整理したもの。古い記事でも自分にとっては北朝考古系でとくに興味深い記事が多い。金楼子は南朝梁の蕭繹の著作。南北朝史の研究者にはよく知られた本だと思っていたが、基本的に永楽大典にあつめられたものが今に伝わるもので、CiNiiiで検索するとこの書名を題名につけているのは日本語の論文では5点のみ。点校本がでるのははじめてだということで購入。典籍関係で興味深い記事がある記憶だったが、どちらかというと晋南朝の故事、志怪の記事が主体。また家訓的要素ももつとの先行研究の分析があるとおり。点校本がでたことでさらに今後頻用される気がする。
許逸民(校箋)『金楼子校箋』、中華書局、2011年1月。
前者は宿白氏がこれまで『文物』などに掲載してきた魏晋南北朝唐宋考古に関する論文を集めて整理したもの。古い記事でも自分にとっては北朝考古系でとくに興味深い記事が多い。金楼子は南朝梁の蕭繹の著作。南北朝史の研究者にはよく知られた本だと思っていたが、基本的に永楽大典にあつめられたものが今に伝わるもので、CiNiiiで検索するとこの書名を題名につけているのは日本語の論文では5点のみ。点校本がでるのははじめてだということで購入。典籍関係で興味深い記事がある記憶だったが、どちらかというと晋南朝の故事、志怪の記事が主体。また家訓的要素ももつとの先行研究の分析があるとおり。点校本がでたことでさらに今後頻用される気がする。
新収 新潟史学 第65号 ― 2011/07/29 17:24
『新潟史学』第65号、2011年5月。
斎藤瑞穂、佐渡・岩屋山洞窟の宝筐印塔と中世の北東日本海物流
高橋秀樹、胡人像尖帽の起源―丁家閘五号墓壁画胡人像解析のために
桑原正史、柴原偕伎日の表記とヨミについて―栗原遺跡出土の墨書土器の人名
他、資料紹介1点、書評1点が載る。
斎藤論文は佐渡・宿根木近くの岩屋山洞窟で発見された14~15世紀の宝筐印塔が関西形式のものであったことに注目し、他地域のものと比較、その造立の背景をさぐる。高橋論文はモード研究的な観点からユーラシア大陸全域を視野に丁家閘五号墓壁画胡人像の尖帽の起源をさぐろうとした労作。関連分野に多くの示唆を与えるであろう。ただいずれの出土品も時代背景を絞り込んだ上で論じられているとは言いがたく、また本論を成り立たせるマトリックスの基本軸である「頭部を高くしようとする欲求」というパラメータが地域習俗や宗教的固有性を捨象してしまっているような気がしてならない。今後、関連するロシアや西アジア考古学の成果や報告を渉猟し、個々の事象分析の上に検証していく必要があるだろう。桑原論文は新潟県妙高市で出土した8世紀の須恵器に墨書された人名「柴原偕伎日」に関するもの。従来、「シバハラノハシキビ」または「しばはらのときひ」と読まれていたものをその墨跡や古訓の分析から「しばはらのみなきび」とよむべきだとする。
高橋論文と関連するところでは、関尾史郎先生がご自身のブログで高台で発見された尖帽をかぶったソグド人図像について詳細な分析を披露しておられ、その想像力に感嘆する。http://sekio516.exblog.jp/15166541/ もちろんすでに中国の研究者もソグド人像とみているし、影山論文で論じておられることがその傍証ともなろう。http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/02/28/5711852 ただそこまではすでに実証されており、再論をまたない。まずは埋め戻されてしまったという墓葬の精査と今後の他地域の発掘の進展を待ちたい。この分野においても斎藤論文や桑原論文のようにひとつひとつを確実な資料をもって実証を積み上げていく手続きが不可欠であろう。
斎藤瑞穂、佐渡・岩屋山洞窟の宝筐印塔と中世の北東日本海物流
高橋秀樹、胡人像尖帽の起源―丁家閘五号墓壁画胡人像解析のために
桑原正史、柴原偕伎日の表記とヨミについて―栗原遺跡出土の墨書土器の人名
他、資料紹介1点、書評1点が載る。
斎藤論文は佐渡・宿根木近くの岩屋山洞窟で発見された14~15世紀の宝筐印塔が関西形式のものであったことに注目し、他地域のものと比較、その造立の背景をさぐる。高橋論文はモード研究的な観点からユーラシア大陸全域を視野に丁家閘五号墓壁画胡人像の尖帽の起源をさぐろうとした労作。関連分野に多くの示唆を与えるであろう。ただいずれの出土品も時代背景を絞り込んだ上で論じられているとは言いがたく、また本論を成り立たせるマトリックスの基本軸である「頭部を高くしようとする欲求」というパラメータが地域習俗や宗教的固有性を捨象してしまっているような気がしてならない。今後、関連するロシアや西アジア考古学の成果や報告を渉猟し、個々の事象分析の上に検証していく必要があるだろう。桑原論文は新潟県妙高市で出土した8世紀の須恵器に墨書された人名「柴原偕伎日」に関するもの。従来、「シバハラノハシキビ」または「しばはらのときひ」と読まれていたものをその墨跡や古訓の分析から「しばはらのみなきび」とよむべきだとする。
高橋論文と関連するところでは、関尾史郎先生がご自身のブログで高台で発見された尖帽をかぶったソグド人図像について詳細な分析を披露しておられ、その想像力に感嘆する。http://sekio516.exblog.jp/15166541/ もちろんすでに中国の研究者もソグド人像とみているし、影山論文で論じておられることがその傍証ともなろう。http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/02/28/5711852 ただそこまではすでに実証されており、再論をまたない。まずは埋め戻されてしまったという墓葬の精査と今後の他地域の発掘の進展を待ちたい。この分野においても斎藤論文や桑原論文のようにひとつひとつを確実な資料をもって実証を積み上げていく手続きが不可欠であろう。
拝受 唐の貢献制と国信物 ― 2011/07/24 19:00
石見清裕、唐の貢献制と国信物―遣唐使への回賜品、『学習院史学』第49号、2011年3月。
石見先生からいただいた。ありがとうございました。
石見先生がこれまで発表された論文数本をわかりやすくまとめた講演録。最後の一文は壮大な世界史的展望にしても、基本的に逐一、史料の提示がなされ、実証的な内容となっている。
拙稿で引用させていただいた石見先生の貢献制に関する論文も下敷きのひとつとなっており、自分自身の研究の意義を考え直す際に有用な示唆となるようにも感じた。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2008/12/26/4028239
石見先生からいただいた。ありがとうございました。
石見先生がこれまで発表された論文数本をわかりやすくまとめた講演録。最後の一文は壮大な世界史的展望にしても、基本的に逐一、史料の提示がなされ、実証的な内容となっている。
拙稿で引用させていただいた石見先生の貢献制に関する論文も下敷きのひとつとなっており、自分自身の研究の意義を考え直す際に有用な示唆となるようにも感じた。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2008/12/26/4028239
拝受 法史学研究会会報 第15号 ― 2011/07/07 18:52
『法史学研究会会報』第15号-島田正郎先生追悼号、2011年3月。
宮部香織、太宝令注釈書「古記」の解釈に見る律規定
速水大、天聖厩牧令より見た折衝府の馬の管理
宇都宮美生、洛陽の風俗と歴史
溝口優樹、日本古代史料所引唐令の年次比定-坂上康俊説に関する一検討
岡野先生から送っていただいた、ありがとうございました(もちろん寄付いたします)。論説4点、叢説8点、文献目録2点、書評4点、島田先生追悼文が載る。うち以上4点に眼を通した。
速水論文は前掲の一篇とあわせ、唐代折衝府(府兵制)研究に新たな史料環境が出現してきたことを意識させる。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/06/23/5924656
宇都宮叢説は最新の洛陽ガイドとなっている。「隋唐洛陽城宮殿遺跡公園(仮称)」「曹休大将軍墓博物館(仮称)」などの紹介がなされており、西安でほぼ完成した巨大な都市型公園である大明宮国家遺跡公園や整備がすすむ漢長安城跡同様の状況が洛陽で進行しつつあるようだ。
宮部香織、太宝令注釈書「古記」の解釈に見る律規定
速水大、天聖厩牧令より見た折衝府の馬の管理
宇都宮美生、洛陽の風俗と歴史
溝口優樹、日本古代史料所引唐令の年次比定-坂上康俊説に関する一検討
岡野先生から送っていただいた、ありがとうございました(もちろん寄付いたします)。論説4点、叢説8点、文献目録2点、書評4点、島田先生追悼文が載る。うち以上4点に眼を通した。
速水論文は前掲の一篇とあわせ、唐代折衝府(府兵制)研究に新たな史料環境が出現してきたことを意識させる。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2011/06/23/5924656
宇都宮叢説は最新の洛陽ガイドとなっている。「隋唐洛陽城宮殿遺跡公園(仮称)」「曹休大将軍墓博物館(仮称)」などの紹介がなされており、西安でほぼ完成した巨大な都市型公園である大明宮国家遺跡公園や整備がすすむ漢長安城跡同様の状況が洛陽で進行しつつあるようだ。
新収 博物学と書物の東アジア ほか ― 2011/05/16 17:42
高津孝(著)『博物学と書物の東アジア-薩摩・琉球と海域交流』、榕樹書林、2010年8月。
斯道文庫(編)『図説 書誌学-古典籍を学ぶ』、勉誠出版、2010年12月。
吉田歓(著)『古代の都はどうつくられたかー中国・日本・朝鮮・渤海』、吉川弘文館、2011年2月。
昨年度、購入した書籍の山の中から。いずれも面白い本なのだが読了するにはちょっと時間が。とりあえず記録。
斯道文庫(編)『図説 書誌学-古典籍を学ぶ』、勉誠出版、2010年12月。
吉田歓(著)『古代の都はどうつくられたかー中国・日本・朝鮮・渤海』、吉川弘文館、2011年2月。
昨年度、購入した書籍の山の中から。いずれも面白い本なのだが読了するにはちょっと時間が。とりあえず記録。
拝受 資料学の方法を探る(10) ― 2011/04/19 18:12
愛媛大学「資料学」研究会(編)『資料学の方法を探る(10) 』、2011年3月。
陳偉、秦簡牘研究の新段階
工藤元男、「秦簡牘研究の新段階」コメント
金慶浩、韓国の木簡研究・現況
金秉駿、「韓国の木簡研究・現況」コメント
平川南、日本古代における文字使用
鈴木景二、日本古代の出土資料、伝世資料と情報伝達
佐藤信、日本古代の出土資料研究の課題
松原弘宣、古代の情報伝達と世論形成
畑野吉則、敦煌懸泉漢簡の郵書記録簡
「資料学」研究会代表の藤田勝久先生から、このプロジェクトの概要書とともにいただいた。ありがとうございました。
陳偉、秦簡牘研究の新段階
工藤元男、「秦簡牘研究の新段階」コメント
金慶浩、韓国の木簡研究・現況
金秉駿、「韓国の木簡研究・現況」コメント
平川南、日本古代における文字使用
鈴木景二、日本古代の出土資料、伝世資料と情報伝達
佐藤信、日本古代の出土資料研究の課題
松原弘宣、古代の情報伝達と世論形成
畑野吉則、敦煌懸泉漢簡の郵書記録簡
「資料学」研究会代表の藤田勝久先生から、このプロジェクトの概要書とともにいただいた。ありがとうございました。
新収 新史料・新観点・新視角 天聖令論集 ― 2011/02/28 18:25
台師大歴史系・中国法制史学会・唐律研読会(編)『新史料・新観点・新視角 天聖令論集』(上)(下)、元照出版社、2011年1月。
日本と中国の研究者が何度も研究会を開くことで得られた新見解を収録したものということのようである。
東方書店の紹介が詳しい。
http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=341425&bookType=ch
丸山先生の論文は以前紹介した以下のものに基本的に同じ。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/09/16/5350464
『法制史研究』第十六期に掲載された天聖令関係の論文は他のものも収録されている。このほか、医疾令に関する論文に、陳登武「皇権・医療資源・医事法規」がある。
日本と中国の研究者が何度も研究会を開くことで得られた新見解を収録したものということのようである。
東方書店の紹介が詳しい。
http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=341425&bookType=ch
丸山先生の論文は以前紹介した以下のものに基本的に同じ。
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2010/09/16/5350464
『法制史研究』第十六期に掲載された天聖令関係の論文は他のものも収録されている。このほか、医疾令に関する論文に、陳登武「皇権・医療資源・医事法規」がある。
拝受 高校日本史と大学講義の接続実践 ― 2010/10/19 17:50
竹田和夫、高校日本史と大学講義の接続実践3、『歴史と地理』第637号(日本史の研究230)、2010年9月。
竹田和夫、高大連携の動向・実践・課題について、『月刊 高校教育』第43巻第12号、2010年10月。
竹田先生からいただいた。ありがとうございました。
前者は遣唐使と国風文化について、世界史と日本史の接続的授業を紹介している。ただ唐宋期の薬物の由来を確認するのに『酉陽雜俎』は適切でないかもしれない。時代はズレるが、陶弘景の本草まで包含しているという意味で『国訳本草綱目』あたりが手頃な気がする。また清涼寺の釈迦如来像の納入品については本草学研究や中国研究から見た専論が存在する。
日本人が中国史を研究している場合は自然と日本との関連に目がいくので、是非、日本の東洋史研究の成果を日本史・世界史教育に積極的にとりいれて欲しいものだと思う。
竹田和夫、高大連携の動向・実践・課題について、『月刊 高校教育』第43巻第12号、2010年10月。
竹田先生からいただいた。ありがとうございました。
前者は遣唐使と国風文化について、世界史と日本史の接続的授業を紹介している。ただ唐宋期の薬物の由来を確認するのに『酉陽雜俎』は適切でないかもしれない。時代はズレるが、陶弘景の本草まで包含しているという意味で『国訳本草綱目』あたりが手頃な気がする。また清涼寺の釈迦如来像の納入品については本草学研究や中国研究から見た専論が存在する。
日本人が中国史を研究している場合は自然と日本との関連に目がいくので、是非、日本の東洋史研究の成果を日本史・世界史教育に積極的にとりいれて欲しいものだと思う。
新収 法制史研究 第十六期 ― 2010/09/16 18:14
中国法制史学会・中央研究院歴史語言研究所(主編)『法制史研究』第十六期、2009年12月。
天聖令特集号。
高明士、天聖令的発現及其歴史意義
牛来潁、『天聖令』復原研究中的幾個問題
丸山裕美子(著)方国花(訳)、唐日医疾令的復原与対比―対天聖令出現再思考
羅彤華、唐代官人的父母喪制―以「仮寧令」”諸喪解官”条為中心
陳俊強、無冤的追求―従『天聖令・獄官令』試論唐代死刑的執行
古瀬奈津子(著)高丹丹・孫愛維(訳)日唐営造関係条文的検討
黄正建、『天聖令・雑令』的比較研究
その他6本のうち1本
鈴木秀光、「獄成」之現場―清代後期刑事審判上的認罪口供和聚証
天聖令特集号。
高明士、天聖令的発現及其歴史意義
牛来潁、『天聖令』復原研究中的幾個問題
丸山裕美子(著)方国花(訳)、唐日医疾令的復原与対比―対天聖令出現再思考
羅彤華、唐代官人的父母喪制―以「仮寧令」”諸喪解官”条為中心
陳俊強、無冤的追求―従『天聖令・獄官令』試論唐代死刑的執行
古瀬奈津子(著)高丹丹・孫愛維(訳)日唐営造関係条文的検討
黄正建、『天聖令・雑令』的比較研究
その他6本のうち1本
鈴木秀光、「獄成」之現場―清代後期刑事審判上的認罪口供和聚証
拝受 唐の成立と内陸アジア ― 2010/06/10 07:19
石見清裕、 唐の成立と内陸アジア、『歴史評論』720号、2010年4月。
石見先生からいただいた。ありがとうございました。唐王朝の成立とその意義を東ユーラシア史的観点から位置づけ、日本史から見た位置づけも付言する。
『歴史評論』720号は購入したのに、ここに記録し忘れていた。論説を記録。
石見清裕、唐の成立と内陸アジア
金子修一、唐朝と皇帝祭祀 ―その制度と現実―
山根清志、身分制の特質から見た唐王朝 ―良賤制支配の基調を中心に見た―
妹尾達彦、長安の変貌 ―大中国の都から小中国の都へ―
西村陽子、九―一〇世紀の沙陀突厥の活動と唐王朝
目次
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekihyo/magazine/contents/kakonomokuji/720.html
石見先生からいただいた。ありがとうございました。唐王朝の成立とその意義を東ユーラシア史的観点から位置づけ、日本史から見た位置づけも付言する。
『歴史評論』720号は購入したのに、ここに記録し忘れていた。論説を記録。
石見清裕、唐の成立と内陸アジア
金子修一、唐朝と皇帝祭祀 ―その制度と現実―
山根清志、身分制の特質から見た唐王朝 ―良賤制支配の基調を中心に見た―
妹尾達彦、長安の変貌 ―大中国の都から小中国の都へ―
西村陽子、九―一〇世紀の沙陀突厥の活動と唐王朝
目次
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekihyo/magazine/contents/kakonomokuji/720.html